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ADAM  作者: 流風 生海
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後始末(6)

 唇を噛み締める葉月。結局このタヌキの方が一枚上手か。エイリィを睨みつける。

 握りしめた拳をテーブルに叩きつける。

 ガンッと鈍い音がして金属製のテーブルがひしゃげる。

 その破壊力にびくつくエイリィ。

 「わ、わかってもらえたと思うが、私を処刑するということは・・・ひっ」

 葉月に胸ぐらを掴まれ片手で釣り上げられるエイリィ。

 「こんな奴が生き残れる・・・」

 叩きつけたい気持ちを堪えて噛み締めた歯の隙間から搾り出す声。

 ぐいと引き寄せると互いの額をぶつけ、殺気丸出しの目線でエイリィの怯えた眼を睨み据える。


 「では、お互いのために、「どうする方が良い」と思う?」

 やっとのことで引きずりだす葉月の言葉。

 「で、ではこうしよう」

 人間の視線に「人を殺す力」があるのなら、もう何回エイリィは死んだのだろう・・・怯えながらも案を示すエイリィ。

 「私は、署に戻って健在をアピールする。軍の活躍によってテロは無事に解決できたと発表しよう。そして私の端末から「今回の作戦は無意味」であったと報告しよう。「同志は身元が割れることを防ぐため全て戦死もしくは自決した」と」

 「輸送艦まで沈められてそれで納得が行くのか?チャイナは?」

 「せざるを得まい。作戦に失敗し、部隊は壊滅。チャイナの手の内がバレる寸前の所を私が防いだと判断するように仕向ける。しかも混乱に乗じて全ての候補者を調べたが「男性」は発見出来なかった。そう報告すれば遼氏もこれ以上リスクを犯して手駒を出す理由がない。いや、貴重な戦力を失った責任で遼氏が失脚する可能性もある」

 「つまり、その遼が保身に走って口をつぐむだろうということか」

 「今回の作戦は下手するとエリア間に戦争の火種を撒く。そういうリスクをはらんでいた。「いないと報告があったエリア」にこれ以上のリスクはかけられん。貴様も分かるだろう?」

 徐々にふてぶてしさを感じさせるようになってくるエイリィの声。


 エイリィをソファーに突き飛ばす。答えは出た。残念だが。

「仕方あるまい・・・お前の作戦・・・必ず成功させろ・・・それがお前がこれから生きていく条件だ」

 そしてポケットからジュエリーケースを取り出す。

 ネックレスを取り出し、エイリィの首にかける。更に肌色の画鋲のようなものをエイリィの右の耳の後ろに突き刺す。ギャッという声は無視する。

 「これでお前の思考データがリアルタイムに発信される。この二つは外せないぞ。このピンが思考波が感知できなくなった瞬間にネックレスと共に自爆する。ネックレスはアンテナ兼発信器だ。こいつも外そうとした瞬間に爆発する。つまりはお前の首から上は無くなる。そういう事だ。更にこちらで解析した思考データに裏切りの兆候が感じられたら迷わず爆発のスイッチを押すからな」

 「要するに、これから24時間常に監視されるということか・・・まあ・・・今死ぬよりもはマシだ」

 そのエイリィの言葉を聞いた葉月が縄を解く。

 「これからお前は2重スパイだ。チャイナに怪しい動きがあったら報告せよ。これは命令だ」

 そう言って衛兵を呼ぶ。

 「まさか私がお前を警察に送るわけにもいかんだろう。癒着を疑われるのはお互いにマイナスだからな。護衛を付ける。それで署に戻れ」

 「ああ。早速行動させてもらう。作戦終了予定時間からもうかなり時間が経っているからな。それと、この秘匿ページへのアクセスを止めて欲しい。疑われる元だ」

 「わかった。抜かるなよ。常に自分の思考を読まれていることを忘れるな」

 「わかっている」

 「最後に聞く。その、警察と軍都を繋ぐ役目を持っているのは誰だ?」

 「それを話すと本当に私に居場所は無くなる。我々も中央警察から監視されている身分なのでな。強いてヒントを言うなら軍の正規雇用者の内で生き残った者の中にはいない。ということだ」

 「フン。つまり清掃夫等か」

 「それに答える訳にはいかないな」

 「そうか。もう要はない。出ていくがいい」


 エイリィを部屋から追い出す。


 廊下でほっとした顔で立つエイリィを衛兵が誘導していった。


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