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第26話 幕間 白龍国の二輪の花

 崑崙の西側は、大陸を南北に縦断する山脈が走っていて、これが帝国の西方への伸長を阻む壁となっていた。そして山脈を挟んでその西の麓にラグナディアという小国がある。


 かつて煌星帝国に滅ぼされたシュタインダール王国の最後の姫が落ち延びた場所であり、魔術衰退の原因となった魔神が降臨した地でもあった。


 そのラグナディア王城の中庭にて、複数の男女が午後の軽食をしつつ歓談していた。ラグナディア女王オルフィリアと、その長男の王太子クラウス夫妻に、外務相のミルトン公爵の四人だ。


 その中では、王太子妃アイシャの姿がひときわ目を惹く。他の三人が金髪に白い肌なのに対して、彼女だけは長い黒髪に浅褐色の肌をしているからだ。彼女は南洋の向こうにある島国ヴァンドールの出身、煌星帝国などでは蛮族扱いされている所の姫君であったが、ラグナディアの王立学院に留学していたところを同級生であったクラウスに見初められ婚約。卒業後、妃として嫁いできたのだった。


「……ええ、それで私、言ってさしあげたのです。『その薬はまず奥方にお使いになられませ』と。(まさ)に効くのであれば、それが筋というものでしょう」

「はは、かの御仁にはそれこそなかなかいい薬になったのではないか?」


 王太子妃と女王が、王室出入りの商人のがめつさをお茶の(さかな)として談笑する。


 片や南方の果ての島生まれで船遊びを好む海育ち、片や生まれてこの方国から出たことのない地元育ち。容姿も、浅褐色の肌に肉感的な肢体と黒髪の嫁に対し、日焼けのかけらもない白い肌にすらっとした体型と金髪の姑。


 一見共通点などなく対照的な二人であったが、どうしてかこの嫁姑は馬が合い、仲がとても良いことで知られていた。


「……さて、そろそろ時間です。ミルトン公のほうのお話にうつりましょう、母上」

「うむ。……して、マクセル殿。今回はいったいいかなる問題を持ち込んできたのだ?」


 ラグナディアの四公の一人であり、外務相でもあるミルトン公マクセルが、三人からの疑問の視線に答えた。


「まず、今年の春先に、メルキスタンの新王の即位にあたって、クラウス様が使者となり、即位祝いの席に参加されようとなさった際に起こったことは皆様覚えておいでですね?」

「……私としては、余り思い出したくない時の話になりますが……」


 アイシャが顔をしかめる。今年の始め頃に婚姻の式を挙げた彼女にとって、それが王太子妃として初めての外遊であったが、とんでもないことがあったのだった。


 隣国のメルキスタンの新王即位の祝いのために、クラウス達が先方の王都に入り、指定された宿に宿泊したところで……宿に賊が入ったのである。


 どうやら宿の従業員のいくらかが、いつの間にか賊に拉致されて入れ替わっており、その手引きで賊が侵入、祝いの進物として用意していた品々を偽物にすり替えようとしたらしいのだが……すり替えがある程度進んだところで、偶然アイシャがそれに気がついてしまったのだ。


 そして彼女と護衛の者らと、賊との間で戦闘になり……最終的に賊たちは宿を半壊させつつ逃亡した。同時に別の宿にいた他国の使節らの荷物もすり替えられているなど、明らかに情報が漏洩しており、大騒ぎになって式典は延期になったり散々だったのだ。


 最初に異常に気がついた時点では、賊のほうが護衛より遥かに人数が多く……もし彼女が普通の妃であったなら、負傷するか、下手すると時間稼ぎのための人質として(かどわ)かされていた恐れすらあった。


 なおこの件に限らずその後もクラウスと外遊すると何故か何かしら事件が起こっていた。どうやらどちらかが厄介事を引き寄せる体質らしかった……。


「そう、そこで先方は結局賊を取り逃し、我が方の進物の一部もそのまま行方不明になっておりました」


 国の面子丸潰れの話であり、メルキスタン王国側は激怒と共に獅子身中の虫の調査と盗賊の追跡を行ったのだが……結局、かなりの人数を捕らえ損ね、盗まれた品も大半は戻らなかった。


 かの国は二十数年前の魔神召喚事件の頃から様々な理由で荒れており、未だに国土全体の治安がよくないのだ。賊が隠れ逃げ延びる余地があった。


「あれの賊と盗品の行方がわかったのか?」

「はい、このたび思いもかけぬところから照会がありまして。同じものを入手したいと」

「どこが、何を?」

「……煌星帝国の兵部省。そこの畿内方面軍の星衛尉部、つまり我が国でいう王都守備の近衛騎士団ですが、そこから儀礼用名目で『白蓮織布』が欲しいと」

「………帝国だと?」


 ラグナディアは建国時の王妃が、帝国の侵略から落ち延びた亡国の姫だったという経緯から、伝統的に帝国とは仲が良くない。直接干戈(かんか)を交えたことがないのは(ひとえ)に中央山脈で隔てられているおかげだ。それでも全く交渉の窓口がないというわけでもない。それが国の付き合いというものだ。


「先方が言うには、向こうで捕らえ投獄した盗賊団の拠点にあった宝物を検分していたところ、それが含まれており、メルキスタンで盗まれた我が国産の進物であると分かったとのことで。それで、検分中に織布を偶然見かけた皇族のお一人がいたく気に入られ、護衛の服の素材としたく、入手できるようなら、30(たん)ほど欲しい、というようなことを言っておりまして」

「何か裏のありそうな話ですね」


「……あの件、本当に賊が賊であったのかも疑わしいな」

「ただの賊にしては腕がたったうえ規模も大きかったのですよね……当日は深く『読み取る』余裕がなかったのですが、少し読めた限りだと、あれはメルキスタンに巣食っていた帝国への叛乱勢力による資金調達の一環であったのではと」

「その可能性が高いという話ではあったね。しかし、帝国はなぜあの布を? 確か、極めて丈夫で長持ちするために、祝いの品として適しているということで、選ばれたものだったかと思いますが、向こうなら同じようなものもわざわざこちらから調達せずとも作れましょうに」


「……クラウス。あれはな、実はただの長持ちする布ではないのだ」

「そうですね。帝国であれば、気がついた方がいるのかもしれませんね」

「アイシャ? ……もしかして、異能の産物なのか、あれは」

「はい。あれは普通の職人では作れない代物なのです。城下のイシャーン工房で作られているのですが、あそこの主人は、布を織る際に異能を布に込めていて、主人自ら織った布にだけ、特別な効果が付与されているんです。だからその布だけ価格がやたら高くて、特別な名前がついています」


 クラウスは納得する。……彼の母親、そして妃の知られざる共通点。それは二人とも魔術ならぬ異能……霊威、あるいは仙力と呼ばれるものを持っていることだ。


 クラウスにはその手の力はないのでよく分からないが、この二人は、相手が異能もちであるかどうか、品物が異能の産物かどうか、そういったことがわかるらしい。


 数年前、最初にアイシャを見初めたのはクラウスだったが、それは彼女の美しさや聡明さに惹かれたのであって、異能のことは全然知らなかった。しかしそれらとは別に、アイシャは滅多にいない強度の異能の持ち主だったのだ。


 先ほど話題になった事件でも、こちらに負傷者がでなかったのは彼女の力のおかげだ。アイシャは異能によって相手の動きを鈍くしたり、飛んでくる矢を止めたり、ただの小石を音より速く撃ち出したりもできるのである。


 さらに魔術師としても優れている。魔術だけなら、クラウスと女王はアイシャよりも優れた素質があるが、異能と組み合わせた戦闘力や応用力では彼女のほうに分がある。怒らせてはいけない妃だ。


 まだ婚約もしていない頃、初めて母がアイシャに会った後、何としても彼女をうちの国に繋ぎ止めろ、と言ったのはそれらが大きな理由であったのだろう。クラウスとしても否やはなかったので何とか婚約にこぎつけ、今年になってようやく正式に妃として迎えることができ、結ばれたのだった。


 ……ただ正直、義父になる向こうの王は、結構直情径行の蛮王で……溺愛する娘を奪っていこうとするクラウスに対して、突然こちらにやってきて闇討ちを仕掛けようとするなど、なかなか有り得ない試しをやってきたりして、少しばかり怖かった……いやまだ過去形にしてはいけない、油断禁物。


「あの工房の主人の異能の効果は一見、本人が(はた)を織ると布地が通常よりも強靭になり長持ちする、というものなのですが……」

「……一見ということは、他にもあるのですね?」

「他言無用で頼むぞ。一番重要なのは、あの布を身につけていると、異能が少し増強されるということなのだ」

「なんですと?」


「うむ。実は私とアイシャもあそこの布を衣装の一部にわざわざ織り込ませていたりするのだが、それはそうした理由もあるのだ。例えば今着けているこの帯があそこの品だ」

「普通なら気がつきません。これは相当に異能の才があるか、あるいは霊気を読む訓練をしないとわからないはずで……少なくとも、今のメルキスタンの王族にそれが分かる方はいないと思うのですが、帝国であれば……」

「いやはや……そうであれば、帝国がその効果を求めている恐れがあるということなのですね、それで星衛尉部がわざわざ。腑に落ちました」

「しかし、帝国が異能強化を必要とするのですか? それがクンルンや、ホウミンあたりなら分かるのですが。異能……仙力といえば、そちらでしょう?」

「ホウミン……ミリエールが行ったあたりが、今はそうなっているのだったか。息災ならいいが」


 ホウミン国のロベルトの母親のミリエールは、かつて学生時代、女王の友人の一人だった。彼女はロベルトを産んだのち、半ば夜逃げのように国を出て、もう20年以上会えていない。


「……これは、まだ裏のとれていない話なのですが」

「マクセル殿、なにか心当たりが?」

「数年前から、帝国は異能持ち……向こうでいう仙力使い向けに帝立学院や士官学校で入学枠を設けております。先日から、その枠で学んでいる学生たちが、星衛尉部の訓練に同行させられているという話が。そして部団の一部は、ある地域を封鎖しているというのです」

「ある地域というと」

「タンガン峡谷という、向こうの帝都の少し西にある地域だそうで」


 ガタッ…

 僅かにアイシャの座っている椅子が揺れた。


「……ええと、タンガン峡谷といいますと?」

「死火山が二つ並んでいる峡谷で、本来は温泉地らしいですが、そこが封鎖されているそうなのです、そして先日はそこに火岩竜が出たという噂が流れたそうで。これも裏はまだとれていませんが」

「火岩竜か、それはまた面倒なのが都の近くに現れたものだな。しかしだからといって異能もつとはいえ学生を動員……? 分からんな……」

「(やっばーっ!!)」


 アイシャは内心絶叫していた。


「(あそこ業魔(カルマ)の残りを封印した冥穴じゃない! そっか、封印解けかけてるんだー!)」


 それを横目に見た女王が、「後で二人で話しましょう」という仕草をおくる。男性陣には分からなくても、女王には義娘のことは丸わかりだった。なにせ、彼女とは息子よりも長い(・・・・・・・)付き合い(・・・・)だ。


 それを見て、アイシャも了解の仕草をして、何気なく話を続けた。


「……向こうの近衛が、同行させている異能持ち向けに、力を強化する必要を感じている、ということなのですか?」

「可能性ですがね、何か異能でないと困る事態が起こっているのかもしれませんな」

「それで白蓮織布の効果に気がついて欲しがっていると」


 アイシャだけが事情をおおむね推察できていた。


「(そりゃそうでしょうね、業魔は赤龍(シュラク)の【境界(バウンダリ)】の霊威(エーテルコード)持ってるから、王器や神器使った武器とか、霊威でないと傷すらろくにつかないだろうし、少しでも強化できるなら(わら)にも(すが)るでしょ。まして幻妖(ドッペルゲンガー)まででてきたら……うわー、まさか業魔の幻妖とかもありえる? あれが大殺界中無限湧きするって辛すぎでしょ。うちの国じゃなくて良かったー!)」


「それで、仮に先方の要求には応えられるのですか?」

「絵柄を問わねば十反まではすぐにでも出せるようですが、それ以上は在庫がないようで」

「あそこの主人本人の織物だと、せいぜい一月に一反くらいしかできないかと思いますよ」

「……在庫については、私達のぶんは王宮で持っている、残りはふっかけて売っても構わん。ただ、一部は、クンルンかホウミンにもこっそり流したほうが均衡がとれるか」

「帝国だけが強化されると、こちらに妙な野心を持たれても困りますか」

「本来はどちらにも流したくないですが……出さないのも不自然でしょうね。あまり渋ると、最悪、製造元を調べてイシャーン工房のほうに直接手を出してくる恐れもありますしね、注意してください」

「あまり特別扱いして下手に注目を浴びてもいかんと思って、買い占めや持ち出し禁止まではやっていなかったが、こうなるともう少し外に出すのは吟味すべきだったか……」

「どちらにしろ存在と能力がわかってしまったと想定するなら、それをうまく我が国の強みとすべきでしょう。異能なれば属人的なもの、真似ることもできないでしょうから」

「そうだな。『真霊銀(ミスタリレ)』でないだけ良かったと言える、あちらは外には出せん。異能が重要になってくるならなおさらだ」


 女王が口にした真霊銀は、ラグナディアの極秘開発物。まさに、白蓮織布やクンルンにおける宝貝のような異能による異能のための効果を、他の技術的手段で再現しようとする試みの一端だ。この国には、太古の龍種(ふるきかみ)が異能によって作り出した「神砂」と呼ばれる特殊な金属がごく僅かにだけ伝わっており、それをさらに女王の異能で解析することで、その機能の一部を再現しようとしているのだった。


 現時点の試作品はまだ白蓮織布より弱い増幅効果しかないが順次改良を進め、さらに将来的にはかつての魔術のように、今は異能とされるものの一部を霊輪(チャクラ)が開くほどの素質のない一般人にも使えるようになることを目指している。達成までは早くても数十年以上を見込む気の長い計画だ。


「異能といえば、我が国でも学院のほうに、霊威持ちのための奨学枠を設けていますよね。私とクラウス様の同期にも、二人ほどおりましたし」

「ああ。十年以上前からだな。帝国よりは着手は早いが、まだまだ多くはない。なにぶん人口が違いすぎる……」

「……今後はもっと大規模に調査したほうがいいかもしれませんね。帝国のほうの動きはその口実になりえましょう」

「うむ……あとは既にそうだと分かっている人々。イシャーン工房の主人などもそうだが、もう少し国のほうで状況を把握しておく必要があるか」


そうして、具体的な打ち合わせと、後日閣議承認を要する事柄の確認を終えたのち、男性陣は席を持して、女性二人だけが中庭に残った。女王の口調が変わり、とても気安い感じになって義娘に話しかける。


「……それで、タンガン峡谷には何があるの?」

「それなんですけどね……」

「……業魔……かの八大竜王の一柱、奈落竜(アヴィサルドレイク)を解析して造られ、さらに赤龍の霊威を宿す魔性ね……」

「常人では、王器か神器の武装でもないと傷つけることもできないでしょう。崑崙(クンルン)と敵対している帝国としては学生でも動員せざるを得ないかと思います」

「少なくともそれがわかる段階まで封印とやらは解けている、ということね」

「もしかしたら、西のほうからの入れ知恵かもしれませんが」

「とにかくこちらに火の粉が飛んで来ないように注視しないといけないか……」

「大殺界が続く数年は向こうは大変だと思いますが、これに耐えきったら、帝国の力はむしろ増す危険があります」

「こちらも霊威の研究のほうを早めないといけないかもしれないわね」

「私のほうはしばらくは遠出もできませんから、研究所のほうに顔を出しますよ、何か手伝えることがあれば」

「……ところで、それはまだクラウスには言っていないの?」

「早すぎると思います。正常なのは『視えて』いますが……まだ一月相当くらいですし、もう少し、安定してからかなと」


 そうしてアイシャは下腹部に手をあてる。妃がこのところ季節の割にやや厚着を始めたことも、好きな舟遊びを控えていることも、飲むお茶の種類を変えていることも、夫のほうはまだ気がついていないようだ。


 まったくもう、やることはやっているのだから当然そうなってもおかしくないのに、男とは鈍い生き物だ。


 それでも夫として、王太子としての彼に不満はないし、求められるのは冥利でもある。……むしろ求められすぎかもしれない。頻度とか。……そもそも実は、嫁いできて割とすぐ、例の事件の直後くらいにはもう授かっていたのだ。事件やゴタゴタが多かったから異能で成長を止めていただけで。


 彼がいい子、いい人で良かったと、数ヶ月年上のはずのクラウスをどこか年下であるかのように思ってしまうのは、アイシャの中身からすると仕方がない。この子が生まれたら良き父親にもなって欲しいところだが、それと王族の仕事が両立するかはまだ分かりかねる。


「……体には気をつけるのよ? ここからが結構大変よ。これからもあの子をお願いね。……『ラファ』」

「はい。大変なのは、分かっています。でも今は……うふふ。幸せです……『姉上』」


 かつて、魔神降臨の直前。ロベルトの父が異能をもって叛乱を起こしたとき、王が弑殺され、そして双子の王女のうち妹姫が姉姫の身代わりとなって亡くなった。姉姫はその後父親と妹の仇をとって、女王として即位した。この際に魔神の件ともあわせて禍津国の者たちと交流があり、いろいろあって女王は人やモノの過去を見る仙力に目覚めた。


 そうして20年ほどが過ぎたとき、女王の長男のクラウス王子が、この娘と婚約したいと言い出して一騒動起こした相手がアイシャだ。そして女王が会ったアイシャはなんと……妹姫ラファリアの生まれ変わりで、記憶も持っていたのだ。さらに彼女は、その前の前世のことまで思い出していた。


 その前前世こそ、初代魔人王アーサーの娘プラナス。かつて業魔に対して時を止める異能を行使し、さらに火口の穴に封印を施した母娘の、娘のほうだ。だから彼女は過去のことを多少覚えているし、現在の肉体が魔人ならぬ常人であるため弱体化はしているものの、時を操る異能も行使できる。しかも、時を遅らせる【怠惰(スロウス)】、速める【勤勉(ディリジェンス)】、通常なら根源が異なるため並立しない矛盾する力の両方をだ。


 二人の異能はともに、人間としては世界的に見ても指折りのもの。なお妃の中身が実は叔母でもあることはクラウスも知らない、二人だけの秘密だ。


 そのため、女王と王太子妃はとても仲がいいし、二人の異能こそがこのラグナディア王国の真の切り札だ。禍津国の首脳と崑崙の長老たちを除けば、異能の真価を一番理解している国主といえる。


 また、元々この国の建国王は禍津国と繋がりがあった。方舟の人工知性(ジブリル)の残骸を見つけ先方に送ったのも彼だ。さらに初代王妃もまた古き王家の血筋であり、それらの縁から、小国ながら大陸の国としては例外的に古き知識も残っている。


 帝国が仙力……異能の開発強化に力を入れざるを得ない状況になるならば、ラグナディアとしてもそれを前提にした政策をとらないと、将来的に均衡が崩れるかもしれない。小国には大国とは違う悩みが沢山ある。二人はさらに今後どうしていくかについて、男性陣とは別にこっそりと相談を続けるのだった。


「しかし順当に行けば、来年にはお婆ちゃんか……」


 異能のせいもあって実年齢より少し肉体的には若い女王としては少し複雑であった。

拙作『死せる令嬢と二輪の花』の後日談

エピローグ3相当の話になります


次から本編に戻ります


12/29 表現微修正

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