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春光  作者: ロペス
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解決屋


いつの時代でも、どんな場所でも、勝ち組と負け組というものは存在する。

わかりやすい例を挙げれば「恋人がいる/いない」「収入が高い/低い」「友達が多い/少ない」などと言った具合だ。

仕事柄、俺はどちらも星の数ほど見てきた。といってもまだ年は二十を少し超えたくらいのケツの青いガキ。

いわゆる「大人様」には叶わない。

それでも学生たちのトラブルの仲裁をやっていれば、ガキながら人として勝っているのか負けているのかくらいはひと目でわかる。

 

たとえばほら、そこの食堂のテーブルでうどんをずるずるやってる一人の男。

あれは負け組。

背中を丸め、周りを警戒しているようにキョロキョロと挙動不審な行動。

話しかけられるのを拒むような雰囲気。

髪はボサボサで肌も荒れ放題。

ファッションのファの字も知らないようなチグハグな色合いの服。

うちのおふくろがコーディネートしてもあそこまでは酷くならない。

極めつけは目だ。

二つ隣のヤリサー(女と寝ることしか頭にない猿どもと、その獲物が集まったサークルのこと。)として名高い軽音サークルの集団に、熟れ過ぎた果実のようなどろどろとした羨望と嫉妬の入り混じった視線を投げている。

大体あんな感じで、勝ち組と負け組は両者がそろうとより明確にどっち側かわかる。


次に勝ち組を見てみよう。

さっきの男の目線の先、軽音サークルで壊れたファービーみたいにひたすら喋り続けている女。

流行りのパステルカラーでボディラインを強調したワンピに長めのスカート。

神は栗色で、毛先がゆるくカールしている。

メイクもバッチリ。

ピンクの明るいチークに太めの眉。

きっと勝ち気で好奇心に溢れる大きめの目に映るのは輝くキャンパスライフだろう。

さっきからピロピロとひっきりなしになっているスマホには、友人から何十というLINEが来ているはずだ。

うどんを一人ですすっている冴えない男とは大違い。

きっとそいつはスマホがなっても、メルマガか広告メールといった具合。

情報媒体が進化しても、勝ち組と負け組の差は埋められなかったみたいだ。


人のことをどうこう言っているお前はどうなんだって?

俺は別にどちらでもない。

世の中勝ち組と負け組だけじゃない。

おりこうさんならわかるだろうが、そういう競争からうまく「抜けてきた」やつらだっている。

俺はそのタイプ。

だからこそこの仕事が務まる。

俺は大学生という肩書の他に、学生の揉め事を金で解決するトラブルシューターという肩書を持っている。

依頼人は勝ち組負け組関わらず、本当に様々だ。

三股がバレそうなサークル代表、就活で内定をもらったの所得単位が足りず窮地に立っている先輩、女子学生の下宿先にカメラを設置しているのがバレた教授。

色々なやつらが集まってくる。

そいつらの悩みをスマートに解決してやるのが俺の仕事だ。もちろんいつもスマートってわけにはいかないが。

あんたも何か悩みがあったら持ち込んでくるといい。

といってもお代はきっちりといただくけどな。





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