壱-死にました
僕は死にました。
事故では なく。
急病による、突然死でも ありません。
ましてや、事件に巻き込まれたわけでも ありません。
一般的には天寿を全う と言うには、少し早い歳かもしれませんが・・。
僕自身は、全うしたと思っております。
いまどき珍しいと、思います。
幸せなことだと思っています。
思い残すことは、ありません。
多分幸せな人生だったと思います。
自分の葬式を 少し上から眺めていました。
ごくごく 普通の葬儀だったと思います。
そして、ふわふわと、上のほうへ 上のほうへ 上がっていきました。
雲があります。
雲の上は、飛行機から見下ろしたマンマです。
でも、飛行機からの景観と違うモノが 見えます。
この世の記憶が少し薄らぐと同時に、この状況を ぼんやりと想い出しました。
物凄い回数、ここに来ている気がします。
この後確か、 雲の上に 人らしき姿が在るはずです。
僕を 待っているのです。
あの世の案内人と おっしゃていた様に思います。
あれ?
前回、もうこれが最後、最終回とおしゃっていた気がする様な......。
待っていた方の容姿は 仙人とでも言うような風体で
自分とは全然違う顔のご老人でした。
前回までは、どこか自分の顔立ちに似た案内人さんでしたが、
今回は違うようです。
仙人のようなご老人は、見た目に反し、若々しい声と口調で言いました。
「あ!来たね。待ってたよ」
僕は、尋ねます。
「あの世の 出発案内人の方ですか?」
「ははは、ちがうよ~。吾は、汝から見れば、異世界の監理者だよ」
「は?管理者?異世界のカンリ者様ですか?」
「汝イメージした管理じゃないよ。
ひとつ上の、監理。
建築現場に例えれば、現場管理でなく、設計監理の「かんり」かな」
かつて建設業界にいた僕は、意味を理解しました。
現界的な言葉が出て、少し緊張感が和ぎます。
「おおよそ、理解しました。
それで、僕なんかに 何の御用件でしょうか?」
「答える前に、汝に 質問してもいいかな?」
僕は、同意します。
「ふむ、汝は、死んだことを自覚しているかね?」
「自覚しています。自分の葬式を 見ました」
「よろしい、それでは 生まれ変わり、転生、再生、前生等 信じるかね?」
「漠然と記憶にあります」
「大変よろしい。説明が省ける。
ちなみに、汝は、もう生まれ変わり終了だよ」
「ええっ? 僕の自我は終了し、消滅するのですか?」
「いいや、世の監理者 見習いとなるからだよ。
生まれ変わりの規定回数をこなし、
最後は「悪意」に染まらず、天寿を全うした。
条件クリアだね。
まあ、エリートだな。
吾は 汝の教育係りだよ」
「つまり、人間として生まれることは、もう無いと?」
「その通り。ほっほっほ、もしかして、もう一回くらい人間したいかね?」
「う~ん、そうですね。できれば、もう一回くらい?」
誘導尋問だったようです。
自称、異世界の監理者様は 悪い微笑みを しましたね。
あんまり、高貴かつ威厳ある方には見えません。
「そんな、汝に魅力的な提案があるんだ。これがね!」
僕は、不安いっぱいで、それが何か尋ねます。
「かわいい後輩に 特別サービスだ。
吾の監理する世界に 往けば、人の人生送れるよ」




