化学実験の失敗
入学してから三ヶ月、特に変わった事も無く、ごく普通に過ぎていく毎日。穏やか過ぎて退屈だった時、それは起きる。
「ドーーーン」
酸素を入れた袋にガスを少しだけ入れ、ガスバーナーで火をつけるという実験中、急に大きな音がなる。ビックリしてそちらへ振り向く。どうやら酸素量が多過ぎたらしい。そこにたまたまあったノートに引火し、ボヤが起きている。また、爆発の近くに居た生徒2名が火傷をおい血が流れているではないか。
教師は急いで消化にあたり、すぐに火は消し止められる。火傷した生徒も周りの生徒も放心している。フッと我に返ったリアは、急いで冷そうと2人に近寄る。
「早く水で冷やして!」
そう叫んで2人に触れた瞬間、強い光が発せられ火傷が一瞬で治ってしまったのだ。その一部始終を見たクラスメイトは、目を丸くし、火傷の2人は何が起きたか分からないといった顔をしている。
「えー、っと、一応冷やして保健室行った方がいいんじゃない?」
リアも訳が分からなかったが、ひとまず保健室へ行ってもらう事にした。
***
保健医であるユーラは、先程保健室に来た二人組の話を学園長と主任に伝える。
「実はさっき、実験で火傷をしたと言う2人の生徒が来まして、様子を見たんです。そうしたら火傷が無かったんです。」
保健医の言っている意味が分からず?となる2人。
「怪我が無かったなら、良かったのでは?」
「プラス生なら、自分で治癒出来る子もいるでしょう。」
「そうでは無く、ノーマルクラスなんです。」
「だったら、そもそも小さな火傷だったとか?」
「いえ、10✖︎10くらいで血も出ていたそうです。」
「!!!」
「たまたま治癒魔法が使える先生だったとか?」
「アーサー先生ですよ。」
アーサーはプラスの中では魔力が弱く、火の属性だ。
「「「………。」」」
そこへやって来たアーサーに、主任が声を掛ける。
「アーサー先生、火傷の件でお話かあります。生徒が火傷をしたとか。」
「はい、それを報告にあがりました。」
「で、どのくらいの火傷だったのかね。」
「怪我人は2名、1人は5✖️10程度、1人は10✖️10程度の火傷で、出血しておりました。」
「それで?」
「それで………よく分からないのですが、強い光が出たと思ったら、みるみる治ってしまったのです。」
「それは…誰の力ですか?本人達?」
「治癒魔法は珍しい力です。しかも結構強い力を感じました。それをノーマルの2人が使うとは思えません。」
「じゃぁ、ノーマルの中に魔法種が居ると?何のために?」
「そんなに強い魔力なら、そもそも魔法科に行くでしょうし、我々が誰も感じられないとは思いません。」
「確かに。」
「じゃぁ一体…?」
「もしかして、Φじゃないか?」
「こ、国王様!来られていたのですか!先ぶれを頂ければ、お出迎えしましたのに。」
「ははは!気にしないでくれ。たまたま寄っただけだ。」
国王であるルーカス・エスピオ・アービスは、たまにお忍びでやって来る。たまに来て将来国で雇う魔法使いを視察して行くのだ。実はなぜ突然Φが生まれるのか研究をしている。
「昔この国を救った大魔導士ユエ様も強大な力を持つΦだった。力を使った生徒を、城に招待しよう。会わせてくれるかい?アーサー君。」
「あのーそれが誰が力を使ったのか分からないのです。可能性としては、本人達と1番に駆け寄ったリアさんですが。」
「その生徒たちと会えるかな?」
「はい、すぐ連れて来ます。」
アーサーは教室に急いだ。