王とエイハの秘密の会話
王は軽くなった体で近衛兵団の訓練場に来てみた。
「王様!どうしてこちらに?(小声で)お身体は大丈夫なのですか?」
「あぁ。フィナも居たのか。今日は近衛兵達の訓練を見ようと思ってな。」
「ありがとうございます。皆の者!我らが王が訓練を見に来てくださった!いつも以上に研鑽を積む様に。訓練再開!」
皆はいつも以上に訓練に励み始める。
「王は危険ですので2階の観覧席でご覧下さい。ご案内します。」
「いや、一人で行ける。お前の訓練も見たいからな。邪魔はしない。」
暫く王が見ていると、入り口の兵士がフィナを呼びに来て連れて行く。そして戻って来たフィナの後ろには、リアとラクアがいる。
(リア!どうしてここへ?)
何かを話し、ゴリラの様な屈強な男を指差すラクア。
(何だ?フィナとリアが戦うのか?あんな細くてちっちゃい娘が?剣ができるのか?)
見ていると、リアは何かを祈ったかと思えば、魔法で剣を作り出す。そして撃ち合いだす。
(凄い!リアはあんなに強いのか!フィナと打ち合っても負けてないというか、寧ろ力で勝っている。身のこなしも騎士レベルだ。)
「ルーカス!」
声の方を見る。そこにはいつもトレビァーんな男エイハが冴えない服(ごく普通のスーツ)で立っている。
「エイハか!?元に戻ったのか!」
「はい、リア君が解いてくれました。また元に戻ってしまう様ですが。」
そう言いながら、今までの経緯を話す。
「リアという娘、本当に使えるな。見てみろ。今もフィナと互角に戦っている。」
二人は闘技場を見下ろす。
「これは…互角…以上にリア君が押してますね。神の力ですか?」
「だろうな。かなり習っても、あの体でああなるのは不可能だろう。体に負荷がかかりすぎる動きだ。」
(?剣を合わせたまま止まったぞ?)
「何でしょう?動きが止まりましたね。」
「ああ。」
するとフィナが膝をつく。
(フィナが負けた?そんな…。会話が聞こえない。)
エイハも同じことを思ったのだろう。拡声魔法の呪文を唱える。
聞こえて来た会話は、想像以上に実のあるものだった。
リアは無意識に浄化してしまうこと、ゴリラ化できる事、そしてリアが代償も顧みず王族の呪いを解こうとしていること。王は徹底的にリアを利用したいと思った。
(やはりアレしか無い。)
ルーカスが卑下だ笑みを浮かべると、急に悪寒が走る。見るとラクアがこちらを射殺さんばかりに睨んでいる。ルーカスは振り払う様にその場を後にした。
それぞれの思惑を抱えて、エイハも闘技場を後にする。




