表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ADAM  作者: 流風 生海
64/74

償い(4)

 翌朝。

 ハンガールームにガシャリガシャリと第一小隊が帰還する。

 それを待ってましたとばかりに受け取る第三小隊の面々。

 バッテリーの交換や燃料、武器弾薬のチェックを手早く済ませる。その間報告を受けるナリア。

 「異常なしです。」

 「了解しました。ではこれより我々が引き継ぎます」

 敬礼を交わす。

 「ナリアさん、結構、精神的に疲れますよ、これ」

 「そうですか・・・まあ、仕方ないですよね・・・とりあえずご苦労様でした」

 そこへ同じくガシャガシャいいながらミーシャが登場する。

 「まあ、いざとなれば、俺もいます。回線は、何時でも自分に繋げられるように気をつけて下さい」

 「了解。あなたの出番が無いことを祈るわ」

 返事しつつも、しげしげとミーシャの機体を見つめるナリア。

 とりあえず内膜は装着してあるものの、いかんせん装甲が・・・穴に強引につめ物をされ、コーキング剤と思しきもので防水処理がされたミーシャのボストック。

 「これが最後の砦か・・・満身創痍。まさに今の私達、部隊の象徴ね」

 「でも、「勝利した機体」です。この機体は「持っている」と俺は思います」

 「そうね。最後の最後までツキを運んでくれると思うわ」

 「じゃあ、私たちはこれで。さすがに眠いです」

 そういうと第一小隊のメンバーがハンガールームを後にする。

 「ミーシャさん。貴女も寝てないんでしょう?少し部屋で休みなさい。異変があったらまっ先に知らせるから、安心して」

 ナリアが優しく指示を出す。

 「いえ、まだ始まったばかりですこの任務は」

 「だからですよ。先は長いのよ?休める時に休みなさい。これは上官としての命令ですよ?」

 「命令ですか」

 「そう。貴女の場合いつ出動になるのかわからない。だからそれまで力を蓄えておくのも任務よ」

 「了解しました」

 「はい。」

 そう言って敬礼を交わす二人。

 ミーシャがハンガールームから宿舎へと歩き出すのを確認して。

 「それでは。第三小隊出動します」

 その掛け声と共に任務へと向かっていく。




 葉月は司令室にいた。

 故中町司令の秘書官と自分の秘書官を臨時にオペレーションスタッフに起用している。

 葉月が座っているのも司令の席だ。正直おこがましいとは思うが業務の都合上ここに座らないとできないのだから仕方が無い。

 「熊本連隊本部からの伝文が入りました」

 「読みあげてくれ」

 「1,枕崎基地のBB中隊の再編案を承認する。2,二機の近接用ボストック及び一機の遠距離型のボストックの補給を認める。これとは別に近接用三機、遠距離用二機、指揮官機用一機分のパーツも補給する。3,フィルマの増援は現状不可。オペレーション要員等その他軍務職員は枕崎コロニーにて徴用すべし。4,遺族への死亡弔慰金は熊本基地から送金する。以上です」

 「なんだと?たったそれだけか」

 「はい」

 「霧島からの返事は?」

 「まだ届いていません」

唇を噛む葉月。どこもBBも、フィルマもが不足しがちなのは知っている。だがこれだけの陣容でどうやって守れというのだ・・・。

 「再び文書を送れ。双方に。どんなパーツでも良い。とにかく送れと。ここが崩れたら霧島だって危うい。水際で止めるためにも可能な限りの補充を願うとな」

 「了解しました」

 「整備班からの報告はどうなっている?」


 「現状ではパーツの組み換えで数体のフレーム及び駆動系は確保できそうですが、装甲パーツが全滅のため、実戦に出すのは難しいとのことです」

 机に八つ当たりしたくなる情報だ。


 不意にモニターに着信が入る。

 「NUN情報部トリスティア部長から中隊長宛の電信です。ロックがかかっていますのでそちらに回します」

 嫌な気分だ。どういう経路で情報を入手しているのだか。

 重い気持ちで文書のロックを解除する。

 簡単な文面だった。

 {貴基地の危急に対し当情報部所管のBB「アルゴ」を補充パーツ含めて30機分提供する用意がある。フィルマの増員も可能な限り対処する。よって要望を述べられたし}

 アルゴだと?分類上は第2.5世代だがその性能は開発中のNUN制式次世代型、第3世代をも凌ぐと噂されるカスタム機だ。当然ボストックなど比べ物にならない。

 これほどの支援は全く頭になかった事だ。

 「何を企んでいる・・・?」

 フィルマの増援も込みだ。

 つまり・・・内情を探る、内通者を含めて送り込むということか・・・。

 「どうかしましたか?」

 不意にこぼれた葉月の声に答える秘書官。

 「いや。こちらのことだ。ちょっと席をはずす。何かあったら携帯端末に頼む」

 そう言い残して執務室に向かう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ