ボッチな俺に訪れた悲劇?
「藤川くん、これ」
今日はバレンタインデーの昼休みといってもボッチ街道まっしぐらの俺にとって無縁な世界のはずなのだが、目の前にチョコレートらしき物を持っている女子が真剣な顔をしているのだが、残念なことに俺の名前からは藤咲なのだ。
そして彼女の名前は、冬木綾香、このクラスではハイカーストに位置している女子の1人だ。だから油断禁物、こいつとはこれまで一回も会話をしたこともないし、面識もない。
「冬木さん、ありがとう。けど、名前間違っているんだけと」
すると彼女は、はぁとため息を吐くと
「名前ぐらいどうでもいいでしょう。チョコレートもらえるなら、藤川くん」
そう言うとやっぱやーめたとチョコレートを引っ込めてハイカーストの連中の元へ戻って行って、俺の悪口を言っているのだろう。時折、俺の方を見て虚しい馬鹿笑いをしていた。
するとそのことを見かねた1人の男子がやってきた。
「よう!亮、相変わらずボッチだな」
明け透けなく話しかけてくるこいつの名は、鮎川勇人、ボッチな俺に唯一話しかけてくれる奴で、むしろ友達と言っていい。
「なんだよ。ハヤト、揶揄いに来たのか?」
ニヒヒと笑うと
「相変わらず捻くれてますな」
「それよりいいのか?彼女を放っておいて」
「大丈夫、放課後にちゃんとフォローしておくから」
「あっ…そっ」
こいつは彼女持ちだ。だから、別にあのハイカーストの女子達はどうでもいい様だ。するとこのクラスにもう一カ所、異変が起きている場所があった。倉持健斗が座っている辺りだ。
彼は学校で一番人気の男子だ。あのハイカースト女子は、勿論、かなりの女子が彼にチョコレートを持ってきていた。
「予想通りだな」
「ああ…俺もな」
「そうでもないぞ」
ハヤトの言葉に?をつけていると
「ハヤトー!」
「優香、おそかったな」
「ごめん遅くなっちゃった」
ハヤトの彼女、霧峰優香がはいと俺にチョコレートを渡してきた。すると後ろの方から、いやーねー彼氏持ちからもらってるわよと、聞こえてきたんだけど、そんなことは優香には関係ない様だ。
「いつも彼氏がお世話になっています」
そう言って渡してきたのだっだ。
「ありがとう」
その時だったクラス中が騒がしくなってきた。その原因は、学園一の美少女、伊達まさみが教室に入ってきたことだ。
と言うことは、クラスの全員が倉持にチョコレートを持って来たと思い込んでいる。俺もそうなんだけど、彼女の動きに注目が集まる。
そして、倉持をスルーして、あれ?俺の前に立った。しかし、彼女は何故か淡々と話始めた。
「あなたが藤咲亮くんですか?」
「はい」
「そうですか。では、これを」
そう言って、彼女のカバンからチョコレートを取り出してきたのだった。
「えっ?」
「受け取ってもらえませんか?」
受け取りますと慌てて受け取るとホッとした様子で
「ある人からちゃんと渡して下さいと頼まれたので、助かります」
この話を聞いた周りの男子達は、ホッとした様子だった。そこまでは良かったのだが次の瞬間、彼女はカバンからチョコレートを取り出した。
「それとこれは私からです。お礼ですので気にしないでください」
俺にチョコレートを手渡すとそれではと言って教室を出て行ったのだった。
当然、俺には殺気だった視線が降り注いでいたのだった。
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