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贈られし者-プロローグ編-  作者: かにはユ
10/11

マの2

-----マイミの独白、続き------


私の体に、アイツの手が まわる。

私は 思わず体を硬くする。

ああ、こんなとこで「失う」のかな。

お母さんの目の前は、イヤだな。

あの、盗賊どもに ヤられるより、マシか。

神様なんて、やっぱり居やしない。


首に手が当たる。

押し倒されるのかな?

魔力封じの首輪を外しやがった。

私を軽く見ているんだ。そう、舐めているんだ。


どうする?

私一人なら、躊躇ためらいなく、攻撃する。

母がいる。

隙をついて攻撃しても、勝てる要素はない。

折角ついた話を 壊してはダメだ。

私が 我慢すればこの場は しのげる。


後頭部に手が まわる。

私の顔を 無理やり、自分の胸に押し付けてきた。

ああ、悲しいなぁ、かなしいな。


その時、信じられない言葉が聞こえてきた。


「ゴメン・な。

本当に、本当に申し訳なかった。

僕にもっと力があれば、経験があれば。

君のお母さんを あんな目に遭わせずに済んだかもしれない。

君達の仲間も助けられたかもしれない」


泣・い・て・い・る!

あの冷徹な 伽弐亜 が、泣きながら 私に詫びている。


なにもかも、理解できない。

なぜ、伽弐亜が、泣くんだ?

なぜ、伽弐亜が、詫びるんだ?

何が起こっているんだ?


その時、私を支えている 最後の糸が プツンと切れた感覚があった。


今は亡き、父に抱きつくように、

今は亡き、祖父にすがるくように、


彼に抱きついて、お腹の底から声を出して泣いた。




どれくらい泣いただろう?

しばらくした後、

「コホン!」

母のものと思われる、咳払いが聞こえた。

伽弐亜が、慌てた様子で 私を引き離す。


この後のことは、あまり憶えていない。

助かったの? という安堵感と、

母が警戒感を解いた気がして、気が緩んだんだろう。


馬車に乗る前に、伽弐亜と言葉を交わしたのは憶えているけど、

内容は、覚えていない。

乗るとき、母が とんでもないことを口走ったのだけは、かすかに忘れていない。

途中、結構会話したつもりだけど・・・・。


気がついたら 部屋のベットに横になっていた。


部屋は、お母さんと同じ部屋だ。

もう、そろそろ個室が、欲しいな。

一部屋 空いている のにな?


横になったまま、考える。

今日の出来事は、残念ながら夢ではない。

でも、ここに帰ってくることができた。


結局、伽弐亜が助けて、しかも送り届けてくれた。


かけがえのない恩人に、私は何をした?

頬を張って、お腹を殴った。


それに対し、伽弐亜は私に何をした?

泣きながら謝った。


どう考えても、彼に非は無く、私が悪い。

すぐに助けなかったのも、魔力封じのグッズの解除に時間が掛かったのだろう。

だいたい、魔術師に解除できないから、魔力封じの意味がある。

一つでも、自分で解除するなんて、考えも及ばない。

しかも、あの時 3つくらい付けられてた気がする。


何の義理もない私たちを助けて、何も見返りを求めない。


理解できない!


私たちを騙して、乗り込んできたのだろうか?

そんな、ややこしいことする意味無いだろう。

あの力量なら、私たち母子おやこに利用価値があるとは 思えない。


そんなことを考えていると、母が部屋に戻ってきた。

なんか、機嫌良さげだ。


「ねえ、お母さん、今日は一緒に寝ていい?」


「ふふ、しょうがない子だね。おいで」


一緒のベットに入り、母に抱きつく。


「もしかしたら、マイミと 一緒に寝れるのも最後かもしれないよ」


「え!お母さん。あの後、伽弐亜に、何か要求されたの?」


「ははっ、彼の要求は「謝罪させてくれ」だけさ。なんか伽弐亜らしいや」


「なんで?」


「『アタシの心の傷を 蒸し返すからのを承知しているけれど、気が済まない』

かららしいよ」


「それで?」


「気の済むように、させてあげたさ」


「だいたい伽弐亜は、何を謝っているのか、よく解からないよ」


「あんたを助けるために、アタシを犠牲にしたと思い込んでいるみたいだね」




「ごめんなさい。ゴメンナサイ!お母さん、あの・・・・」


「ほら、あんたまで、謝らない。伽弐亜の癖が、写ったかね?ふふ」


「ねえ、お母さん。さっきの一緒に寝るのも最後って?」


「アタシとしては、あんたを 伽弐亜に差し出そうと思うのさ」


「やっぱり、伽弐亜が私を 要求したんだ。そんなヤツじゃないと.......。


「ストップ、ストップ。突っ走らない。

あんた それで今日、伽弐亜に 何したか、忘れちゃったの?」




「あれは、本当に反省してる。謝ることもできなかったなあ。

伽弐亜、私みたいな子、嫌いだよね? きっと」


「ふふ、理由はそれさ。あんた、伽弐亜に惚れたんだろ?」


「いくら、お母さんといえど、言っていいことと、悪いことがあるよ」

自分の顔が、熱いのが分かる。なんで?


「伽弐亜には、返しきれない恩ができた。

本人は何も 見返りを望んでいないようだけどね。

それどころか、ほら、盗賊から お金とか集めてたじゃない?

あれって、私たちに渡すつもりで、集めていたらしいよ。

とことん、変なヤツだよ。

でも嫌いなタイプじゃない。

あんたが、要らないなら、アタシが・・・。


「お母さんこそ、ストップ、ストップ。突っ走っらないで!

いろいろ、話が飛躍しすぎ。

もっと、ゆっくりじゃあ、ダメなの?」


「あんな優良物件、躊躇ちゅうちょしちゃダメさ。

速攻で押し倒す。

----------

ああぁ、なんでそこで泣く?

嫌なこと、思い出させたかねえ?」


「違うの、お母さん。嬉しいの。

お母さんが、こんなに、 すぐに....、元気になって。

でも、伽弐亜。私なんて 要らないよ。きっと・・・・」


「ふふ、もっと自信持って 大丈夫だよ。

なんてたって、アタシの自慢の娘なんだ」


「そう? お母さんのほうが 美人だと思うけど?」


「若さにはかなわないって、そういう話じゃない。

相性とか、運命の話さ」


「相性? 運命?」


「私は、こう考える。今日の襲撃事件は、運命だったと」


「日にちが ずれていたらとか、思わないの?」


「起こったことは、避けられない運命だったと思うことに 昔から決めている」


「ふ~ん。よく解からないや」


いずれ解かる時がくる。

そして、そうなってしまった場合 最悪を想定する」


「それで?」


「あの場合、最悪とは、二人とも殺される。または、売り飛ばされる」


「うん。でも」


「とりあえず 今は、私のことはい。

確かに酷い目にあったが、二人の暖かい心に触れることができて、良かったさ」


「私も、そういう意味でも伽弐亜には、とても感謝している」


「あの時、アタシは、マイミ あんたのことしか、考えていなかった」


「分かっている。ありがとう、お母さん」


「だから、ようやく少し解かったんだが、伽弐亜も マイミのことが最優先だったと思う」


「私としては、お母さんを優先にして欲しかった.....」


「無理な話さ。あんたも あの場に居たんだ。判るだろ?」


「そうだね。ごめんね」


「アタシに謝る必要はない。伽弐亜は、己の命を賭けてまで 私たちを救った」


「そうだね。それに対して私は......」


「まあ、今はいいじゃないか。何の義理もない、私たちをだ。

しかも、伽弐亜は、安全を保障されていた。まあ、最低、最悪の安全だかね」


「そこが特に解からない。なぜ? 目的は....無さそう。なにを思って?」


「アタシもそう考えた。伽弐亜に目的は無いようだ。一応、本人に確認した。

それで、彼がなにを思って?と、考えた」


「まったく、解からないよねえ。「謝罪」 大好きも 変わっているし」


「謝罪 大好きか?面白いこと言うね、あんたは。

伽弐亜に抱きしめられて、二人で泣いていただろ。

あの時、あんたなにを感じた?」


顔が、体が 熱くなる。何で?

「え~と、え~と、ヤラシイこと、考えてないよ」


「ははは、違う、違う。それは今の気持ちだろ?

そのときの気持ちだ。思い出してごらん」


「今の気持ちって? ひどいよ、お母さん。

え~と、お父さんか、お祖父じいちゃんに、抱きしめられているように感じたよ」


「そう それ。伽弐亜は、そんなおもいで、私たちを助けたんだと思う。

そう考えると、一番しっくりくる。

なにも見返りを求めない。

無傷で助けられなかったことに、罪悪感を持つ」


「もしかして、伽弐亜って、親戚か、なにかなの?」


「まず違うね。眼の色、髪の色を見れば判るだろう。

知り合いの 家族でもないようだ。私たちのことをまったく知らなかったようだね。

つまり、赤の他人さ」


「赤の他人が、私たちを助けて、無傷で助けられなかったと、謝罪したわけなのね。

しかも、お金まで渡そうとした」


「そのお礼として、ビンタに加えて、腹を殴られた訳だ」


「ヤメテお母さん。本当に反省しているんだから」


「ああ、悪かったよ。話が進まないもんな。

赤の他人に、まるで家族を救うおもいで、助けられた。

そこに運命というか、キズナみたいな縁を感じたのさ」


「だから、私を差し出すの?なんか、微妙に ずれている気がするんだけど?」


「アタシが考えているだけで、なにも決まっていないよ。

当事者同士の気持ちは、尊重するさ」


「そうよね、安心した。」


「そうさ、何度も言っているように、

伽弐亜は、私たちに対し、実質的に何も要求していない。

望んでいる物も、本当に無いようだね」


「私も、そう思う」


「伽弐亜は、アタシが思うに『迷い人』じゃないかと 推測している」


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