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炎帝  作者: 16104
2/4

~炎帝、覚醒~2

スマホでのルビの入れ方が分からないので、迷惑をおかけしますが登場人物の名前の読み方を最初に書かせてもらってます。

火村 優一ひむらゆういち

火村 小莉子ひむらこりす

貴田 義正きだよしまさ

川崎 かな(かわさきかな)


教師

中嶋 進越なかしましんご

沙鬼衣 さきいまい


その他

瑞覗 恵奈みずしやすな




~第三章~



私に自由は無い。


私が5歳の頃から私の周りでは不思議なことが起こった。


私が通った道の周りの人が必ずいいことが起こるようになった。


最初は私が通った場所の周りの人がたまたまいいことがあった。と思っていた。


しかし、次第にこれはたまたまではなく私が通る場所に必ずいいことがある。と知った。


親に連れられ福引きをすれば、必ず特賞。さらに私がいる状態で宝くじを買えば、必ず利益を得ることが出来た。


博打もしかり、運を使うものは私がいれば必ずいいことがあった。


私の価値を知った両親は、変わってしまった。


働くことを辞め、私を連れてどこかへギャンブルをしに行く。そんな生活が始まった。


毎日毎日、いろんな所を廻った。しかし、行くところは必ず薄暗いオーラを放った大人ばかりいる場所か食事を取るお店だけだった。


私は最初、喜んでいる両親の顔が好きでどんな場所にも付いていった。


しかし、日に日に両親の私を見る目は人を見るのではなく、私という物を見るようになった。


辛かった。悲しかった。でも、両親の喜んだ顔が忘れられない。


私はあの頃の優しい2人に戻ってくれることを願った。


しかし、その夢はもうかなわない。


私の噂を聞きつけた人が両親を殺し私を誘拐した。


それが6歳の誕生日の日、いつものようにギャンブルをした帰りの出来事だった。


両親を殺された時、涙を流すことはなかった。自分でも不思議なほど落ち着いている。


それから私はいろんな大人を転々とした。もちろん、殺して奪うその繰り返しだったが……。




目が覚めると白い天井が見えた。一発で場所は理解した。


ここは天石学園の保健室兼病室だ。天石学園の生徒の治療は天石学園で行われる。


傷付いた者が普通の医療機関へ行ってしまうと敵にそこを狙われ、一般人に危害が及ぶ可能性があるからだ。


横を向くと貴田の姿が。


「よう、貴田。生きてて良かったぜ。」


貴田の姿も酷かった。体の至る所に包帯がまかれている。敵の大将にあたった俺のほうが怪我が少ないぐらいだ。


「はは、ヒヤヒヤしたよ。銃口を向けられた時、素早く回避行動をして良かった。少し遅かったら死んでたかな?」


「先生を呼んでくれたのはお前か?」


「あぁ。実は僕、キミが魔獣を蹴り飛ばしたあたりからキミを見つけて、直ぐに援護しようと思ったんだけど、あの獣魔人があまりに強そうに見えてね。先生に報告したんだ。先生到着までの時間を稼ぐためにも不用意に撃つことは出来なかった。許してくれ。」


ばかな、あの状況でそこまで考えていたなんて、俺は援護してくれないお前にガッカリしてたのに…っ。流石メガネだぜ。でも待てよ?


「おい、それじゃ俺が最初に銃口向けられた時、何で助けてくれなかった?」


あのまま俺、お陀仏してたかもしれねーんだぞ?


「ふふ。それはキミを信頼していたからさ。キミがあの程度で死ぬとは思えなかったんだよ。」


「やめてくれよ。今度からは助けてくれ、あんな心臓に悪いこと二度とやりたくねーからな。」


そのまま、談笑を重ねていると病室のドアが開いた。


「お、お前ら元気にやってんな。もう大丈夫そうで安心した。」


そこにはいい顔で挨拶をする先生の姿があった。


「先生、助けてくれてありがとうございます。本当に助かりました。」


「なんだよ改まって、お前ら生徒はそんなこと考えなくていいの。助けるのが先生の仕事なんだからな。」


なんだよ。めちゃくちゃカッコイイじゃねーか先生。尊敬しちまいそうだ。


「ところで優一、ちと俺について来てくれないか?な~に、テメーは今日、退院予定だから少し早く退院ってことで頼むわ。」


先生が俺に頼み事なんて初めてかも、まぁ悪い気もしないし助けてもらったばかりだし、断る理由もないか。


「分かりました。でも、まず手続きなんかをしないと。」


「あぁ、それは俺が済ませといた。急ぎだから早くしたいんだ。」


「分かりました。じゃあすぐ支度します。」


俺は素早く支度をすませ、貴田に別れを告げて病室をあとにした。





ここは……。


『校長室!?』


おいおい、やべーぞ。校長室だと!


俺、そんな悪い事したか?いや、そんなことはしていない。そうだ、これは間違い。そう、間違いに違いない!


コンコン


「校長、連れて参りました。」


「どうぞ、入りたまえ。」


校長室なんて入ったことねーよ。俺は呼ばれるような事をしたことないからな。


先生が扉を開け中に入る。俺も跡を追って中に入った。


「やぁ、優一くん。待っていたよ。」


校長席に座っていたのは、すらっとした身体つきの白髪頭の男性だ。確か60歳ぐらいだったはずだが、歳よりも若く見える。


俺の記憶が確かなら春の始業式以来か?


「こんにちは。校長先生。」


まずは柔らかく、丁寧な挨拶だ。もし、俺の人柄がやべーなら、手遅れかもしれんが、好印象を持たせた方がいいだろう。


ビシビシ伝わるぜ、この緊張感。俺の運命は俺の行動、一つ一つが鍵となる。


『俺ならやれるさ!』


と、自分の高校生活の終わりと闘う姿勢でいると視界にソファに座る金髪の女の子の姿が……。


「君はあの時の子……だよね。」


おそるおそる、女の子に話してみた。彼女はコクリと首を動かすと真っ直ぐ僕を視界にとらえ


「……ありがとうございます。あの時、助けに来てくれて。……とても、助かりました。」


「いや、気にしないで。市民を助けるのが俺の信条だからさ。」


でも、この子がいるということはあの事件の事情説明かな?なんだ。緊張して損した。そして、


『助かった~~~。』


安堵感に包まれながら、俺は校長先生に促されソファに腰掛けた。


「んじゃ、あとは宜しくお願いします。」と先生は校長室を出て行った。あれ?先生もこのまま残ると思ったんだが。


「優一くん。」


突然、校長先生に呼ばれて「ひゃい!」


あ、声、裏返った。前の子もクスクス笑ってるし、し、し、死にてーーーーー!!!!


赤面しながら校長先生を見た。くそ、頬が緩んでる。終わった。もう立ち直れないかも。


「すまないね。ところで、優一くん。つかぬことを聞くがキミの寮は女性の入居者は問題ないかね?」


なんだ、一瞬だが嫌な予感が通り過ぎていった。まだだ、確証はない。情報を手に入れろ俺!


「いえ、全然大丈夫ですけど。どうしたんですか急に、誰か入居に困った人でもいるんですか?」


「キミも人が悪いな。もうとっくに気がついていると思ったんだが。」


やっぱりですか。


「でも、その子追われてるんですよね?僕の住んでいる寮はそんな防犯設備は整っていなかったような気がするんですが。」


「キミの寮は富士波だろう?なら安心だ。下手な場所より余程よい。それに今回は……。」


「私が行きたいと言ったんです。あなたならきっと大丈夫だと思ったから。」


大丈夫?よくわからんが、この話し自体は任務かな?


「彼女に住む場所について話ていたらどうしてもキミがいいと言うのでね。依頼者の願いは出来る限り行う。それが校則だ。なので、任務という形で宜しく頼む。もちろん、キミがやりたくないと言えば、やることは無い。それも校則だからね。」


「分かりました。引き受けます。ちなみに任務内容は?」


「ふふ。それはね……。」




『あれ?なんで俺、こんなところで寝てるんだ?』


俺が寝ているのはベットの上ではなく、床に布団を敷いて寝ている。なぜかって?そりゃお客優先っしょ。


ベットには気持ち良さそうに寝ている女の子の姿が……。そうです。同居することになりました。


時を遡ること昨日、あのあと富士波に戻ると大家の瑞覗さんが、


「あらあら、そちらが連絡のあった子ですね。」


と、いつも通り喪服姿で出迎えてくれた。


「それでは、こちらの書類にサインをお願いします。」


ニッコリスマイルで書類を女の子に書かせた。女の子もそれを書き終えると瑞覗さんに渡した。


「コリスちゃんって言うんですね。どうも宜しくお願いします。私、大家の瑞覗恵奈と申します。」


女の子、コリスはぺこりと頭を下げて


「……よ、宜しくお願いします。」


ちょっと引っ込み思案なところがあるのかな?でも、礼儀正しそうだし問題ないか。


「ではでは、最後に」


瑞覗さんは透き通った黒色の瞳をコリスに向け、


その瞳を灰色に変えた。


この時の瑞覗さんは怖い。何か自分の大切なものを見られている感覚がする。


俺も入居するときこれをやられた。ビビったよ、そりゃビビるさこんな眼で自分を見られたら。


しばらくの沈黙のあと瑞覗さんは瞳を黒色に戻した。


「はい。終了です。どうやら心配なさそうですね。優一さん、ちゃんとこの子を守ってあげて下さいね。」


「もちろんですよ。」


ガッツポーズで応えた俺だが、瑞覗さんに渡された紙を見て驚いた。


「……っ!?」


俺は絶句した。


「な、なんだ?これ……。」


住民登録書ただそれだけだ。あぁそうさ、それだけさ。


なら何故、俺の住所が書かれている?何故、名前が火村小莉子って書かれているんだ?


すげーなんて破壊力だ!今、意識が跳びかけた!


「え~と~。これは何かの冗談ですよね?」


「いいえ。あなたの高校の学校長からお願いされましたのよ。書類も揃ってましたし、あとは書いてもらうだけてしたので。」


だ、ダメだ。目が霞んできた。


「もちろん、兄妹ってことですよね?」


瑞覗さんは首を横に振って


「いいえ。もちろん、マッチングってことでです。」


俺は何か内から込み上がったものを必死で抑えた。


『そうか、なんか知らんがこ、婚約したのか俺は、あぁ楽しいだろうな。将来のこともちゃんと決めないとな。』


そんな俺を見てクスクス笑う瑞覗さん。


「ごめんなさい。冗談です。あなたの反応が余りにも面白かったものですから。こっちが本物ですよ。」


もう一つの書類を俺に見せる瑞覗さん。


名前はコリス・セルティウム、金髪だし、こっちの方が納得がいく。でも、住所は俺のところのまま。


「でも、若い男女が一つ屋根の下っていうのはどうかと。」


俺のこの反応は一般的反応のはず、逆に何の疑問もつけない瑞覗さんがおかしいに決まってる。


「……私は気にしない。」


ちょっとコリスちゃん。今の問題発言だよ!


「コリスちゃんがいいんなら止める理由はありません。それに、優一さんは悪い事をするような人では無いですし。」


どこまで寛容的な人なんだ。あと誉めてもらえて光栄です!


よし、この件は認めよう。さぁ問題は……。


「瑞覗さんつかぬ事を伺いますが、その書類、誰かから渡されたものですか?」


「あら、よくわかりましたね。確か、中嶋さんという方が渡しに来ましたが。」


あの糞教師、何処まで俺を苦しませるんだよーーー!!!




という訳で同居が始まりました。


昨日はまだまだイベントが続いた。だが、特にヤバかったのは風呂上がりの彼女だ。


替えがなかったとはいえ、俺のTシャツを着せたわけだが、こいつ出るところは出ていて目に悪い。


女性の耐性が余り無い俺にとってはハッキリ言って毒でしかない。彼女は気にしてなかったようだが……。


いや、考えるのはやめだ。とにかくまずは。


『朝食、作りますか。』


テーブルには目玉焼きベーコンに味噌汁、野菜のお浸し、ご飯が添えられている。


どうよ。俺の腕前、一人暮らしを舐めるなよ。


さてと、俺も学校あるし起きてもらいますか。


「コリス、コリスさん起きて下さい。朝食が出来ておりますよ。」


お母さんのような心で語りかける。ふふ。これが母性本能か。


いや、ちょっと違うかな?


「……う、う~」


ありゃりゃ、こりゃなかなかの強者のようだ。俺は不適な笑みを浮かべ。


『ならば見せてしんぜよう私の必殺技!』


「フレイム・テンペスト!!『火炎の熱風』」


どうだ。この熱気!まだ暖かいこの時期にこの室内の熱さ。誰であろうと寝苦しくて目を覚ますだろう。ふはははは!!!


だが、奴は


「……う~、あちゅ…い、い~」


『バカな!寝返りをうつだけだと!この技は数々の人の目を覚醒させたほどのものだというのにっ!?』


コリスさんは自分の手をTシャツにかけた。そして、そのまま脱ぎ捨ててしまった。


『なんだコイツ。ブラジャーを着けてるからって簡単に脱ぎやがって。ちきしょうこんなハレンチな子、どう見守っていけばいいか分かりません!』


そんな悶絶している俺をあざ笑うかのように彼女は手を下の方に……。


「ごめんなさい!許して下さい!」


もう俺は耐えられなかった。そんな俺の全力の声にやっと彼女は起きてくれた。


また、要らん所で負けた。


俺の敗北戦績がまた一つ増えた瞬間だった。




俺は今日ほどドキドキした朝はなかっただろう。何をしても女の子との朝は初めてなのだ、恥ずかしいだろう?彼女はそうでは無いようだが。


一通りのアパートマナーを彼女に叩き込み、俺は家を出た。


「家を出るときは?」


「……鍵を閉める?」


親指をグッとした。彼女も頷いている。


素晴らしい。ハレンチだけど物わかり良くて助かった。


「んじゃ、行って来ます。」


「行ってらっしゃい?」


駆け足で階段を降りる。まぁいろいろあったが、誰かと一緒に過ごすって楽しいよな。




さぁ、皆さん。状況判断の時間がやって来ました。今回のゲストは金髪の女の子。どっかで見たことがあるがそれはお愛敬だよね。


我らがC組の担任、沙鬼衣舞先生ことサッキー先生は転校生を紹介していた。


ふ、俺も愚かではないさ。この時期、このタイミングで転校して来るのは彼女以外いないだろうよ。


そんなの「転校生を紹介します。」の時点で分かったわ!


でも、彼女は見た目、小・中学校だと思ったんだが……。年齢聞くの忘れてた。




転校生コリスちゃんはそりゃもう大人気、男女とわず皆に好かれるようになった。3日程で、


一番驚いたのは彼女の年齢、何と16歳。俺達とためだったよ。ビックリ。こんな女性というより女の子なのに。


すっかり慣れて忘れていたが、日本語は仕事の関係で覚えていたらしい。ペラペラ話すもんだから疑問を抱いていなかった。


成績優秀、素晴らしい頭の持ち主だ。だから、家でも礼儀正しいんだな。うんうん。


「優一くん、昨日、聞き忘れてたけど彼女って前の事件で獣魔人に襲われてた子、だよね?」


貴田も昨日から復帰していた。所々、包帯が巻かれているが、問題ないらしい。


「あぁ、いろいろあって俺が護衛の任務をしてるんだ。」


「へぇ~。優一くんが護衛か。あまり似合わないね。」


何てことを何て顔で答えやがる。まぁ自分でも似合わないと思ってるからいいけど。


ふと。女子達に囲まれているコリスを見てみると。


「そういえばコリスちゃん。何処に住んでるの私、遊びに行ってみたいな。」


『かーーーーなーーーーー!!!』


何てこと聞いてんだお前!シバくぞマジで。だがな。甘いぜかな!お前の前にいるのは天才少女コリスちゃんだ。素晴らしい気転を気かせてくれるに違いない!


「……えっと……優一のお家?」


お嬢さーーーん!!!待ってもっと気転きかせようよ。キミはよくても俺がダメだし、任務だからやたらと他人に話しちゃダメなんだよーー……。


あ、言うの駄目って言ってなかった。気転きかせてーーー!!!


それから俺の周りで変な噂が流れ始めた。彼女彼氏の関係なのか?という噂は、まあ許そう。しかし、少女をたらし込んで持て遊んでいるだと!?


ふざけんな。んなことしてねーわ。逆に向こうから襲われるんじゃないかって不安なくらいだ。貴田の野郎も「頑張ってね。」の一言、仲間が減った瞬間に感じたよ。




そんなのほほんとした日も少し雲行きが怪しくなってきた。


コリスが事故に会う回数が増えてきた。彼女に物が降ってきたり、車にひかれそうになったり。


なんか。不幸とゆうより自分から不幸になってるような気がする。


実はおかしなことはまだあった。C組を中心に周りの人が良いことがあったという話が増えた。


何か不安なんだ。おかしい。コリス以外の周りの人が幸福になってる?そして、コリスは酷い目に逢ってる。


「中嶋先生、相談があるんですが。」


先生は待ってましたと言うように


「着いてこい。」


俺は言われるまま先生に着いて行った。着いた場所は校長室。


ノックをして中に入る先生。俺もそれに続く。


「やぁ、優一くん。久しぶりだね。」


「こんにちは。校長先生。」


俺はお辞儀をして早速、本題に入った。


「実は校長。コリスのことなんですが。最近、変なことが起こるんです。なんて言ったらいいか分かりませんが、まるで自分から不幸になって周りを幸せにしているような気がして。」


「分かっているよ。優一くん。さぁその席に座りたまえ。」


校長に促されるままソファに座る俺、


ここに座るのも二回目か。


「校長、私から」


「いや、いいよ。中嶋くん、私が話そう。」




~第四章~




ある一人の少女がいた。


彼女は人を幸福にする力を手に入れた。


彼女の周囲の人は幸せになった。


彼女は幸せでは無くなった。


終わり。


「つまり、彼女の能力は他者を幸福にし自分を不幸にすると……。」


「ちょっと意味が違うかな?他者を幸福にするのでは無く。自分の幸せを他者に与えるというのが正しい。」


「でも、それだと彼女の幸福はもう無くなっているはずじゃないですか。何故、まだ他者に与えることが出来るんですか?」


「彼女の能力は幸せを他者に与えるのと、幸福を自分の体内で生成することが出来るというものなんだ。」


「だったらこんな連続で不幸な出来事が起こるとは思えないんですが。ギブアンドテイク、良いことと悪いことは同じ割合で起こるものじゃないんですか?」


「そうだね。でも彼女は幸せになれない。それは、彼女が自分の力をコントロール出来ていないんだよ。」


自分の力をコントロール出来ていない?


「彼女は幸福を溜め込めずに、ただ放出しているんだ。だから誰といわず彼女の周りは幸せなんだよ。」


「それじゃ、彼女は只の幸福発生マシンみたいじゃないですか。」


校長はコクリと首を動かし


「ところで優一くんは神の力って知っているかい?」


「確か、世界を変える程の力を持つもののことを言うんでしたっけ?」


授業で習った気がする。


「そう。平たく言えばそういうことだ。」


平たく言えば?


「逆に考えてくれたまえ。それは簡単に言ってしまえば、他を圧倒するほどの力を持っているという事になる。」


「……。」


「改めて言うけど神の力は世界を変える力がある。つまりはコントロールが難しいということなんだ。しかも、彼女はまだ若い。力の扱い方も知らないんだろう。只でさえ、能力を発症したのはもっと若い時、力を抑えろと言ったところでコントロールなど出来るはずもない。」


そんな若い頃からこんな危ない生活を送っていたのか?だとしたら彼女は今までどんな生活をしていたんだ。


「だったら、尚更なぜ彼女はまだ生きてられるんですか?余りに大き過ぎる力は自分を滅ぼしてしまうものなんじゃないんですか?」


「優一くん、不幸なことと死は一緒では無いよ。どんなに運の無い人でも生きては行ける。ただその人の身に起こること全てが運の無いことなだけさ。彼女も一緒だ。彼女は最近とても不幸な体験をしている。でも、キミが救った。彼女はまだ生きている。つまり死んではいない。」


「それは、屁理屈ではないんですか?」


「そうだね。屁理屈かもしれない。でも、彼女は生きている。大切なのは結果だよ。」


そうかもしれないが、納得がいかない。


「優一くん、キミはハッピーエンドを想像しているのかな?だとしたらキミはまだ子どもだよ。その心は大切さ。でも、その心は同時に彼女の今までの人生を否定していることにならないかい?」


「……。」


「優一くん、キミは優しい。ここで出すのも間違いだと思うがキミはやはりキミのお父さんによく似ているよ。その優しさも力もね。」


「でも、僕には誰かを守れるだけの力はありません。」


「悲観的にならないでくれ、キミは強いよ。その才能を含めてね。」


僕には父さんのような力は無い。今の僕では父さんの足元にも及ばない。それが歯がゆいな。


「さぁ、これで私から話すことは終わりかな。優一くん、任務は任務だ。彼女をしっかり護るんだぞ。」


「……はい。」


俺はソファから立ち上がり、中嶋先生と共に校長室をあとにした。校長は僕が校長室を出終わるまで、優しい笑みを向けてくれた。


「優一、お前に話したいことがある。」


中嶋先生が俺に話し……ね。




ここは屋上だ。


あのあとすぐに屋上に来た。内容はコリスの過去、彼女に何があって、彼女が何を見てきたのかをおおよそ説明してくれた。


「この話を聞いてお前はどう思う。」


これは先生が俺を試しているんだろう。能力の話のあとに彼女の過去の話、俺という人間の器を計っているんだ。


だが、だからこそ俺は言った。


「彼女を救いたいです。」


俺の本音。頭の悪い俺には簡単な方がいい。目標が分かりやすくていい。言葉では甘えているのだろう。だが、まだ子供だし権利は有効に使わないとね。


「お前はそれでいい。だからこそお前は強くなれ、守れる力をな。」


先生は楽しそうに


「焦るなよ。ゆっくり力をつけろ。これは命令じゃない、人生の先輩からのアドバイスだ。」


語りながら、僕に一つの小瓶を渡した。


「これは何ですか?」


中は淡く光っている。見ているだけで心が溶かされていくみたいだ。


「お前のオヤジに頼まれてたモノだ。今のお前なら上手く扱えるだろう。」


父さんが俺に残してくれたモノか……。


「最後に聞いておくぜ優一、お前は守れるか、彼女を」


先生、今頃ですよ。それ。


「俺は父を越えるんだ。一人の女の子を護れずに道はねー。」


覚悟は決まった。やってやるぜ!


「ところで優一。今、6時ぐらいなんだが。いいのか?」


先生はニヤケ顔で言ってきた。殺すぞ。


俺は急いで学校を出た。もちろん、行き先は我が家だ。教室に戻ったら誰もいねーし、間違いなく家に彼女は居るだろうよ。

スマホでの長文書きは書くのが大変なので、2章ずつ投稿させていただきます。

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