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無能な私に『世界を救え』なんて無茶振りはやめて下さい!  作者: 華峯 ミラ
序章

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14/18

第一王子ジェラルド

ジェドは生まれた時から王子としての責務を望まれた。それは国を担う事であり、その為には勉強・剣術・魔法、全てに置いて卓越していなければならない。


品行方正、文武両道である『完璧な王様』になるために、あらゆるものを犠牲にしてきた。いや、ジェド自身は何かを犠牲にしたつもりは無いし、当然そうあるべきだと思いやってきた。


しかし、二つ年下の第二王子のアルは、その地位の気楽さからフラッと城を抜け出して学友と遊びに行ったり、女性ともよく会っている。


その事を知って、「学生なら当然やっている普通」が、自分には無かった事に気がついた。その内呪いも出て来たジェドは、一時期はアルの言動を批判した。


しかし、その気持ちが羨望からくるものだと気づき、認めたく無くてアルを避けた時期もあった。アルにも悩みがある事を知った今は、良い兄弟関係を築けている。


そんなジェドも誕生日が来れば18歳。あと数年で成人となる。そろそろ結婚が視野にはいってくる。婚約者候補は主に3人。


全員公爵家で、強い結束がある。その均衡を守る為に、今まではその3家を結婚相手として娶ってきた。現王も正妃と2人の側妃がおり、誰が正妃になるかも、持ち回りとなっている。


くだらない慣習とも思うが、それが国を安定させる方法であり、自己を持ってはならない王族の勤めというものだ。そんな窮屈な中で、生活しなければならない。そんな風に諦めていた時に現れたのがリア。


リアはジェドに何も望まない。寧ろ自分を顧みず、痛みを解いてくれる。そしてあの言葉が耳から離れない。


「呪いは王子様には何の落ち度も無いし、英雄様は仕方なく呪いを受けたのよ、民の為に。だから誰も悪くないよ。」


彼女にとっては取るに足らない言葉だったかもしれない。しかし、呪いをそんな風に思ってくれる人は少ない。


「英雄の子孫ならしょうがない。」「引き換えに裕福な生活をしてるんでしょ?」そんな声がいつも聞こえて、辛いなどと言うのは悪い事だと思っていた。


彼女が気になる。神様と仮契約でき、普通の治癒魔法とは少し違う力を持っているリア。何の飾り気も無く地味な平民。なのに気になる。


しかし、どれだけ気になろうとも、リアは神の愛娘。下手な事はできない。それにジェドは決められた者を娶らなければならない事は変えられない。


先日、食事の席で彼女が掛けてくれた魔法。痛みと苦しさが一瞬にして溶けた。半日で痛みは少しずつ戻ってきたが、体の重怠さは一日中無かった。


あの一瞬でこんなに効果があるなんて。でもその一方で、リアが代わりに倒れたのだろうか。


こんなにも様子が気になるのは、やはりあの言葉が嬉しかったからだろう。

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