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Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!  作者: 遥風 かずら
第六章:見えない戦い

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86.宝剣フィーサ、隠しスキルを解放する


「い、行くのだ! ウゥゥ~ニャァアアッ……!!」




「ギァグゥゥゥゥ!」

 

 シーニャがフィーサをぶん投げると、その剣先は見事に魔物の背に突き刺さった。

 しかし様子を見ていたデミリスは、慌ててシーニャに声をかけた。


「ち、違う違う! 剣は投げるものじゃなくて、自分の手と力で振り回すんだよ」

「ウニャ? でも当たったのだ! 魔物も一撃で倒せたのだ。それでも正解じゃないのだ?」


 フィーサは剣の姿に戻った時点で、深い眠りに入っている。それをいいことに、シーニャは自分のやりやすいように剣を使いまくっていたのだが――


「ええと、何て言えばいいのかな。オレが手にしているのは片手剣と言って、どちらかの手で持つことが出来るものなんだ」


 デミリスはシーニャの強さを目の当たりにするも、剣士として何となく見過ごせなくなったのか、教えなければという思いが膨らみ、積極的に声をかけるようになっていた。


「片手だけだと弱そうなのだ」

「はは……。まぁ、本当は盾も持つべきなんだろうけど。ええと、シーニャの持つ宝剣は両手剣だから使い方も異なるんだけど、剣は投げて使う武器じゃないんだよ」


 デミリスは、過去に起きた出来事で船上以降、まともに剣を握って来ていない。しかしシーニャへ教えているうちに、くすぶっていたものが晴れて行く予感があった。


「投げても強かったのだ! 手に持ったらもっと強くなるのだ?」

「ほ、本来は手にすることで強さを発揮出来るものだからね。どんな敵に対しても、振り回して倒すべきだと思うよ。ほら、投げられた剣だけが寂しい思いをしているよ?」

「フィーサは眠っているのだ。寂しいことは無いのだ」

「ここで待ってるから、取りに行っておいで」

「仕方ないのだ」

 

 考えの違うSランクパーティーを抜け、剣をも捨てようとした彼も思うところがあったようだ。


 


「――うう~ん……さっきから体が痛いなの」

「グルゥ……」

「ひゃぅ!? 虎娘に預けたはずなのに、どうして獣にかじられているなの!?」


 シーニャに投げられたフィーサは、牙のある獣にかじられている状態で目が覚める。理解の出来ない状況の中、噛み砕かれないかと気が気じゃなくなっていた。


「獣ごときに砕かれるわらわではないなの! でも気持ちが悪いなの……」


 鋭い牙を持つ獣は牙ではどうにも出来ないことを悟ると、飲み込む動きを見せ始めた。


「い、嫌なの嫌なの~……ヌメヌメした液体に侵されるのは、やめて欲しいなの!!」


 獣は胃液のようなものでフィーサを包み、溶かそうとしている。


「あ、頭に来たなの!! こうなったら、スキルを解放してやっつけてやるなの!!」


 フィーサは好き勝手やられていることに業を煮やしたのか、勢いのまま人化し自身の腕を剣に変え、獣の口を裂いてしまう。


「ふんっ!! わらわを怒らせたらひどい目に遭うなの! ざまぁみろ~なの!!」

「ウニャニャッ!? フィーサが分裂しているのだ!! どうなっているのだ?」


 無意識に変化を見せたフィーサに対し、シーニャが驚きの声を上げた。それもそのはずで、主であるアックはもちろん、フィーサは未だ誰にも変化した姿を見せたことが無かったからだ。


 驚くシーニャを見つめ、特に隠すことも無く彼女に近付き声を荒らげた。


「虎娘! 遅いなの!! もう少しで獣の胃袋の中に入る所だったなの」

「その腕の剣みたいなものは何なのだ?」

「……これもわらわなの。でもでもイスティさまにも、まだお見せしていないなの!」

「ふんふん?」

「わらわ自身もスキルくらい持っているなの。それを使えば、虎娘に使われずに済むなの! もう投げられたくないなのっ!!」


 シーニャに違う使われ方をされた挙句、獣に喰われそうになった。それが嫌すぎたことで、フィーサはスキルを初めて解放したのである。


「もう投げないのだ! シーニャ、デミリスに聞いて分かったのだ」

「ふぅん? それならいいなの」

「ウニャッ!」


 使いたくなかったスキルを解放したフィーサは、再び剣の姿に戻りシーニャの手に収まった。

 宝剣を手にしたシーニャがデミリスの元に戻ると――


「仲直り出来たかい?」

「ウニャ! もう投げないのだ!!」

「うん、それがいいよ。それと、ここから先の魔物はオレが全て相手をするよ。キミはオレの後ろに」

「そういうことなら、任せるのだ!」

「そうしないと進めないんだ……オレは」


 剣の使い方を覚えたシーニャと、剣を握ることを決めたデミリス。

 彼と彼女たちの目的地は、もうすぐ近づく。

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