第8話「知恵の塔で脳が死ぬ!ダサT、哲学を語る」
霧の谷を抜けた先にそびえる巨大な塔。
『叡智の塔』
ここは賢者たちが日夜、魔法理論と哲学を研究する知の聖地。
そして今、その神聖な場所に足を踏み入れたのは……。
胸に**“恋するミラーボール”**を光らせながら歩く男。
勇者レン。
リナ「勇者様、本当にここで服の呪いを解けるんですか?」
レン「ああ、ここの大賢者が“どんな魔法の理も解明できる”らしい」
リナ「それは頼もしいです!」
レン「ただし……」
(Tシャツが微振動を始める)
『思索モードON!哲学の時間だよ♡』
「……このタイミングでお前がしゃしゃり出るな!!!」
塔の中は静かで、壁一面に魔法陣と古代文字。
老賢者ロドリウスが振り返る。
「ほう……勇者殿。神の加護を受けた装備をお持ちとか」
「はい、まあ……加護っていうか呪いっていうか」
ロドリウス「見せてもらっても?」
レン「(やめろ、見たら後悔するぞ)」
だが、もう遅かった。
Tシャツが自動発光。
『考える恋、深まる哲学♡』
ロドリウス「……は?」
リナ「(あぁぁ……!賢者の理性が削られる音が聞こえる……!)」
ロドリウス「こ、これは……文字が次々と……変化しておる……!」
『存在とは♡見られて恥ずかしいこと』
『思う、ゆえに恋する☆』
『美とはダサさの中に宿る』
「やめろおおおおお!!意味深っぽく言うなああああ!!!」
弟子たちがざわめく。
「深い……ような……深くないような……!」
「いや、どっちかというと寒い……!」
「でも心に残るぞこれ……!」
《状態異常:知能混乱(全員)》
ロドリウス「ま、待て……!その服、まさか意思を……!」
レン「ありません!ただダサいだけです!!!」
ロドリウス「いや……これは究極の真理なのでは……?」
Tシャツの文字が切り替わる。
『真理とは☆気まずさの向こう側』
ロドリウス「わし、悟った。」
レン「悟るなああああああああ!!!」
塔の最上階。
レンはついに解呪の儀式を受けることに。
ロドリウス「では“神装の真名”を問う。名を告げよ!」
Tシャツ「ピコーン☆」
『ワールド・オブ・T(通称:ワロT)』
レン「いや笑うな!!!」
光が弾け、塔全体が震える。
魔法陣が広がり、文字が宙を舞う。
ロドリウス「うおおおお……!神々の言葉が見える……!」
『恋はエネルギー保存の法則に従う♡』
ロドリウス「全知を得た気がする!!」
レン「得るなそんな知識ぇぇぇぇ!!!」
儀式は失敗。塔は半壊。
レンはまたもや逃げ出す羽目に。
リナ「勇者様……賢者の塔、崩れてましたけど……」
レン「知恵より羞恥が勝ったんだよ……」
Tシャツが静かに光る。
『恥は知の母♡』
「母じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」




