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ダサTを着る勇者、今日も泣く。  作者: 山田 ソラ


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9/10

第8話「知恵の塔で脳が死ぬ!ダサT、哲学を語る」

 霧の谷を抜けた先にそびえる巨大な塔。


『叡智のエル・ノウス


 ここは賢者たちが日夜、魔法理論と哲学を研究する知の聖地。

そして今、その神聖な場所に足を踏み入れたのは……。


 胸に**“恋するミラーボール”**を光らせながら歩く男。


 勇者レン。


リナ「勇者様、本当にここで服の呪いを解けるんですか?」

レン「ああ、ここの大賢者が“どんな魔法の理も解明できる”らしい」


リナ「それは頼もしいです!」

レン「ただし……」


(Tシャツが微振動を始める)


『思索モードON!哲学の時間だよ♡』


「……このタイミングでお前がしゃしゃり出るな!!!」

 

 塔の中は静かで、壁一面に魔法陣と古代文字。

老賢者ロドリウスが振り返る。


「ほう……勇者殿。神の加護を受けた装備をお持ちとか」


「はい、まあ……加護っていうか呪いっていうか」


ロドリウス「見せてもらっても?」

レン「(やめろ、見たら後悔するぞ)」


 だが、もう遅かった。

 Tシャツが自動発光。


『考える恋、深まる哲学♡』


ロドリウス「……は?」

リナ「(あぁぁ……!賢者の理性が削られる音が聞こえる……!)」


ロドリウス「こ、これは……文字が次々と……変化しておる……!」


『存在とは♡見られて恥ずかしいこと』


『思う、ゆえに恋する☆』


『美とはダサさの中に宿る』


「やめろおおおおお!!意味深っぽく言うなああああ!!!」


 弟子たちがざわめく。


「深い……ような……深くないような……!」


「いや、どっちかというと寒い……!」


「でも心に残るぞこれ……!」


《状態異常:知能混乱(全員)》


ロドリウス「ま、待て……!その服、まさか意思を……!」

レン「ありません!ただダサいだけです!!!」


ロドリウス「いや……これは究極の真理なのでは……?」


 Tシャツの文字が切り替わる。


『真理とは☆気まずさの向こう側』


ロドリウス「わし、悟った。」

レン「悟るなああああああああ!!!」


 塔の最上階。

 レンはついに解呪の儀式を受けることに。


 ロドリウス「では“神装の真名”を問う。名を告げよ!」


Tシャツ「ピコーン☆」


『ワールド・オブ・T(通称:ワロT)』


レン「いや笑うな!!!」


 光が弾け、塔全体が震える。

 魔法陣が広がり、文字が宙を舞う。


 ロドリウス「うおおおお……!神々の言葉が見える……!」


『恋はエネルギー保存の法則に従う♡』


ロドリウス「全知を得た気がする!!」

レン「得るなそんな知識ぇぇぇぇ!!!」


 儀式は失敗。塔は半壊。

 レンはまたもや逃げ出す羽目に。


リナ「勇者様……賢者の塔、崩れてましたけど……」

レン「知恵より羞恥が勝ったんだよ……」


 Tシャツが静かに光る。


『恥は知の母♡』


「母じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」 

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