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無能な私に『世界を救え』なんて無茶振りはやめて下さい!  作者: 華峯 ミラ
序章

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18/18

王の傲慢さ

翌日


「フレッド、お前のナンパした娘はどうした?」


「ナンパなどしておりません。朝一で伯爵家へ立たれました。」


「フッ可哀想に。何なら折角の縁だし娶ればよかったものを。」


「ご冗談を。」


「ところで昨夜のうちに送った使いは帰って来たか?」


「はい、この後謁見となっております。」


「…リアは連れて来られなかったという事だな。」


「1人で帰って参りました。また後日来られるでしょう。」


「はー。私の側室が数日遅れるのかぁー。」


「へーへー申し訳ありませんねー。しつこいぞルーカス!それより、本当にリア嬢を側室にするのか?」


「息子達が自分の妃にしたく無いなら仕方ないだろ。」


「暫く王城内に居れば、内部の者に恋をするかもしれないだろ?」


「…それが王族や側近ならまだもしも、下っ端執事だったらどうする!言うことを聞かせられないかもしれない。しかしある程度地位が有れば、役目から逃げられない。そうなれば年齢の近い王子達が良いが、彼らが望まなければ、結局は従わせられないだろう。その点私は既にリアを気に入っているからな。」


「…ロリコン…」


「悪いがそういう感情では無い。しかし彼女が望めば、与えてやるのが王というものだ。お互いに差し出し合うのだ。リアは解呪を、私は地位や名誉。欲しいなら愛もな。」


(やっぱりロリコン?)


フレッドは怪しい目を王に向ける。その視線を受け流し、王は執務机に突っ伏す。


「はー早く来ないかなぁー。リアの治癒があれば仕事も捗るのに。」


コンコンコン


昨日伯爵家へ遣わせた者だ。


「失礼します。ご報告にあがりました。リア様は本日のお昼頃にはご到着されます。」


「そうか。…ラクア様の嫌がらせだな。」


「なんだルーカス?」


「ラクア様の力を使えば、一瞬で城まで来れるだろ!なのに昨晩でも朝でもなく昼だなんて…。」


プシューっと空気が抜けた様に執務机にダラッと体を預けているルーカス。


「まるで本当に恋焦がれてるみたいだな、ルーカス。」


「…今まで感じた事が無かった感情と言えばそうだな。ただ、自分の子供より年下に恋をする事は私は無い。もっと違う感情だ。」


「そうか。」


「この感情の名前はよく分からないが…。」





******


第一王子ジェドの執務室



(リア嬢が来るのは昼頃か。可能ならランチを一緒に食べられたらいいが。リア嬢は何が好き何だろう。)


「ルカ、今日のランチは何かな?」


「!!ランチ?珍しいな、ジェドがランチの事を聞くなんて。今日はちゃんと食べるんだな!」


「リア嬢が来るだろ?リア嬢の為にちゃんとした物を用意しておいて欲しい。」


「ふーん。お前が女に気を遣うなんてな!惚れたか?」


「そんな訳ないだろ。まだ数回しか会ってないのに。ただ、いつも呪いを緩和してくれるから多少礼をしようと思っただけだ。」


「そうか。まぁ、お前が好きになったところで結婚はもう決まってるからなぁ。」


「何だ?」


「公爵家の方だろ?今回はリリコ嬢が第一夫人で、第二はアリア嬢。第三がシエ嬢。もしリア様も娶るなら第四夫人か、はたまたアル様だろうね。」


「アルは娶る必要が無いだろ?呪いが出てないんだから。」


「呪いの強さ順で言ったら王様が第四夫人として娶る事になるだろ。」


「バッ!そんな年下の義母なんかあり得ないだろ!」


「関係無いだろ?親子ほどの歳の差でも、政略結婚なんて良くある話だ。それに年下と言っても2才じゃないか。」


「ならお前は2才年下の母親を許せるのか!」


「…父親の貞操観念を疑うな。」


「だろ?それなら俺が娶るのが順当だろ。」


「…でもリア嬢も可哀想だね。」


「何が?」


「本当なら好きな人と結ばれる立場にあるのに、神と仮契約したばっかりに王族と政略結婚なんて。」


「王族と結婚なんて願っても無い幸せだろ。」


「はー。コレだから王族は。あのなぁ、例えどんなに金持ちで権力もあるからと言っても、愛されてない妻がどれ程辛いか、お前には見えてなかったのか?」


その言葉にはっとする。ジェドの母は正妃だ。しかし二人の関係は良くなかった。王を愛してしまったばっかりに母はいつも悲しみにくれていた。第一夫人と第二夫人以降には明確な立場の差があり、夫人同士も仲良くはない。そして現在は、完全に生活区域を分けられそれぞれ全く交流が無い。つまり、王の妻だからといって、誰も幸せでは無いのだ。


「…。」


「俺は自分の生まれを幸せに思うよ。両親は恋愛結婚だし平民出身だからしがらみ無く好きな人を娶れる。リア嬢を娶りたい理由が呪いの事だけなら、俺はお互いに不幸になるだけだと思うけどね。」


「…そうだな。お前の話はいつも俺を正気に戻してくれるよ。」


「おう、感謝しろよ?そうやってちゃんと自分の傲慢さに気づけるやつだから、俺はお前を信頼している。」


「ああ、ありがとう。」

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