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 「しっかりしろ!おい、リザベル」

 誰より一番先に走って来たのはキース様だった。

 彼はダリアとはいとこで招待客の一人だった。

 「ダリア医者だ。リザベル。おい、しっかりしろ」

 


 私はそれから2時間ほど意識を失っていたらしい。

 目を開けると知らない天井があった。

 ゆっくり頭を動かすとそこには見知った顔があった。

 「リザベル。気が付いたのか?どこか痛むか?医者は骨は折れていないと言っていたが足首を捻挫していると聞いた。あっ、ごめんな。ダリアは今ちょうど席を外してて」

 彼は口早にそう言うと私を覗き込んだ。

 いつもの気真面目そうな顔の眉間に皺が寄っていつもより怖い顔に見える。

 でも、その瞳には心配の色が隠せてない。

 「わたし…あっ、頭が痛い…」

 「頭の打ったのか?医者は傷はないってったがもしかして…」

 「そうじゃないはず…あの時頭は打ってないわ‥つっ!」

 私は割れそうな痛みに思わず唇を噛む。

 「待ってろ!すぐ叔母さんを呼んでくる」

 「待ってキース様…あっ。ごめんなさい。ゴート侯爵令息」

 「ばか、こんな時にキースでいい。ちょっと待ってろ!」


 強面の顔から優しい言葉が降って来た。

 「…つっぅぅぅぅ…」それにしても頭が痛い。

 頭痛で苦しんでいると誰かが部屋に入った気配がした。

 「リザベル。どうしてあんなことしたんだ?まったく…でもけがが軽くて良かった」

 「アンソニー?どうしてここに。来ないで。近づかないでよ。」

 「じゃあ、約束しろよ。もうこんな無茶しないって」

 「当たり前じゃない、あれはあなたが…とにかく出て行ってよ!もう二度と私に関わらないで!」

 「まったく、その気もないくせにあんな態度を取るからだ。男を誤解させるんじゃないぞ。じゃあな」

 アンソニーはそう言うと出て行った。

 どうやら彼は私の心配より自分が追いかけた事がばれるのが恐いらしい。

 (なんて男‥とにかくもうおかしな事は起こさないようにしなきゃ…アンソニーなんかと関わるなんて二度とないから!)



 すぐにダリアとダリアのお母様が入って来た。

 「リザベルごめんなさいね。あなたに怪我をさせてしまってお医者様は捻挫だとおしゃったけど頭が痛いって聞いたわ。どう?」

 「叔母様心配をおかけしてすみません。頭は打っていません。だからきっとショックとかで痛いだけかと」

 「そう、それならこれを飲むといいわ。痛みを和らげる薬湯よ。お医者様が処方して下さったものだから安心して飲んで」

 「はい。ご迷惑かけて申し訳ありません」

 「そんな事は言いの。あなたとダリアは中のいい友達なんだから、おうちの方には連絡して今日はこちらに止まるように連絡しておいたわ。だから安心してゆっくり休んでね。さあ、ダリア薬湯を…私はこれで」

 そう言うと叔母様は出て行った。

 ダリアが持って来た薬湯を差し出してくれた。

 「もう、リザベル驚いたわよ。落ちたって聞いたときは心臓は止まるかと思ったわ。でも気が付いたって聞いて…はぁ安心したわ。さあ、これ痛み止めだから」

 私はカップを受け取るとゆっくり苦い薬湯を飲んでいるとキース様が入って来た。


 「さっきこの部屋からアンソニーが出てこなかったか?リザベル。アンソニーと何かあったのか?あいつ女癖が悪いって評判の奴なんだ。何か嫌な事されたりしなかったか?」

 「そうよリザベル。そもそもどうして二階から?」

 私は恥ずかしかったが事のすべてを話した。

 「それにしてもアンソニーの奴。来ないでって言ってるのにしつこく追いかけて来るなんて…最低だわ」ダリアが憤慨する。

 「ああ、それにさっきもここまで来ただろう?あいつリザベルを狙ってるのかも。気を付けた方がいい」

 「ううん。そんなつもりはないわよ。私はっきり断ったんだもの」

 「そうか。ならいいんだ。でも、気をつけろよ」

 キース様は黒髪をㇰシャリをかき上げると恥ずかしそうに微笑んだ。

 

 どきっ!

 私はそんなキース様にドキッとした。

 なんだろう?この感じ。

 「そ、そんなの分かってるわ」  

 「ああ、ごめん。余計な事だったな。じゃあ俺、帰るから。お休み」

 「「ええ、おやすみ」」

 私とダリアは声を揃えてそう言った。

 「ったく、俺が声をかけるつもりだったのにアンソニーの奴」そんな事をつぶやいてキース様は去って行った。

 

 






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