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キング・オブ・マネー  作者: ほろろ
第一章 金はものを言わない
1/3

導入

 20XX年、世界は未曾有の不景気に瀕していた。

街は失業者に溢れ、都市の空気は人々をカタストロフィーへと向かわせた。


 荒廃した都市の中、とある痩せた姿の仲居が、料亭の暗い玄関で靴を探している。

その時、料亭から姿を現した一人の太った男性が、火のついた紙幣を灯りとして差し出し、こう言った。


「どうだ、これで明るくなったろう」


 そう、この趣味の悪い男こそ、本作の主人公である。




********


 世の中には二種類の人しかいないと思う。

金が稼げるか、それ以外か。

言葉や理屈では解決できない問題でも、金銭の力さえあれば思いのままに解決できる。

この世界では、金が物を言うのだ。


「社長、軍の方がお呼びです」


 そう、金さえあれば、優秀な司書も雇えるし、あの強権的な軍でさえ味方にすることができる。


「ああ、今行こう」


 そして、金さえあれば、この世のすべてだって掌握できるかもしれない。

私はそれを求めて、必死に働いてきた。

誰かから批判されても、例えそれが人々の不幸の種になっても、私には関係ない。


「迎えの車が来ているはずなのですが...」

「よい。

ゆっくり待とうじゃないか」


 しかし、私は知らなかった。

金の及ぼす影響力の強さを。

そして、それが人間の負の方向に作用したときの破壊力を。


「社長! 危ない!」


 気づいたときには、もう既に倒れていた。

そう何度も私の身体にナイフを刺すのではない。

身体から、あらゆる力がどんどん抜けていく。

これが死か。


 いろいろな映像がフラッシュバックしてくる。

大変な幼少期だった。

不景気で借金を抱えた父は夜逃げ、母が一人で私を育ててくれていた。

しかし、毎日取り立てにやってくる借金取りの恐怖のなか、ついに母は姿を消した。


 だから私はこの世界では金がものを言うことを知った。

あの苦しみを二度と味わないように、世界の資本家の頂点をとることを夢見た。

それなのに、こんな結末なんて許せない。


 死にたくない。

諦めたくない。

私は、私の夢を叶えられるなら、何にでもなってやる。

それこそ、姿形を変えたって、絶対に、絶対に。


 私の意識はそこでフェードアウトした。

お読みいただきありがとうございます。

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