第95話 たけき者も遂にはほろびぬ
警笛が鳴っていたあたりにロイとエイドルフが駆けつけた時には、既に何十人かの魔術師を含む兵が倒れている中で、兵士から仙霊機兵となった班の一つが、黒い巨獣と交戦していた。
「遅くなりました!」
「カノンか! 助かる、援護せい!」
「こいつは!?」
見たところ今そこで咆哮を上げ暴れているのは黒い鱗に覆われた巨大な犰狳のような竜っぽいが翼のない魔物だった。大きさはあの幻霞竜の半分ぐらいだろうか。
班長で【浮身】……体重を消す仙力の使い手であるリン十卒長がロイに答える。
「噂の業魔の、それも幻妖だ。元になっとるのは敲地竜っつー竜の一種だろう」
「こいつだけですか?」
「他にも少のうても一体、別種の黒い鱗の魔物がおった! だがさっきから見のうなっとる!」
南方出身のリン十卒長は言葉に向こうの訛りが入っている。強面の顔を含めて妙に迫力があった。
「それはまずい」
「まずこんなぁを倒さんことにゃ、話にならん! われの力でやってみい、わしらの霊力では凝核らしきところを撃ってもどうも効いとらんけえ!」
「凝核は!?」
エイドルフに殴られ霊力を励起しながらロイが尋ねる。
「分かっとる限りじゃ、額と、左脚の付け根じゃ!」
「分かりました」
「気をつけい、こんなぁは今んとこ魔術も打撃も一切効いとらん! あと大地をいなげに揺らす!」
「揺らす?」
「そうじゃ。……噂をすりゃあ! 地面から離れい、跳べるなら跳べ!」
見ると黒竜の巨体が、己の身長ほどに高く跳躍していた。そしてそのまま下に落ちてくるが、その脚に原始的な魔法陣のようなものが浮かび上がっていた。
そして気がつく。周辺の地面が変だ、まるで耕されたかのようにひっくり返っていたり、ひび割れたりしている。
「来るぞ、耐えい!」
黒竜の着地の直前に兵たちも跳躍の術が使える者は跳躍し、できない者はむしろ武器を地面に突き立てる。
グァン!!
そして竜が大地に着いた瞬間、轟音と共に周辺の地面が実際に波打った。
「!」
波の大きさは最大で人間の身長ほどにもなり、地面にいた者は弾き飛ばされたり、波と共に崩れた土に飲まれる者もいた。
『魔震』という大地を揺らす範囲魔術に似ているが、振幅が遥かに大きい。しかもこれはただ揺れるだけでなかった。
波が収まったあと、土に潰されてもいないのに立ち上がれない者が何人もいた。
例えば、魔術が自己強化すら使えないので跳躍もできなかったエイドルフは、震えて座り込んでいた。まるで麻痺したかのように。
「あ、あが、うご、うごケ、な……」
「これは!?」
「呪詛系魔術の類じゃ、魔震によって揺らされたことを引き金に、朦朧となる状態異常もかかるらしいんじゃ。しばらくん間こうなる」
「しばらく? 呪詛ってヤバいやつっすよね?」
ロイは魔術師でないので詳しくはないが、確か呪詛系統魔術は術者が支払う代償がきつい代わりに、抵抗も解除も困難な状態異常を引き起こす術だったはず。そして幻妖ならば自滅に至りかねない代償でも躊躇するまい、するとそのぶん強度の強い呪詛を放ってきてもおかしくない。
「一度食らうと仙力持ちでもおおかた20数えるくらやぁ動けん! そうでないなぁもっと長い、そのせいで魔術師どもなぁ何人も先にやられて、生き残りなぁ逃げおった!」
それ以上喋っている余裕はなかった。動けないエイドルフ目掛けて黒竜が跳躍してきた。魔法陣はない、今度は単純に押し潰そうということらしい。
「ちっ……堅くなり、伸びろ!」
『はーい』
ヴァリスに命じて如意棒を地面に刺しつつ支え、伸ばして叩きつけ、竜の落下軌道をずらそうと……したが。
『重っ』
もちろんこの巨体は単純な重量でも重そうだ、人間の百倍近くはあろう。
だがそれ以上に『重い』、いや、動かない。
全く動かず黒い鱗の表面で弾かれ、如意棒のほうが地面に押し込まれる。逸らせない……! ロイは一瞬の判断でとっさに「逆」に切り替えた。
「ぐぎゃっ!」
エイドルフがロイに蹴り飛ばされて飛んでいく。そして直後に黒竜が彼がいた場所に落ちてきた。
ドスンッ!!
「Gruuuu?」
獲物が間一髪で逃げた(?)ことに気がついた黒竜は、獲物を蹴った人間のほうを向いて唸りをあげる。
「……霊撃でないと、空中にいるのを少し押そうとするのすら弾かれるのか?」
『今のは……』
如意棒の方から念話が聞こえてくる。
『この黒いの、おー、これは、こ……? げえっ!』
「どうした? あれは業魔ってやつらしいが」
念話のため声に出すより遥かに高速だ。黒竜と対峙しながら、何か情報がないかをヴァリスに聞くことにする。
『あの黒いのは【拒絶】の仙力を持ってます』
「具体的にはどんな力だ?」
『んー。まあ基本は物理無効の防御結界だと思ってください。実際は【境界】に由来する凄く奥深い能力ですけど、あの個体が持ってるのは断片のようですし』
「どのくらいの攻撃を、どれくらい無効化できる?」
『霊力が続く限りは止められる威力に上限ないですね。あの図体の霊力なら、城が吹っ飛ぶようなのにも一回だけなら耐えるでしょうし、首が飛ぶ程度の攻撃なら三桁回は無効化できるでしょう』
あの巨体の首を切断するほどの一撃となれば上位魔導具か儀式魔術級だ。それを百回以上防げるというなら、実質的に人間の攻撃は殆ど効かないと言える……が。
「魔術では駄目なのか?」
『この世界で「魔術」とされる力は、あの仙力から見れば殆どが物理扱いであると考えて差し支えありません。単純な攻撃魔術は当然として、脳に作用する精神操作や状態異常なども『物理』の範疇です』
マジかよ。
『凝核探知の術のように霊気に作用する代物なら条件付で有効でしょうが、攻撃に使うには厳しいでしょうね』
「お前の攻撃ならどうだ?」
『今の私単独では無理ですね。ご主人様が霊力を込めてくれれば何とか。霊撃なら貫けます』
正攻法では無理か。霊撃しかなさそうだ。
「……仕方ないか」
ロイが如意棒に霊力を通すと、彼女は喜ぶかのように震えた。
『♪♪』
「で、これでいけるのか?」
『具体的なやり方ですが、攻撃に霊気を込めて、向こうの仙力を中和するんです。すると次の一瞬だけ物理無効結界が弱まると思います。ほんの一拍の間ですが、その間に次の攻撃を叩き込めば、物理でも通ると思いますよ』
「霊穿でもいいのか?」
『そうですね。……ただ、相手が幻妖だとしたら、本命の攻撃のほうも霊撃混じりでないと余り通じないでしょう。なので霊撃を二連続で放ってください』
「連続か」
『ご主人様なら、お勧めは蹴りや私の打撃に合わせて直前に霊刃を飛ばし、次に蹴りや私本体にも霊気を乗せるやり方ですかね。物理攻撃も通って倒しやすいかと』
「分かった」
「十卒長! 白煙になったときに燃やすあては?」
「悪いが、今は『火弾』くらいしかありゃあせん! そんで燃えるとこまでひたすら弱らせい! 油ももってこいとはゆうたが、いつになるかわからん」
『火弾』は炎の攻撃魔術としては最弱の部類だ。大きさは人間の頭程度で、最大射程も小石の投石と大差なく、威力も革鎧で防ぎきれる代物。それどころかうまくやれば剣圧でかき消せる。煌星騎士団の前衛ならほぼ全員がそれくらいやってのけよう。
単独で白煙を燃やすには火力不足だ。だが専業魔術師でないならそれが戦闘で使えるだけでも上等だ。ロイ程度の魔力では一発使えるかどうかで、それも長々と呪文が必要で戦闘ではほぼ無理である。
幻妖対策として、そうした弱い術でもいけるように油や乾燥木屑も備蓄しているはずだが、今は用意できていないようだ。
今度は黒竜がロイに向かって跳躍してきた。あまり如意棒の力は借りたくないが、もう一体以上こんなのがいるかもとなれば時間はかけられない。
「はあっ!」
【妖隠】から【投錨】を用いて灰色の空を駆け、まず左脚の一つ目の凝核に如意棒を向け、その先端から霊穿を放つ。
すると黒竜の体の表面に触れたところで、軽い霊気の爆発のようなものがあり、そこを中心に波紋のように霊気が揺らぐのがわかった。
間髪入れずそのまま如意棒を伸ばして鱗に接触させ、霊撃を流し込む。
『GYAAAA!!』
今度は通った! 黒竜が苦痛のうめきをあげ、一瞬姿がぶれる。
その間に、リン十卒長が動いていた。【浮身】で竜の額まで飛び上がり、霊気を込めた蹴りを放つ。
やはり波紋のように霊気が揺らぐ。だが追撃の前に黒竜は自分から頭突きを仕掛けた。十卒長はぶちかましを受け、吹っ飛ばされる。
「こんなわれえぇぇぇ……」
声が遠くなる。【浮身】は体重を軽くする力で、【軽重】と異なり慣性も変えられる。そのため衝撃は逃がせるのだが……それは、吹っ飛ばされやすいのと同義でもある。
そうして彼は投石器の弾になったかのように飛ばされていった。直後にロイが額の所に辿り着くが、その時にはもう霊気の揺らぎは収まっていた。
「短いな!」
霊気の揺らぎは2数える間も続かなかった。ロイほどの速さと霊気操作力がないなら、複数人の連携した攻撃が必要だろう。
なるほど、これなら十卒長らの攻撃が効かないという理由もわかる。普通の幻妖と違って一発では足りない。
まだ仙霊機兵の大半は霊気の高速操作が未熟で、これぞという一撃に霊気をしっかり込める、というやり方をしているので通らなかったのだろう。このあたりも情報共有しないといけないか。
あるいはこれならどうか?
ロイは敢えて霊気を垂れ流しながら、黒竜に蹴りを放つ。すると防御結界を揺らがせつつ表面に届いた、打撃のほうは手応えというか足応えはそこそこあった。
だが、肝心の霊撃のほうが効いていないようだった。凝核はこの辺だったはずでは?
一瞬迷っていると、黒竜はロイごと頭を地面に叩きつけようとしてきた。
「ちっ」
いったん黒竜から離れ間合いをとる。
『垂れ流しでも、よほど大量じゃないなら流れがいったん止められてしまっては効果が落ちます。例えるなら動摩擦から静止摩擦になって余計に力が必要といいますが、霊圧損失が発生するのでそれを乗り越えるための圧力格差が』
「もっと簡単に言ってくれ」
『結局駄目押しの二回目の霊気が必要なんです。【拒絶】相手に垂れ流しは非効率的ですね。これが王器とかの霊力を扱える道具ならその辺を自動的にやれますので、一見一太刀、内部的には連撃で斬る、というのは可能ですが』
「お前にはできるか?」
『できますが、道具に頼ると効率悪いですよ。私や王器に頼るのは、霊気調整が遅いかできない使い手向けです。ご主人様にはおすすめしませんね』
「わかった」
仕方なく、再び黒竜に対して攻撃を仕掛ける。分かっていれば今度はさほど難しくない、図体相応に遅いからだ(注 ロイの感覚での話。一般兵には無理)
跳躍力は並外れているが、全体的には以前の真竜のような速度はない。
そのためロイの技量なら押しつぶしをかいくぐるのは難しくない。どちらかといえば下につぶされかけている味方を蹴りとば……いや救出するのに時間がかかったくらいだ。
再び頭部を射程にとらえたあとは、凝核のところに連続霊撃を繰り出したところ黒竜は白煙に変じた。
白煙になったところで生き延びていた他の兵が火弾の魔術を使ったが、十卒長が言っていたとおり大したことのない炎だった。これでは焼き切れまい。せめて魔導大隊の連中が無事なら速かったのだが。
「俺にそれなりな炎の魔術が使えればな」
『やっぱり使えないんですか?』
「使えん」
『変ですね。ご主人様、結構魔力多いと思いますけどねえ』
「はあ? 俺の魔力なんて並以下しかないぞ、外に出す魔術なんぞ魔導具無しにはよっぽど時間かけないと無理だ」
『んんー? あるのにない? ……もしかして』
妙な事を言う、と思っているうちにやはり焼き切れなかったか、白煙は集まって新たな姿に変わる。
大きさは先ほどの半分ほどの、蒼銀色の大狼。
「銀の狼……魔氷狼か?」
『蒼天狼だと思いますよ。魔氷狼とは似てますが、若干蒼みが強いですし、目の色と尻尾が違います』
「聞き覚えはあるかもしれない」
『……氷の力じゃなくて魔力操作系の力を持ってる魔物、既に東方では絶滅、と私が得た知識にはありますね。元はご主人様の記憶ですが?』
「勉強はしたかもしれない。覚えてはいない、それだけだ」
『あのですねえ……』
そこに新たな大声が響く。
「くそったれがあ!」
ひとりの若い男が立ち上がっていて、そして呪文詠唱と呪符の展開を始めた。
どうやら一見やられたように見えていた魔術師の中に軽症で気絶していただけのがいて、そいつが今起きたらしい。もう少し起きるのが早ければ煙を燃やせたものを。
それでも瞬く間に呪符の前に魔法陣が展開するのはさすが専業魔術師、レダなどより遥かに速い。どうやら攻撃魔術のようだ、黒い鱗の業魔でなければ魔術が通じると見たか。
ロイからすれば攻撃魔術より凝核探知の術のほうがずっと嬉しいのだが、まあそのまま倒してしまえるならそれでもいい……。
しかし。
『あっこれあかんやつです』
「なに?」
『あの魔術師も魔氷狼だと思ったんでしょうね、そうならこの術式は正解ですが。防御体勢をとってください、下手すると来ますよ」
直後に魔術師の術が完成する。
「『石燕跳翔』」
石の礫を、あたかも鳥のように高速で打ち出す術だ。この鳥は複雑な軌道を描きつつ命中するまで相手を自動追尾するうえに、単純打撃力でも皮鎧を貫通する威力があり、対個体魔術としてはかなり上位の術になる。
魔氷狼は吹雪の力を持つ魔物。氷や風の術には耐性があり、そして炎の術も冷気で弱められて効きにくい。なので投射攻撃魔術なら、雷撃や石槍などを使うべき相手だ。しかも素早く、下手な魔術では避けられる。
なので魔術師の選択は極めて妥当といえる。相手が魔氷狼であるなら。
ウォンッ!
迫り来る礫に向かって、巨狼は一声吼える。
その声に応じて発生するのは『魔返し』の術。魔術の中身を書き換える、魔力操作に長けた蒼天狼の固有魔術の一つ。
そして次の瞬間、石礫は反転し、己を作り出した主人に襲いかかった。
「なっ」
魔術師は驚愕に顔を歪めて逃げようとし、足を滑らせて転ぶ。
石礫は魔術師を掠めて、自動追尾能力でさらに反転……する前に彼の後方で頭を抑えながら立ち上がろうとしていた人影に突き刺さった。
「ぎゃあっ……!!?」
石礫が人影を貫通し、血飛沫が大量に彼の後ろから吹き出す。
「えっ……」
腹部に大穴が開いたその人影の顔は……。
「エイドルフ!?」
エイドルフはその穴に手を当て、血のついた手を見つめて呻く。
「……なんじゃあ、こりゃああ……」
彼はそのまま、ぐらりに仰向けに崩れおち、自分が作り出した血の海に倒れた。
血に染まった石礫はまだ飛翔を続け、転んだ魔術師に向かっていく。
「くそっ!」
ロイは【投錨】の力で石礫の速度を落とし、如意棒を使って撃墜し破壊。そして倒れたエイドルフに駆け寄ったが……。
「……そんな」
そこには腹部を吹き飛ばされ白目を剥いた体が無惨に横たわっていた……。
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そこは星辰の彼方、あるいは物質界と呼ばれる世界の裏側にある、虚数の世界。時に忘れられた狭間の世界。
世界は波でできている。
あるいは高次元の弦や膜でできているという者もいる。いずれにせよ世界とは、いかなるものも、振動し揺らぐものでできている。
狭間の世界は通常の物質界とは違う。一見不安定ながら安定し、常に様相を変える。世界を紡ぐ振動が物質という枷を離れて揺らめくために。
そこに何かが蠢く。
それはヴェールのような何かを被った何者か。あるいは虹色に輝く無数の球体。あるいは蠢く粘液。あるいは……空虚にして門。
そしてその前に浮かぶ、一振りの黒い剣としか言いようのない何か。あるいは赤く膨らんだ太陽。あるいは銀髪の女。
観測者の状態によってソレらがどのように見えるかもまた変わる。ゆえにどの姿も正しく、どの姿も真実ではない。
多重次元に遍在する域に達した神とは、概ねそのようなモノだ。物質界と呼ばれる次元に現れているのは彼らの三次元断面の一つでしかない。
無数の虹泡の中の一つと、剣が会話する。
そんな彼等の「会話」は、本質に反してひどく生物らしい概念と、不可解に満ちていた。
──〈何用か/そなたか/誰だ〉
??「御身が約せし、かの神の願いを叶えるために」
──〈かの泡か/この泥か/あの妖か〉
かの神もかつてはこの域に届いた、しかしもはや残るのはソレが持っている残滓に過ぎない。かの神が永劫と不滅をうそぶこうと、ソレに比べれば比較にもならなかった。
世界の初めからここにいた/世界の終わりまでここにいた/あるいは世界の外なるものである/ソレにとって、他の生命は、神々すら含めて定命のもの、泡沫に映る色彩の一つに過ぎず。
だがそんなソレも時に契約というべきものを結ぶこともある。戯れに、真摯に、余興として。
だからかの神はかつて/いずれ/ソレと約定を交わした/交わす。そして彼女もまた、その約定を利用する。彼の全てを物質界においての過去に変えるため。
??「ええ、その泡です」
──〈何故に気にする/道理なり/否、分からぬ〉
??「その約が果たされることが私に必要であるゆえに」
──〈では何を捧げる/それを捧げよ/既に捧げていよう〉
??「こちらを」
剣から浮かんだ虹の泡をソレは受け取る。並みの神からすれば目を剥くような規模のエネルギーだが、両者にとってはさほどでもない。
時間と因果の概念もソレにとっては意味をなさない。全ては未だ為さぬことであり、既にやった事であり、今もやり続けていることである。
ただ選択の結果は影として物質界に刻まれる。ゆえに、選択を確定させるために彼女にソレは供物を捧げ、提案を投げる。
??「それではコレは如何でしょうか」
──〈彼は食べるだろう/食べた/食べている〉
??「ええ、条件は満たしています」
──〈確認。時空座標 @$1,yZ2,&e7,#u4……〉
──〈肯定。有資格生命と認む/認めた/認めうる〉
──〈当該箇所に刹那の開門を要す/要した/開けた〉
──〈『斜陽剣』に問う/問うた。是か/否か/無か〉
??「是なれば、どうぞご随意に」
──〈承知する/承知した/いずれ承知せん〉
──〈約はここに果たされよう〉
次回嘘予告
お願い、死なないでエイドルフ!
あんたが今ここで倒れたら、フィアちゃんの
非常燃料はどうなっちゃうの? 霊力はまだ残ってる。
ここを耐えれば業魔に勝てるんだから!
次回「○○○○○○○死す」
……おや、五文字じゃないですね
ご心配なく、エイドルフは大丈夫です




