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Skill Link Online  作者: 月丘 涼
1章 ~あなたに武器を託します~
4/9

安全マージンはしっかり取りましょう

カツーン!カツーン!

マコトルは、鉱石を発掘していた。しかも護衛をつけずに。

現在いる階層は27。マコトルがクリア済みなのは26まで。一つ上の階層が未だ攻略されていないので、職人としては無謀にもほどがある行動とも言える。

その無謀を可能にしているのが自ら作った装備である。装備に必要なLV、ステータスはできるだけ低く、付加されるものはより多くを徹底し最終的な数値はトッププレイヤーと同等までとなっている。

戦闘系スキルは、あまり上げていないために戦力としては少し格下ではあるが、それでも情報を集めながら手探りで見攻略エリアを進む《攻略組》と言っていい強さではある。

現在開放されているスキルスロットは5つ。

そこにマコトルは


 片手槌スキル

 採掘スキル

 罠設置スキル

 罠解除スキル

 索敵スキル


を嵌めている。

スキルはスキルスロットに嵌めておかなければ、効果を発揮しない。スキルスロットの入れ替えは《街》でしか行えないが、入れ替えに費用等が掛かるよりはマシだろう。

この組み合わせは、上から非常時の戦闘用、素材回収用、残りの3つが周辺警戒用だ。

隠蔽スキルという隠れて敵をやり過ごすスキルもあるが、採掘する際には、どうしても音がなってしまい、隠れるどころではない。

そのために、ひっかかると音を鳴らす罠を設置して敵から全力で逃げるのである。

罠解除は回収しないと他のプレイヤーに迷惑が掛かるのと、自分が引っかかると言うドジをしないためである。

当然一人で採掘を行うための組み合わせであり、鍛冶を行う時や、ボス戦に挑む時はまた別の組み合わせを用意している。


「う~ん、ここにきて鉱石の種類が増えすぎってくらい増えてる。こっちとしては楽しみだからいいけど、なぜだろ」


そもそもマコトルが自分がまだクリアしていないエリアにいるのは、この階層のマップのほとんどが鉱脈となっているからである。

市場に出回っていない鉱石があるかもしれない。そう思って挑んだのだが、ここまで笑みというよりは苦笑いの表情になってくる。


「もう少し掘ったら、帰るか。」


マコトルがそう呟いて、採掘用のハンマーを振り上げようとした。


ビー、ビー!


設置した罠からの警戒音が鳴り響く。


「やばいっ!」


採掘を中止し、音のなっている方とは逆方向に走る。同時に、装備ウィンドウを開いて、採掘用ハンマーから戦闘用の片手槌:鉄槌に入れ替える。

マコトルにとってまだここはクリアしていない階層である。情報もわずかであり、戦わないに越したことはない。

先日クリアした者達が公開したマップデータと、自分が歩いて手に入れたマップデータを繋ぎ合わせ、《街》までの最短ルートを頭の中に描く。

その時、別の警報音が聞こえた。設置場所で音を変えているのはどの方向から接近してきているのか瞬時に理解するためだ。そしてこの方向は


「よりによって真正面!?このままじゃ」


―――挟み撃ちにされてしまう―――


(ブレーキをかけるよりは、突っ走ったほうが時間は稼げる。進むは前!)

モンスターの姿を確認する、モンスター名:ストーカーハウンド。移動速度が高いタイプで結構距離を離さないと追い続けてくるタイプだった。

一撃では倒せない。逃げるだけでは追いつかれ、戦っている間にもう一体とも戦うハメになる。

(とりあえず……)

アーツの追加効果に期待して、その間に離脱しかない。

鉄槌を振り上げ、両手に構える。


片手槌アーツ『両手持ち』:片手槌を両手で持って攻撃した場合、ダメージが1.5倍に、追加効果の発動確率が2倍になる。(常駐)


そして

「『ストンプ』!」

鉄槌がアーツを使った証として水色のエフェクトに包まれる。


片手槌アーツ『ストンプ』:片手槌アーツの基本技、単体攻撃、ダメージは通常の1.25倍、40%の確率で1分間硬直の追加効果を発動する。


(両手持ちで、確率は80%!これで……)


追加効果が発動するならば、これでストーカーハウンドの頭の上に星がくるくると……

(でない)

それでも、その場に留まるわけにはいかない。後ろから追ってきているモンスターがなんなのかはわからないが安全マージンが取れないマップで複数のモンスターを相手に取れる度胸もステータスもない。

とりあえず、当たり判定の硬直時間を利用して逃げる用とするも、アーツ使用の硬直時間があるのでそんなには稼げない。数歩で追いつかれてしまう。

事前情報でストーカーハウンドは組み付かれない限り飛び掛り攻撃しかしてこないということなので、追いつかれて飛び掛ってきたところを反転して攻撃、飛び掛ってきたところを反転して攻撃を繰り返しつつようやくHPバーが半分になったときには、後続のモンスターの姿も視認できるようになっていた。モンスター名:メタボスライム。備考打撃攻撃無効。弱点、属性攻撃

「持ってないよ!そんなレア装備!」

属性攻撃とは、火、水、土、風、闇、光の6つ属性の威力をダメージ付与するものだ。相性が良ければ合計ダメージは通常の2.5倍ほどになる。

しかし、今のところ属性攻撃ができる武器は、特定モンスターから超低確率でしか手に入らず、ほとんどのプレイヤーは持っていない。商人プレイヤーに回ることも少なく売られたとしても保険のために自分で持っておきたいプレイヤーの方が多いだろう。

(街までまだ遠い。覚悟を決めるしか……!)

初期装備が片手剣だったために、片手剣の経験は少しはある。スキル、アーツは現状使えないが、ダメージ0よりはマシだ。

ウィンドウを操作しようと念じたその時、

「大丈夫か!」

声と共に斬撃の音が響く、メタボスライムの後ろに女性の姿が見えた。


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