表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8


 私ははっきり言って頭に来た。

 なによあの態度。謝っても来ないなんて最低だから。

 思えばラビンの事が好きだったのかもわからなくなった。

 婚約が決まりそれに応えるのが使命だと言い聞かせて来た数年間。必死で頑張って来た。なのに。こんな仕打ち。ひどい!


 そして私は友人ダリアのバースディパーティーに出かけた。

 ダリア・ラビートとは学園で大の仲良しで家族ともども交流がある。

 パーティーは夜だが、私は午後早くにダリアの家に行った。

 「リザベル大丈夫なの?あんな場所で婚約破棄を言うなんて殿下も終わってるわ。って言うかばかなのよ。いいからあんな奴の事なんか忘れなさい」

 「ええ、なんだか今までの苦労はばかみたい。あんな男ボコボコにしてぎったぎったに…」

 ダリアにもう我慢しなくていいよって言われた気がしたら遂に涙腺が崩壊した。

 ダリアは私に付きっきりで慰めてくれた。

 (ごめん。今だけ。いっぱい泣いたらもう吹っ切れると思うから…)

 

 そして迎えたパーティーで私ははっちゃけた。同級生がほとんど飲み知った青ばかりで気が緩んだ。

 もう学園は卒業したんだし、お酒だって飲める年齢だ。そう思った私はシャンパンを何杯か飲んでいた。

 「おいリザベル。婚約を解消したって本当か?」

 そう話しかけて来たのは女遊びが有名なアンソニー伯爵令息。彼とは5歳違い兄の友人でタウンハウスが隣同士な事もあって幼いころ頃からの知り合いだ。

 それに今は国防院で兄と共に働いていると聞いている。

 (そんなアンソニーがどうしてここに?…そうだ。アンソニーは女慣れしてるし身体をゆだねても安心っぽいし…そうすればあんな奴の事なんかスッキリ忘れられるかも知れない…)

 落ち込んだ気持ちにお酒が入ったためか思考はおかしな方向に向いたらしい。

 「そうよ。だから私はフリーってわけ」

 「なんだよ。やけになってるのか?まあ、無理もないけど…聞いたよ。リザベルは被害者だろう?ほんとひどいよな。あのさぁ、お前を傷つけるつもりはないんだ。ただ、俺は…」

 アンソニーはふっと微笑んでそっを私の髪に手を伸ばした。

 かなり手慣れているらしくその頬笑みにも自信がたっぷりに見えた。

 でも、そんな事どうでもよかった。

 私は甘えるようにその手に身体を寄せた。その気があると思われてもいい。そう思っていた。

 「奥に休憩する場所があるって聞いたんだ。少し休めリザベル。飲み過ぎだ」

 「ええ…」

 ダリアは公爵令嬢で屋敷はものすごく広い。今夜の為に続き部屋を開放してるとは聞いていた。

 アンソニーは素早く部屋に入ると私を抱きしめた。そっと頬に手を添えられて初めての異性との触れ合いにときめきと不安を感じる。

 「ガチャ…」扉が閉まる音がしてアンソニーの顔が近付いて来た。

 途端に拒絶反応が出た。

 「いや!」ぐっとアンソニーの身体を両手で押して扉を開けて走った。

 「おい待てよ!そんなんで走ると危ないだろ!おい、待てったら!」

 アンソニーは怒ったように追いかけて来る。

 私はただパニックになって二階に駆け上がる。後ろからアンソニーの声。二階に駆け上がると慌てて扉を開いて部屋に飛び込んだ。

 「はぁっ、はぁっ。ちょっ、お前なぁ…もう逃がさないからな。さあ、こっちに来いよリザベル」

 「待って。気が変わったの。悪いけどそんな気はなくなったから…」

 「そんな気になるかよ。お前みたいな…いいからこっち来いたら」

 アンソニーは熱情のこもった眼?を浮かべてこっちに近づいて来る。

 「そんなの…いやぁぁぁ」

 私は襲われると思って窓を開けてバルコニーに飛び出た。それでもアンソニーは追って来て…

 「いいから危ないだろ…ったく」

 私は追い詰められた小動物みたいに震え、そしてバルコニーから飛び降りた。


 「きゃぁぁぁぁ~」

 庭にいた女性客が叫んだ。

 「リザベルしっかりして!誰かお医者様を呼んで…」

 私はそこで意識を失った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ