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ADAM  作者: 流風 生海
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謹慎明けて(2)

 そして各小隊が席を立つ。相変わらず取り残される蒔司、アンネ、ミーシャ。

「俺は思うんだが・・・」

 蒔司が口を開く。

「俺たちだけ戦場に出ないのは申し訳ない気がするな・・・」

「お、蒔司少尉殿もとうとうこの基地の一員として目覚めたか」

 ミーシャがからかう。

「仕方ないよ。うちは人数足りないし、そもそもこの特務小隊は「最後の懐刀」だからねこの基地の」

 アンネが答える。

「俺らは常に腕を磨き、あらゆる状況を想定した訓練を行い、味方の小隊の危機に駆けつける。行き着く先は常に厳しい最前線だ。そういう役目なんだ」

 ミーシャも説明する。

 そうか。ということはやはりペガサスの要求性能は機動性だ。いかに早く応援に到着できるかが肝。そういう機体だ。そう確信する蒔司。

「それよりよ・・・少尉殿は俺たちより年上だったのかよ。」

「黙っていてすまない。ちなみにミーシャとアンネはいくつなんだ?」

「俺は12で、アンネは13」

 答えるミーシャ。

「何だ、アンネの方が年上なんだ・・・」

 わるいかとふくれるミーシャ。どちらかというと12でこれだけ貫禄があるってのがすごいと思う蒔司であった。



「さてと、んじゃあ、俺たちは少尉殿の射撃訓練だな」そう言うとニヤリと笑うミーシャ。

「少尉ってことは、拳銃携行しているんだろう?」

「ああ、まあな」

「じゃあまず基本中の基本、射的ゲームでもしに行きますか」

 そう言うと蒔司の腕を掴んで席を立つ。

「じゃあ隊長っ。そういうことで許可を願います」

 葉月はうんと頷く。

「まずは自分の拳銃に慣れてこい。だが、午前中のみだ。午後は蒔司はラボに行ってその剣裁きを解析する。ペガサスを装着してもあの動きができるよう、ペガサスをチューンせねばなるまい。」

 そう言って送り出す。

「私も見学しまーす」

 アンネもあとに続き部屋は葉月一人となった。




 ここは屋内射撃訓練場。入口で自動小銃、狙撃銃、拳銃とそれぞれの弾、サングラスと耳あてを受け取った3人。

「まず、銃の種類だな。俺が普段使うのはこの自動小銃を改良し命中精度を上げたモデルだ。普通のスナイパーはこっちの狙撃銃を連射可能にしたものを使っている。もちろん、みんな口径も威力もこういう歩兵用とは格段に違うがな」

 そういうとまずは自動小銃を構える。

「見ていな。これがお手本だ」

 カシャカシャと複数の的が一気に立ち上がる。同時にタタタタタンという発射音。

 すると見事にすべての的の中心に穴があている。的が立ち上がりきるのとほぼ同時だ。

 驚く間も無く、今度は上から的と白紙が混ざったものが降ってくる。紐で吊るしているので当然揺れている。紐の長さもバラバラだ。これも瞬時に的だけを打ち抜き、白紙など傷一つない。

「ま、ここまでできるようになれとは言わんがね」さらりとしたミーシャ。


 驚いた顔の蒔司。


「さて、蒔司殿の拳銃を見せてもらおうか」

 蒔司の左脇の下から抜き出された拳銃をみてほほうと声を上げるミーシャ。

「最新鋭のオートマチックじゃねえか」

「そうなのか。俺は銃には詳しくないのでよくは知らない」

「ふむ。本当に極端な奴だな・・・ま、ちょっと貸してみな」

 そう言うと蒔司から銃を受け取り解説を始める。

「いいか、ここにセイフティと切り替えのボタンがある、こいつは構えた時に右手の親指で操作するんだ。切り替えは「ロック・ショット・バースト・オート」の四つだ。ロックはもちろん弾は出ない。ショットは単発、バーストは一回の引き金で3発発射。オートは引き金を引いてる間は弾は連続で発射される」

「なるほど」

「オートは要するにマシンガンってことだ。空間に弾をばらまく。つまり、下手くそでも当てやすい。しかし、このタイプはマガジンに装填されるのは33発しかない。およそ5秒で弾切れだ」

「短いな・・・」

「ああ、だから基本はショット・時にバーストを使い分けたほうがいい」

 そして構え方も教わる。

「この銃にはこれ。折りたたみのフロントグリップもついている。連射時に安定させるにはこいつを使うのも方法だ」

「ああ。」

「よし、まずは始めの一発いってみよう。基本の両手でグリップを握った形で行こうか」

 蒔司の目の前に的が現れる。距離にして10m位か。

「落ち着いて狙え。焦る必要はねえ・・・」

 穏やかな声をかけるミーシャ。

 タン!

 まずは一発。とりあえず、的紙には当たった。

「大丈夫だ。みんな最初はこんなもんだ」

 ミーシャの声が優しい。

 そして、2発3発と撃ち込んでいく。

「ゆっくりでいい。拳銃は撃った瞬間に上に跳ね上がる性質がある。それを体で覚えて狙いを修正するんだ」

 徐々に的の中心に穴が集まってくる。

「そうだ、その調子その調子」

 そしてついに中心を打ち抜く。

「良し!今の感じを忘れるな」

 的紙が交換される。再び引き金を絞る蒔司。

 今度は一発でほぼ中心に当たる。ほうという声がミーシャとアンネからこぼれる。

 続けて3発ほど中心に撃ち込む。

「では、距離を伸ばしてみようか」

 そう言うと今度は15mほどの距離に的が現れる。

 的が小さく見える。

 初撃は完全に外れる。

 深く息を吸い、じっくりと狙いを定める。思っていたよりも弾は上に飛んでいる。しかもこの距離。わずかな修正でも射線は大きくずれる。

 再び引き金を引く。的の中心に穴が穿たれる。

 おおというミーシャの声。

「こりゃ思っていたより素質あるかもな・・・まさかハンドガンでこの距離を2発目で撃ち抜くとはな」

「そうか?だが、正直精神的に疲れるなこれは」

「ま、最初はそうだ。特に拳銃は狙いにくい。蒔司は銃の訓練は受けてこなかったのだろう?それにしちゃ、まあいい筋だとは思うぜ」

「ありがとう。しかし、この距離だと剣を投げたほうが早いし正確だな」

 そう言うと蒔司は落ちている薬莢を拾うと腕を振るう。

 パンという音と共に的の中心部分に3つの穴があく。内ひとつは完璧な中心を打ち抜いている。

「ありゃー」

 声を上げるアンネ。むっとするミーシャ。

「こら。これは銃の訓練だ。蒔司が「そっちに長けている」のは知っている」

「でも、ペガサスで投げたら投げナイフでも十分にいけるんじゃない?」

 アンネがフォローする。

「やってみなければわからないよ。まあ、生身同士なら20m位なら確実に急所に打ち込める」

「ったく、拳銃の意味がねえな蒔司は・・・だが、これは銃の訓練だ。午前中いっぱい撃ち込んでもらうからな」

 そう告げるミーシャ。

「了解」

 そう言うと再び射撃訓練をはじめる蒔司。

「あ、あたしもちょっとやろうっと」

 そういうアンネをミーシャが止める。

「馬鹿。ハンドガンの反動は結構大きんだぞ、傷に響く」

「でも~これじゃあ、私、全ての面で蒔司さんを下回ってしまう」

「だから、上官なんじゃねえか」

 そのミーシャの言葉に蒔司が続ける。

「ああ、皆を守れるよう、そうなれるよう頑張るよ」

「エライ!」

 うんと頷くミーシャ。

 そこに模擬戦前のような尖った空気はない。


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