こんな世界から
こんな世界から逃げ出したい。
ベットの上で横になりながらそう思う。
「ねぇ」
いきなり声がした。
聞き覚えがない。
私はその声がした方へと体を向けた。
そこには私と同じ年ぐらいの子が立っていた。
真っ直ぐ伸びた黒髪にしっかり着こなした制服。その上に何故か白衣を来ている。
ここにいることも謎なのになぜ白衣を来ているのかも謎だ。
私に近づきこう話し始めた。
「あなたいつまで夢の中にいるの?」
ひどく冷たい声だった。
何かが私の背中に乗っかったかのような重さがあった。
重たい。辛い。
驚きのあまり声もでない。
それに、ここが夢の中?
何を言ってるのか。
だって私は中学3年生のころに母をなくして。
それから人間が鉄の塊にしか見えなくて。
この世界に閉じ込められているのかもわからくて
空が……す
あれ
私誰だっけ?
中学3年生のころ何が起きたんだっけ
その日を境に私は……
違う。
ちゃんと覚えていた。
さっきの数秒前まで。
なのになんで出てこない。
何が起きた。
私は何が好きで何が嫌いだった。
必死に思い出そうとしてるのに。
何も出てこない。
「その様子じゃまだ全然分かってないね」
全部分かったような口調でそう言う。
この人は何を知っているのか。
今起きてる現状はなんなのか。
「じゃ教えてあげる、真実を」
そう言い白衣をはためかせた。
私は目を瞑った。
ほんの数秒のあいだだったにも関わらず
私の自室ではなく研究所みたいなところに飛ばされた。
白衣を着た研究員もいる。
私は頭が真っ白だった。
確かに私はここにいるのになぜか気づきもしない。
「ついてきて」
そう言われるがまま私はこの人について行く。
そのまま研究所を歩き見渡していると。
ここは不気味なことが良くわかった。
なぜ不気味なのか。
それは
円柱型の水槽の中に人間がいるからだ。
一人一人その中に入っている。
なぜこんなことをしているのかもわからず私は歩き続けた。
「ついた」
私はもこの人も歩みを止めた。
私はその先にあるものをみる。
円柱型の水槽の中に入ってる人間。
紛れもなく私だった。
困惑した。
私がなぜこの中にいるのか。
だったら
今の私は一体だれだ。
これが真実なのか?
「まだ困惑するよね、じゃちゃんと説明して上げよ」
私の表情をみて私が困惑していることが分かったのか、一呼吸置き話始める。
「ここはクローンを作る研究所
それであって、特別な人間も作り出す。」
ゆっくりと話し出す。
真実を。