ホットなパートナー
「こたつさん!」
「ストーブさん!」
「こたつさん!」
「ストーブさん!」
「……久しぶりだねー」
「……本当に久しぶりねー」
冬に入り、彼――灯油ストーブと私――電気こたつは民家の居間で再会に歓喜した。
私たちはテレパシーで会話している。
住人には気づかれない。
私たちは冬の間だけのパートナー。
住人を温めて癒すための。
「もう、俺、お払い箱になるかと思っていたよ。前から灯油入れるのが手が臭くなるからイヤだって言われているし……。でも、そのうち、居間も応接室やキッチンや寝室同様、エアコンに取って代わられるかも。エアコンの方が安全だしな」
「大丈夫よ、ストーブさん。みんなストーブさんに愛着があるじゃない。この家の新築祝いに親戚からもらったものだって、ずっと大事にしているじゃない」
「そうだけど、……でも、もう俺もトシだしな」
「まあ、それを言うなら私だって。……前の家からいるから、ストーブさんよりトシよ。人間なら、オバサンでしょう」
「いや、こたつさんは今でもチャーミングだよ。その水玉模様のカバー、よく似合っているよ。なんてったって、一家のアイドルだからなぁ」
「ありがとう。でも、アイドルといっても、冬季限定よ。ストーブさんだって素敵よ、いぶし銀の魅力があって」
「そうかー? こたつさんがそう言ってくれると何だか元気になるなぁ。燃えるぜー!」
「その意気よ。今日もこの家の人たちを癒しましょう。私たちが必要とされている限りは」
「……ああ」
家族全員――ご主人と奥さんと娘三人が、私――こたつの中に入ってきた。
冬の夜の一家団欒の場となる。
テレビを見ながら談笑し、みかんを食べている。
「さっそく、みんな私の中に入って、みかんを食べているわ。……毎年のことながら、みんなよく食べるわね」
毎年みかんを箱買いしていて、家族全員、一度に三個以上は食べている。
「こたつさんの中に入ると、みかんが進むからなぁ。甘酸っぱい匂いがいいね」
しばらくすると、奥さんがキッチンからアルミホイルに包まれたさつま芋を数本持ってきて、ストーブさんの上で焼いている。
これも毎年恒例の光景だ。
「やっぱり、今年も焼き芋作りに利用されるのか。匂いが染みつくぜ」
「甘くていい匂いじゃない。私は焼き芋の匂いも好きよ、幸せな感じがして」
「……ああ、それもそうだよな」
ストーブさんと私――こたつは一家団欒のパイプ役を担っている。
物置に収納されていない冬季においてのみだけど。
これからだって、私たちはこの家の住人を癒していく。
必要とされている限りは。




