四-魔法の威力と、覚悟
次に食材集めですね。
冷蔵庫を始め、棚にも食材は、一切アリマセン。
獣でも狩るの? センパイ?
僕には、食べれるもの、
食べてはいけない物の区別する自信がありません。
どうしよう?
そこで、僕は魔法について思い出します。
魔法のテストを しておかないと、身を守るにも、狩にも困るでしょう。
キャンピングトレーラーから出ると、
すぐに先ほどの「カシャぁン」と、音がします。音、必要ですかねぇ?
気になったので、再び中に入り、マニュアルを確認します。
音の解除も可能なようですが、とりあえず初期設定のままにしておきます。
キャンピングトレーラーの世界に 入場可能な者は、かなりの制限が付きます。
こちらは、解除不可能なようです。
友人程度ではダメですね。
隷属契約した者、夫婦契約した者以外は 血縁者に 制限されます。
だから、一時的にも他者に貸せません。
僕以外は 使い物にならないですね。
マニュアルには書いてありませんが、入場時に 1/72程度に縮小する魔術が、
掛かるのだと 推測します。(模型からのサイズ推測です)
重量に関しては どうなんでしょう?
イメージして 外に出ます。そして消します。
歩いて 移動を開始します。
しばらく歩くと、街道の脇に開けた場所が あるのを「記憶」が教えてくれます。
夕闇が迫り、ほんの少し 薄暗くなってきました。
ここで、少しだけ魔法の練習をすることにします。
一本ポツンと放れて立っている 比較的大きな木が ありました。
この木を 練習台にさせてもらいましょう。
カミナリを落とすイメージ。
出力は、MAX値の 50%のイメージ。
もちろん、カミナリ親父のカミナリでなく、電撃の方。
右手の人差し指を 天に向けます。
薄い雲が集まり変化して、夕立前のような空模様に変わります。
指差した先を 天から目標の木に移します。
雷鳴轟き、落雷。
「ピッツカ」
「ズゥン」
眼が眩む様な閃光に、ほんの少し遅れて 地を揺るがす音が しました。
木は、どうなった?
木っ端微塵?
予想に反して、目標の木はそのまま立っていました。
(えっ!そんな、失敗か?50%イメージでは、こけおどしで 威力は無い?)
そう思ったとき、木は天辺から、サラサラ崩れだす。
そして、根元まで崩れ去りました。
どうも一瞬で、炭化以上に分解されたのか?
凄まじい威力です。
疲労感は、ほとんどありません。
加減を覚える必要がありそうです。
狩に使用したら、食べる部分なんて 残りはしないでしょう。
余りのオーバースペックに、精神的に疲れて 本日の魔法の練習は終了とします。
食べ物は、何もゲットできませんでした。
1日くらい抜いても死にはしないでしょう。
キャンピングトレーラーで、水くらい飲めます。
キャンピングトレーラーに入ります。
水を飲んで、空腹を少しでも 紛らわすしかありません。
そして、応接セットを ベットモードにして、この日は就寝します。
明日こそ、食料をゲットしなければ。
ハラ減った。
キャンピングトレーラーの中には、時計があります。
非常に助かります。
24時間のアナログ時計です。
この世界も 1日24時間、1年約360日と、先輩世の監理者が おしゃってました。
この日は、朝の5時に目が覚めました。
前世?は、ジイになるまで生きたので、基本 早起きです。
最も、近頃の年寄りは、HDDレコーダーなんかの恩恵で、
時代劇、懐メロ、西部劇?三昧で、夜更かしするジジババ仲間も 多かったです。
今の体は、20才より少し前でしょう。 全盛期の体力、気力の充実を感じます。
キャンピングトレーラーの中には、鏡もあります。
僕の外見は、前世とは違う。この世界の 顔立ちなのでしょう。
ゲルマン系の顔に、黒髪、黒い眼です。
まるでハーフまたは、クォーターみたいですな。
時計の針は 朝の5時すぎを指しています。
外は もう明るいようです。
昨日の夕方と同じように、キャンピングトレーラー出て、消します。
昨日と同じ、街道の脇の 開けた場所。
本日は移動しない予定です。
今日の目標は、魔法の練習と食料のゲット。
こちらの世界に来てから、何も食べていません。
水は飲めるので、体力的にはまだ大丈夫ですが、精神的にきつい。
領都アルネシタに 行けばいいのかもしれませんが、
なんせ、お金も アリマセン。
キャンピングトレーラー内を もう一度探しましたが、先輩の言う通り、食料はアリマセン。
まあ、今日 食料入手できなかったら、領都アルネシタに移動するつもりです。
一食くらい恵んでくれる人も、いるかもしれません。
見渡しても、獲物に なりそうなものは見当たりません。
まあ、もし居ても 食べれる状態でゲットする方法を まだ知りません。
まずは、魔法の練習。
火球をイメージする。上向きにした右の手のひらの上に、コブシ大の火球が出現しました。
昨日の失敗を元に、MAX値の10%を イメージ。
人差し指で、斜め上を示し、一旦固定した後、
昨日と違い、やや小さな木をめがけて、やさしく投げるように指し示す。
今度は、木は ほぼ炭化しました。
獲物が 前世の世界と同等のサイズ、防御能力だったら、食べる部分は残らないでしょう。
何回か練習し、通常は出力3~5%くらいで使用することに しました。
つい夢中で、結構な数の木を 犠牲に してしまいました。
木も生きています。
食べて、生命の糧とするならば、殺生も厭わないが、
植物とはいえ、練習台で殺してしまったことに、心から詫びました。
今後は、練習台を よく考えることにしなければ。
陽はだいぶ高くなっています。
お腹も空いたが、食べる物は何もアリマセン。
とりあえず、キャンピングトレーラーを出して水分を補給します。
ちなみに水分は、
キャンピングトレーラーが魔力を利用して作る(空気中から集める?)みたいです。
汚水、汚物の処理も自動です。
「安心してください。環境にも配慮していますよ」と ありました。
(マニュアルくん、そこ必要?)
キャンピングトレーラーの魔力の充魔残量は、まだ90%以上残っています。
昨日一度、充魔力しただけです。
燃費の良いことで。
いろんな意味で、夢のキャンピングトレーラーだと思うように なってきました。
食料を入手するために、アルネシタに向かおうと決めます。
まず、キャンピングトレーラー出て消します。
街道に戻ろうと歩き出したら、必死な感じの喧騒が 遠くで聞こえる?
この開けた場所は、草原という態だが、多少起伏があります。
まずは、全力走で 多くを見渡せそうな 小高い場所を目指す。
上った場所から、馬車が、全力で逃げているのが微かに見える。
視力を ゼロ戦搭乗員にするイメージを 自分に向ける。
聴力を 潜水艦のソナー員にするイメージを 自分に向ける。
この世界も、ファンタジーの お約束どおり、命の軽い世界なのでしょうか?
まあ、元の世界も命が重いわけでは、無かったのかもしれません。
ああ、それどころじゃない。後で考えよう。
先送り それ ばっかり。
かなり、僕自身 混乱しているのが、自覚できます。
馬に乗った賊らしき連中が、10人くらいで 1台の馬車を追走している。
馬車は 二頭立ての 幌付の馬車だ。
取り囲もうと しているようだ。
馬車も反撃している。
賊?が一人、馬車の中からの矢らしきもので、落馬!
左胸らしきとこに 命中したから、致命傷かもしれない。
介入するかどうか、一瞬迷う。
私闘かもしれません。
が、単純にみて 馬車が襲われ、賊っぽいのが襲っています。
賊っぽいのが、奇声と喚声を上げ、馬車からは悲鳴、懇願が、聞こえる。
女性の声が、聞き取れます。
お約束!と、言いたいが、真剣に、そして多分、命を賭けることになるでしょう。
そんな体験、僕には刻まれていません。
お約束は、要りませんが 女性は助けたい。
下心ではない、この世界でも女性は、弱い者と推測します。
か弱き物を助けたい気持ちは、恥ずるモノでは ないでしょう。
こんな緊急時に、ごちゃごちゃ考えている理由は、自分でも分かります。
僕は迷っている!
自分が可愛いばかりでは ありません。
先輩の言葉を信じれば、世の監理者見習いなのだから、死んでも困らないでしょう。
多分、キット、シンジテイルヨ、センパイ。
ええい。この異世界でも、僕は♂だ。女性を守りたい。
余計なおせっかいで、人を殺めたのであれば、本気で切腹してやる!
覚悟を決めて、参戦を決めた。
ああ! 馬車の御者がやられた。




