訳有りな妻と愛娘 ⑧ 母子手帳
理沙の涙と涎でグシャグシャになった玲香の母子手帳を
タオルやドライヤーで乾かしながら
私は義姉でもある玲香に聞いてみた
やっと号泣して寝落ちした理沙をベッドに寝かしつけた所だった
「さっきは聞きそびれたけど、母子手帳の赤ちゃんのお父さんは、俺の知ってる人?」
正直、思い当たる男性は、私には分からなかった
学生の頃からミスキャンパスに推薦されて成ったり、タレントやモデルとかしてた彼女の事だし、今のタレントらしい仕事は遅い時間帯になる事が多い、たまにテレビや地方局に出てるらしいが、私は知らない
その為、帰宅は午前様になるのも珍しく無かった
そんな訳で、理沙はとっくに寝てるから
遅い帰宅時、そっとベッドに入って起こさないように気を配って添い寝してるらしい
彼女の母子手帳の赤ちゃんの父親は
どこかのIT関係の創業者とか、怪しい事業してる連中とか
そんな類いの人間かと探りを入れてみた
「何言ってるの?貴方に決まってるでしょう?」
それを聞いた時
俺は空いた口が塞がらなかった
何故なら義姉の玲香とはキスすらした事も無いからだ
高校の頃から同級生だったので
手を触れたぐらいはあったかも知れないが
神に誓って赤ちゃんを授かるような真似すらした事が無い
と宣誓出来る
( ー`дー´)キリッ
玲香は、お腹を優しく押さえながらやれやれ、と言った素振りで次の台詞を呟く
「妹の3回忌のあと、貴方はぐでんぐでんに酔っ払って私に介抱されてたのは覚えてるでしょう?」
た、確かに、それは覚えてる
しかし、タクシーで一緒にマンションに帰宅した後、ベッドに横になった辺りから記憶が飛んでる
「あの後、私、貴方に無理矢理、、、」
少し恥ずかしそうな素振りをしながら、再び両手で下腹部を軽く押さえる彼女だった
「ま、まさかあの時、俺は間違いを犯したのか?」
俺は、あの日の出来事を必死で思い返そうとしたが、上手く行かない
何故なら記憶が飛んでから、正気が戻ったのは
バスタブの中で溺れかけた時だから
目が覚めたのは朝だったし
犯行?現場らしいベッドのシーツも既に新しいのと交換されていたから
どうやら、あまりの泥酔でベッドでリバースしたらしい
果たして俺は、本当に妻の義姉と過ちを犯してしまったのか?
「どちらでも良いけど、私はこの子を産みますからね!」
キッパリ言い切った玲香は自室へと帰ってしまった
何と恐ろしい神の審判か?
元妻の3回忌で、慣れない深酒をして、義姉と関係を持ち、望まない命を授かってしまったのか?
頭を抱えながら、俺は途方に暮れた
。・゜・(ノ∀`)・゜・。