《無料ほど恐ろしいものは無い - The Price of Free Hospitality -》**
ルイーダの酒場には、**毎日訪れるスパイ**がいた。
「なんや、しつこいがね……」
敵国の諜報員が店の様子を探り、情報を持ち帰ろうとしているのは明らかだった。
しかし――ルイーダは何も言わず、彼に**無料で食事を提供**した。
***
「えっ、これ、タダなんですか……?」
スパイは警戒しながら尋ねる。
ルイーダは涼しげに微笑みながら答える。
**「ウチの店、新人には手厚い支援する方針やで」**
そう言って、料理を差し出す。
スパイはしぶしぶ受け取るが、内心では疑念が渦巻いていた。
**「タダほど恐ろしいものは無い……」**
だが、食べた瞬間――ルイーダのスキル《ギブ&テイク》が発動する。
スパイの持つ隠密術、暗殺技術、情報収集のノウハウ――
**全てが彼女に流れ込んでくる。**
***
これを、毎日繰り返した。
スパイは次第に警戒を強めるが、ルイーダは一貫してこう言い続ける。
**「新人は大事にするんやで!」**
その一言が、すべてを覆す。
やがてスパイのスキルは根こそぎ奪われ――情報戦の主導権は、完全にルイーダへと移ることとなった。
「さて……これで、敵の手札は全部把握できたがねぇ」
次なる一手をどう打つか――ルイーダの思考は、すでに次の戦略へと進んでいた。