転生
学生時代、俺はずっといじめられてきた。
不良学生たちからバレーの練習だと言ってバレーボールをひたすら体育館で体に叩きつけられたり。
女子たちからはデブだから臭い、近寄るな暑苦しいと言われた。
親は出来の良い弟ばかりを可愛がり、高校を卒業したら家を出て行くように言われた。
社会人になれば変われると思っていた。
しかし社会人になっても変わらず、パワハラで上司に毎日罵倒。
会社な女性たちからは無視された。
弟が大学生活を充実するためにと親たちは俺の給料や貯金を使ったりした。
俺はある夜、弟が友人達と仲良く遊んでいるのを見た。
俺は思わず、ふざけるなと弟の胸ぐらを掴んだ!
弟たちの友人らはこのデブ誰と俺を弟から引き離し、俺を殴打した。
弟は俺にお前は俺に金だけおろせるATMで良いんだよ!
バカ兄!
俺は虚しくなった。
親からしばらくすると電話がかかってきた。
「光希お前!弟の胸ぐらを突然掴んだってな!何の恨みがあるんだ!」
「お前みたいなクズは死ね!」
その言葉に俺は何もかも嫌になった。
俺は自身の会社のビルに入り、屋上から飛び降りた。
死ね死ね死ね死ねと頭の中で響く。
みんな俺を嫌な目で見る。
これで良かったんだ。
あの目をもう見ることは無い。
『何を言っているんだい?僕の救世主!』
と大きな光が目の前に現れる。
天使か?
俺を迎えに来たのか?
ここはどこだ?
気付くと俺はベットに横になっていた。
「大丈夫かい?」
優しそうな男の声がする。
その男は心配そうな顔をしながら俺を見ている。
「兄ちゃん、川で傷だらけで浮いていてよ。びっくりしちまったよ。」
「剣はそこに置いたぜ。まあ俺が使えるものじゃないから取ったりはしない。」
頭がボッーとする。
俺は今まで何をしていたんだろか?
俺はそうだ自殺したんだ。
そしたら訳の分からない光輝く変な声がして。
『変とは失礼な!』
と頭の中で声が響く。
なっ!
俺はびっくりしたが無性に腹が立った!
「お前は一体何ものだ!天使か!神か!生前俺を一切助けもしないで失礼はどっちだ!」
男は驚いた顔をした。
「兄ちゃん。あんた外から来ただろう。外から来ると最初頭がグルグルするんだ。」
「少ししたらここにも慣れてくる。そうしたら調子を取り戻すさ。」
俺はやってしまったと思った。
「すまない。アンタに言ったんじゃ無い。本当にすまない。」
『私の名前はルシだよ。天使でも神でも無い。妖精さ!』
俺は頭の中の整理が上手く出来ていなかった。
そのままグッタリするようベットに横になった。
「横にさせて貰っても良いですか?」
するとその男は頭を掻きながら話す。
「ああ。よく分からないだろう。まあ今は休め。少ししたら夕食を取る。その時に話そうや。」
俺は頭の中で呟いた。
少し休んで、食事を済ませたらお前も話そうやルシ。
男は食卓に食事を並べた。
そこに家族が集まる。
男の家族は妻と男の子2人の4人家族だった。
子供たちは起きた俺を見ると興味津々で近寄って来た。
「お兄ちゃんどこから来たの?」
と俺の顔を覗き込んで来た。
男はそれを見ると子供たちに注意をして席に大人しく座るように指示した。
「お兄ちゃんは記憶を失っているんだから、聞いても無駄だろう。ほら席に座れお前たち。」
男は子供と妻を席に座らせた。
すると家族の紹介を始める。
「俺の名前はアルフ、妻のイリヤ、このヤンチャなのが兄のベン、そしてもっとヤンチャなのが弟のロイドだ。」
俺も自己紹介をする。
「俺の名前は長谷川光希。」
多分ここは異世界だろう。
俺は別に記憶を失ってはいない。
決めつけられるのは少し気にはなった。
俺も話すかどうか迷ったがどうせ信じてもらえないなら話してみれば気が楽になる気がした。
「俺はどうやら別の世界から来たようです。」
「俺は別の世界で死んで、ここに転生されて来たんです。」
普通なら信じないし、頭おかしくなったのかなんて思われるだろう。
ただ元々死のうと思っていた人間だ。
また生前のような思いをしなければならないと思うと嫌だ。
いっそおかしい奴だから追い出して貰って欲しい。
男はそれを聞くと驚いた顔で話し始める。
「別世界から来た人間がいるなんて、生まれて初めて見た。」
嘘だろ!
なんで普通こんな話を聞いたら頭おかしいとか変な奴って思うだろう!
それから俺の元々いた世界の話をする。
まあいじめの話とか親とかの話はしたくなかったからスマホやインターネット、家電、クルマなど異世界人が驚く話をたくさんした。
子供たちは興味津々で聞いていた。
だが親の2人も何も疑うこともなく、話を聞いていた。
その話に夢中になったのか夜も更けてしまった。
そのためアルフはもうそろそろ寝よう続きはまた明日と指示をした。
俺はベットに横になるとルシに話しかけた。
こんな世界にお前は俺を連れて来て何をさせるつもりだ?
『君には幸せになって貰いたいんだよ。僕はただそれだけさ』
俺はその日眠り付いた。
翌朝俺は鏡を見て、びっくりした。
おいマジかイケメンじゃねぇか!
鏡を見ると生前の頃とは違った顔になっていた。
そういえば、体も引き締まって痩せているな。
『どうだい気に入ったかい?』
まあでもかっこいいじゃないか鏡を見て頬を赤らめてしまった。
ルシとりあえずお前に感謝する。
『これで死にたいとは思わないかい?』
なぜお前は本当に俺に幸せになって欲しいのか?
まあこの世界が俺にとって良ければだが。
カンカンと鐘の音が鳴り響く、悪魔だー!悪魔だー!
と外で騒いでいる。
俺は何事だと家の外に出る。
するとアルフも外に出ていた。
「兄ちゃん!外に出るな!中に入っていろ!」
明らかに普通では無い。
家の中でベンとロイドが怯えている。
俺はその姿を見て、居ても立っても居られなかった。
俺は俺が元々持っていたと言われる剣を手に取って外に駆け出した。
俺は村の外に出るとそこには黒い獰猛な狼たちが群れを成して村に向かって来るのが見えた。
俺は一度死んでいるんだ。
戦って彼らが少しでも生きられるのであればそれも本望だろう。
『君はサムライの国から来たんだった。サムライを思い出すね。僕は最強なんだから僕に任せてよ!』
お前戦えるのか?
と俺の目の前に強い光が現れ、そこから可愛らしい妖精が現れる。
『さあ刀に手を当てて。一気に終わらせるからね。』
俺はそっと鞘に手をかけた瞬間何かに引っ張られるものすごい力で引っ張られていく。
すると徐々にオオカミたちの群れが近づく。
『大丈夫。奴らからは君が見えない。ただそう目の前にいるオオカミを君は斬れば良い。ただそれだけのこと。』
俺は無我夢中で目の前に現れる狼を次々と斬った。
気付くとその感覚は無くなり、元いた風景に戻っていた。
『例はいらないよ。僕は君の一部。じゃあね。』
と妖精は俺の中に戻った。
俺は辺りを見回した。
狼たちは黒い蒸気を纏って消えていく。
俺がやったのか?
「オェ!」
俺はあまりの気持ち悪さに吐いてしまった。
アルフがおーい大丈夫かーと叫びながら近寄って来る。
アルフと村の何人かの男たちで俺を担ぎ上げ村に送ってくれた。
なんか思い出すな社会人の時、酔っ払ったパワハラ上司をおんぶしてタクシーまで乗せたこと。
すごい暴れて殴られて本当に大変だった。
村の人間たちは俺があの狼たちと戦いを見ていたらしく、俺はまるで光の閃光の如く狼たちを瞬く間に斬ったそうだ。
村の人たちは俺にしばらくあの狼や他にもいろんな魔物が時たま襲って来るから守って欲しいとお願いされた。
狼たちは悪魔と呼ばれており、ああやって人を襲うそうだ。
本当は村を守る都市から派遣された兵士が村を守ってるのだが、村の防衛が退屈で街にサボって遊びに行ってしまったそうだ。
何ともふざけた連中だ。
俺は村人たちの英雄になった。
俺は村の女性たちから言い寄られた。
まあ俺はこんな顔だし、そして村の英雄だ。
これはまさにモテ期!
生前はモテなくて彼女もおらず童貞だった。
だが今はモテる!
しかし初体験は初体験は愛した人と添い遂げたい!
「すまないが!俺はそういうのはいい!」
そう愛している女性としか俺はやらん!
そういうと女性たちはみんなアッそうと諦めていく。
なっ?
諦め早くないか?
アルフがびっくりした顔でこう言う。
「兄ちゃんあんたゲイか!」