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七十七話

マザースライムことライムの活躍により失った仲間が新たにハイブリッドアントとして生まれ変わり、僕達は幾分(いくぶん)か救われた気持ちとなって帰路に着く事が出来た。


幾分か、というのはヒヒイロカネ入手の問題が依然として解決していなかったからだ。三種の神器を復活させられなければヤマタノオロチを退治する事は出来ない。


しかし、そんな懸念(けねん)もヘルメスの発明によって払拭(ふっしょく)される事となる。



それは、海神の洞穴を出発してから六日程経った頃、ツクヨミの里への到着を目前に控えた時の事だった。


「皆さんに見てもらいたいものがあるんです」


とヘルメスは皆をチィの腹の宝玉の内部へと集めた。チィの成長と共に中の空間も拡張されており、ビルトアント達の(たゆ)まぬ労力によって、城下町を思わせる景観が完成していた。


チィの能力を知らなかったクアンゼは腰を抜かす程に驚き、空いた口が(ふさ)がらなかったようだったが、ヘルメスは構わず本題に入った。



ヘルメスが用意したのは幾つかの木材や石材だった。特徴的なのは、それぞれが変わった形をしていた事だ。綺麗な球体のもの、細長い棒状のもの、輪っかの形をしたもの、更には人や魔物の姿を模した彫刻のようなものまであった。


「ヘルメス、これは……?」

「これは、ライムに材料の元となる物資を食べさせ産ませた子スライムの無精卵です」

「「「?????」」」

「これらは木材や石材を削って創ったものではなく、ライムが産んだものなのですよ」

「「「えええっ!!?」」」


先程のクアンゼではないが、皆腰を抜かす程に驚いた。


「前々から考えていたのです。各種の元となる物質を食べさせればライムはどんなものでもスライムとして産み出せるのではないかと」

「それはワシも思ってただや。そのスライムを原材料とすれば鍛冶屋としては何でも制作する事が出来てこれ以上便利な事は無いと」

「そうです。しかしそれだと産まれたスライムを殺さないといけないという倫理上の問題がありました」


そうだった。それは僕も考えていた事だ。しかしヘルメスはシズクの発言を聞いてこの問題を解決する方法を思い付いたというのだ。


「ボクの発言……?」

「無精卵ですよ」


確かハイブリッドアントが産まれた時にそんな事を言っていた。ビルトアントと子スライム、どちらも個より種を主とする性質があったからこそ魂ごと混じりあえたのだと。そうでなければ無精卵のように生命体としては誕生出来なかっただろうと。


「スライムとして産まれる子達は言わば有精卵、魂が器に入った状態です。ならば、逆の状態……無精卵のように魂の入っていない状態で産む事も可能なのでは、と考えたのです」

「確かに……ニワトリも無精卵を産むでありますからな」

「色々と研究を重ねた結果、とある物質を餌の中に混ぜる事で無精卵状態でスライムを産むことが出来る事が分かったのです」


そうしてライムに産ませたのが目の前にある各種の物体なのだとヘルメスは言った。


「そして研究の結果判明した事実がもう一つ。また別の特定の物質を餌に入れる事で材質だけではなく形状もコピー出来るのです」

「形状もコピー……じゃあこれらの物質は元の加工した木材や石材を食べさせてコピーさせたって事なんだね?」

「そうです。そしてここからが本題です」


そう言ってヘルメスはクアンゼに視線を向ける。


「これらのライムの性質を利用すれば、三種の神器を復活させる事も可能なのでは?」

「!?」

「三種の神器をライムに飲み込ませて形状をそのままコピーして産み直させるのですよ」

「そ、それは……!!」


クアンゼはヘルメスの提案を受けてしばし考え込んでいたが、やがてゆっくりと首を横に振った。


「いや……残念だやが、材料と形状だけコピーしたとしてもそれは模造物(ニセモノ)にしかならん。ヤマタノオロチを封じるだけの力を持たせるには、鍛冶師の魂を込めにゃならんぜや」

「なるほど……ならば、三種の神器を補修する為の槌を再生させるのはどうです?」

「……それも無理だや。三種の神器同様、槌もご先祖さまが精魂込めて加工し完成させたものだぜや」


残念そうにクアンゼはまた首を振るが、ヘルメスはそれでもまだ引かなかった。


「……ならば、その補修用の槌を補修する為の新たな槌を産み出すのはどうですか?」

「それは……! いや、しかし材料がないぜや。三種の神器も槌も食わせる訳にはいかん」

「いいや、材料ならありますよ。クアンゼさんのご先祖さまが残してくれたヒヒイロカネの原石が」

「……! そ、そうか!! それならば出来るかもしれんぜや!」



ヘルメスの飽くなき探究心によって諦めかけていたクアンゼの目に光が点った。クアンゼの言を借りるならば、三種の神器の復活には、鍛冶師の魂が込められるかどうか、つまりクアンゼの鍛冶師としての腕に全てが掛かっている。


けれども先程までとはうってかわって情熱的にヘルメスと論議する彼の姿を見ていると、なんだか上手くいくのではないかと思えてくるのだった。

ライムってスゲー(^q^)

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新、お疲れ様ですm(_ _)m ライム、凄い有能ですねΣb( `・ω・´)グッ 材料が有ればある程度のものは作れるのかな?
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