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Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!  作者: 遥風 かずら
第四章:謎追いの旅

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51.お試し転送


 スキュラの様子がおかしい。


 おれたちがこの町に来る前にバヴァルと戦っていたらしいが、その時に何か喰らっていたとしても彼女なら問題無いはず。しかし、スキュラ以上に老婆の姿に戻っていたバヴァルが気にかかっている。


 白いローブで若返りをしていたバヴァルの姿は若々しくなっていた。だが今の姿は、レザンスで出会った時よりも老化が進んでいる。


 おれから魔石を預かって奪った彼女は何をどう作用させたのか。魔石をぶつけられたスキュラがどういう影響を及ぼされたのか、現時点では不明だ。


 それでも、レザンスに行けば真相を知ることが出来るはず。デーモン装備を失ってしまったことに不安はあっても、ルティお手製装備で十分なはずだ。


「……ルティ」

「はいっっ!」

「これは何だ……?」

「わたしが作りました特製のパンですっ! それから、特製ミルクです!」

「あまりに黒焦げすぎるんだが、食べても問題ないんだよな?」


 ルティの作る料理には何かしらのおまけが付いていることが多い。中身はもちろん、食べる前の見た目も同様にだ。


「焼きたてだったのですが、アック様から熱い愛をこの身に受けた結果がそれなのです!」

「愛じゃなくて、爆発魔法だろ……」

「味はきっと大丈夫ですよ~! さぁさぁ、召し上がってください」


 毎度のようにルティのお手製料理は何かが起こる。シーニャを見ると彼女はミルクだけを飲んでいて、黒焦げパンには手を付けるつもりはないらしい。黒焦げの原因はおれにあるし覚悟を決めるしか……。


 最悪を考えて、無理やりにでもミルクで流し込めば何とかなるかもしれない。


「――うっ!? ゲハッ……アッア、アガガ……」

「アック様!! さぁ、グイグイとミルクを流し込んでくださいっ!! さぁ!」

「うぅっ……んっぐ――!?」


【黒焦げのパン 暗闇耐性 習得】

【特製ミルク 自然治癒 習得】

【ルティシア・テクス 進撃のルティ Lv.555】


(な、何だこれ……? 黒焦げのパンで暗闇耐性が付いたのか)


 ミルクの効果は何となく理解出来た。しかし焦げの部分に暗闇効果とは……。ルティのレベルも上がっているということは、おれに食べさせると相乗効果があるのか。


「どうしました~?」

「一応聞くけど、パンにはどういう効果が?」

「いえいえ、何も効果を付けていないですよ? しかしミルクは違います! ミルクには何と! 体力や魔力! おまけにかすり傷程度が回復する効果がありまして~」


 何で食べるだけで強化されるのか不思議すぎる。もしかしておれ限定なのか。


「シーニャもか?」

「ウニャ?」


 シーニャも虎耳を立てて一応気にしてるみたいだな。


「それはもう……! アック様にテイムされているのなら相乗効果を生むのです!」


 まさかここまでとは。黒焦げの効果は、単純にルティ自身が黒焦げになったことによる耐性効果なのかも。


「ミルク、もっと無いのか? シーニャ、まだ飲む!」

「仕方がないですね~。たくさん飲みまくって、魔力を回復しちゃってください!」

「シーニャ、アック治す!」

「その意気ですよ~! わたしは魔法は苦手なので……えへへ」


 回復魔法を使う素質が無いことを認めたか。だが回復特化の錬金術に長けているのは違いなく、しかも料理効果で体内に取り込めるという特異なスキルがあるようだ。


 支援だけに特化すればかなり良さそうだが、まぁそれは気にしないでおく。


「ふぅっ。……スキュラの様子を見て来る。ルティたちはここで待ってていいぞ」

「分かりましたっ!」

「ウニャ!」


 すぐ隣にある部屋に入るとスキュラがおれを出迎えてくれた。どうやら具合が良くなったらしいな。


「アックさま、ご心配をおかけしましたわ。あたくしは問題ありません……ですけれど」

「何か心配事でも?」


 浮かない表情を見せているが、フィーサとの間に何かありそうだ。


「あたくしには、残念ながらルティの怪しげな飲み物や虎娘の魔法では回復出来そうにありませんわ」

「体力とかそういうものを?」

「ええ。ですけれど、あそこに戻れば全て元通りになれる予感がありますわ」

「あそことは?」

「神殿手前の洞門ですわ。ウフフッ。アックさまとなれそめの場所……ですわね」


 なれそめた覚えはもちろん無い。しかし元いた場所であれば、回復の見込みがありそうなのは確かだ。


「ごほん……あそこか」

「ええ。ですので、アックさま。あたくしを転送して頂けません? そこに戻ればあたしはきっと元通りになるどころか、今よりも強くなると思っておりますわ」


 どこかのタイミングで転送魔法を試そうと思っていた。それが今なのかもしれない。あの洞門に転送出来るかは分からないが試すことは出来る。不安な点といえば、スキュラは唯一おれのガチャで現れた者じゃない。それでも、この機会に転送スキルを上げられるのは確かだ。


 そうすれば今後、行き来が容易に出来るかもしれない。


「じゃあ転送をしてみるよ! どのみちここにバヴァルを寝かせたままには出来ないし、レザンスを経由することになるけど構わないよな?」

「……ええ。アックさまの転送はこれが初めてのはずですわ。街移動とは別の力が必要になるかと」


 レザンスと言った途端、表情を曇らせた?


 まぁ、気のせいか。


「そうだな。それじゃあ、君にバヴァルを頼むよ」

「もちろんですわ」

「おれはルティとシーニャを呼んでくる」

「お待ちしておりますわ」


 街転移ではなく転送士としてのスキルを使うことになるのか。果たして上手くいくかどうかだな。


 ◆


「あなたは、本当にスキュラなの?」

「……ウフフ。そうですわよ? 宝剣のおチビちゃん……」

「――! スキュラじゃない……!」

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