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《拳で語る魔術 - The Fist of Arcane Mastery -》
ルイーダの酒場に、新人冒険者がやってきた。
「どう見ても魔法使いの才能があるのに、なんで拳で戦っとるんや……?」
殴る。蹴る。モンスター相手に真正面から肉弾戦を挑んでいる。
しかし、どう見ても武闘家の適性はない。
「こりゃまた、もったいないがねぇ」
戦い方の問題ではない。この新人には秘められた魔法の才能がある。
「ならば、うちの方法で覚醒させたる!」
ルイーダは厨房へ向かい、特製料理を作る。
マンドラゴラサラダは魔法感覚を活性化させる。
スライムゼリー和えは精神集中を高める。
「この組み合わせなら、《ウォーターボール》ぐらいは覚えるはずやがね!」
新人は戸惑いながらも料理を口にする。
すると――
「リヴァイアサン召喚……!?」
場が静まり返る。
「こりゃまた、どえりゃぁ才能や……!」
想像を超える魔法適性に、ルイーダは驚きを隠せなかった。
「育てがいがあるがねぇ……!」
今、ひとつの才能が開花した。
どんな未来が待っているのか、それはまだ誰にも分からない――。