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Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!  作者: 遥風 かずら
第五章:新天地へ

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73.盗賊団の仲間入り!?


 ルティのスキルは眉唾物で上手い話は無い――少なくとも、おれはそう思っていた。


 ところが物品をどこからか確かに見つけてきて、それが今はおれの手元にある。

 問題は見つけてきた物の持ち主らしき人が盗賊団という点について。


 おれやルティの実力なら盗賊団を倒すのは簡単だ。


 だが、見知らぬ地に漂着し村を探し出すことが困難である以上、一時的にでも奴らに取り入っておく必要がある。


 特にお頭と呼ばれている男。

 この男にでも頭を下げて頼めば導いてくれそうな予感がある。


 他の連中のように脂ぎった体つきではなく筋肉質でガタイがいいし、馬上の姿勢が崩れず刀剣を持つ構えもさまになっている感じだ。


 見る限りでは戦い慣れしていそうだし、盗賊以前が戦士だったとすればこちらの事情も察してくれそうな気も。


 ……ということで。


「すんませんっ!! おれのツレがスキルを身につけて使いたがっていたので、試させてもらいました!」


 ここは抵抗するよりも頭を下げる。

 ルティのお宝スキルを明かすのももったいないし、ひとまずスキルということにしておく。


「あぁん? スキルだぁ? お頭の前でなにふざけたこと――」

「お前は黙っとけ!」

「……っ!?」


 盗賊の一人が文句を言うも、それを制して頭領らしき男が身を乗り出す。おれの予想よりも機転が利きそうな人間のようだ。


「……ふ。何のスキルを使ったか言ってみろ!」

「はい。盗賊スキルです」

「そこのドワーフが盗賊を目指してんのか? それともてめえもか?」

「おれもです!」

「まぁ、そうじゃなきゃこんな辺鄙で何もねえ所になんか来ないだろうけどな」


 やはりお頭だけは頭の切れるタイプらしい。


「うえっ? お頭ぁ、信じるつもりですかい?」

「……そこで待て。仲間と相談する」


 おれの企みは上手くいったようで、盗賊連中は話し合いを始めた。


 ――と同時に、おれと盗賊の会話に納得がいかないのか、ルティがおれに詰め寄ろうとするが。


「え? えぇ? アック様、わたし一言もそんなこ――んぬむっ!?」

「ルティシア、おれに黙って従ってくれ。その口を封じられたくなければな」


 せっかく上手くいきかけている話を無意味にされては厄介だ。

 ひとまずルティの口を塞いでおく。


「ぷはふぅ……。く、口を封じる……そ、それってまさか、アック様の方から封じて下さると!?」

「そうせざるを得なくなった時だ。ルティは今から無口な女となれ」

「しますします! ぜひとも口封じをお願いしますっ!」


 ……何か言い方を間違っただろうか。

 ともかくここは大人しくしてもらわねば。


 しばらくして、話し合いが終わったようだ。


「……いいだろう。お前とドワーフ女を仲間に入れてやる! ちなみに、お前は何が出来る?」

「おれは荷物持ちです。手にしている杖も荷物になるかと思いまして……」

「なるほど、荷物持ちか。それならこいつらの物を運べ!」

「了解です! あの、お頭のお名前を! おれはアックです」

「俺は、"ジェム・ラドロン"の頭……ジオラスだ。ドワーフ女の名は?」


 盗賊団の名前と頭の名前か。

 大所帯どころか村に住んでいそうな雰囲気があるな。


 おれの名前はともかく、ルティの名前は隠しておく必要がある。

 その為、今は偽名で「シア」と教えておいた。悪名でも高ぶったらそれはそれで困るからだ。


 ジオラスと名乗ったお頭を筆頭に、他の盗賊たちが前と後ろを気にしながら進む。

 注意深いのかそれとも単なる弱さか。


 馬上の盗賊団がおれたちを連れ歩くこと数分後、石造りの橋に着いた。見渡す限り砂地と草地以外に木も見えていない。


 人も獣もいなく川も無いこの地で、何故橋を必要としているのか。

 その疑問は目の前ですぐに解決する。


「おい、新入り!! この石を持ち上げろ!」


 石というよりただの橋にしか見えない。砂地と草地の間に橋が架けられているが、もしやここが入り口だろうか。


「はいはい、今すぐにっ!!」


 おれの動きをよそにルティは無口を貫いている……はずもなく、盗賊たちに口説かれている。

 見るからに女っ気が無さそうだし無理も無いが。


 だが、おれの言いつけ通りルティは冷めた表情であしらっているようだ。盗賊たちに塩対応をしているルティのあんな姿は初めて見る。


「……っしょっと。持ち上げた石はどこへやれば?」

「おぉ! お前、力があるな。さすが荷物持ちだ。その石は元通りに直せ!」

「はい~」

「それから、お頭には気安く話しかけんじゃねえ! バレたら狙われるんだからな!」

「あ、はい」


 石を持ち上げるとすぐ下に階段があった。

 やはりアジトが地下にあるようだ。

 盗賊の男がおれに何度も注意を促すが、ジオラスには話しかけてはいけないらしい。


「おい、お前。ここから先の光景にびびんじゃねえぞ?」

「はい? アジトがあるんですよね?」

「着いたらすぐに分かる。それと、ドワーフ女は別の部屋に連れて行く」

「それは駄目です! 彼女はおれが傍にいないと……」

「決まりは守ってもらう」


 厄介なことになりそうだな。

 あくまで探りのつもりで盗賊の仲間入りをしただけなのに。


 ルティと別れることになるとすれば非常にまずいが、とにかくアジトとやらに着いてから決めるしかない。


 ふとルティの方に目をやると、「アック様、アック様~!」などと嬉しそうにしているし、本当にどうするべきなのか。


 しかし、今は辛抱する時と思うしか無く、何かを得てからじゃないと先へ進めない。


「アックと言ったな? お前には役に立ってもらう。もちろん、荷物持ち以外でもな」

「出来ることなら何でもやりますよ」

「なぁに、簡単だ。盗賊らしく動けばいいだけのことだ」

「分かりました」


 どうせ大したことをさせるつもりも無さそうだし、大人しくしていよう。

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