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ダサTを着る勇者、今日も泣く。  作者: 山田 ソラ


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7/10

第6話「貴族パーティーで即死級ファッションショック!」

 王様に呼び出されたレン一行。

 煌びやかな王都・エルグランに来ていた。

 街の中央にそびえる王城では、今宵、盛大な貴族パーティーが開催されていた。


 音楽、笑顔、香水、金の装飾。

 そして、地獄の中心に現れるひとりの男。


 勇者レン。


 胸に光るのは……神の悪意が織りなす最強(最凶)ファッション。


『VIP限定☆恋のミラーボール』


 胸元が七色に光る。動くたびに‘’ピカピカ‘’音付き。


「レン様……ほんとにその服で行くんですか……?」


 同行するリナ。


「着るしかないんだ!脱げないんだよ!神の呪いなんだよ!」


「でも、その……“恋のミラーボール”って……」


「俺だって恥ずかしいわ!!!」


 会場に入ると貴族たちの笑顔が、音を立てて凍りつく。


「な、なんだあの発光体は……?」


「まぶしい!いや、精神的に!」


「目が痛い!心も痛い!!」


《スキル:場の空気(蒸発)》

効果・レンの周囲、直径5メートルが空白地帯となる。

 

 誰も寄らない。誰も話しかけない。


司会者「そ、それでは勇者レン殿のご挨拶を……」

レン「えっ!?俺!?」


 ステージに立つと、照明が落ちるだが、Tシャツが自動点灯。


『恋のミラーボール☆ナイト』


 胸元がディスコモード突入。


「お前が照明係かあああああ!!!」


貴族A「なんという……エモーション……」

貴族B「いや、違うだろ!」

王「勇者よ、それは……戦闘用装備なのか?」


レン「……精神戦用です」

リナ「違います!呪われてるんです!!」


 音楽が鳴り出す。

 バイオリン、フルート、そしてTシャツの“ピカピカ音”。


『ピカピカ☆恋は止まらない』

効果・パーティー全員の羞恥耐性-50%


貴族たち「うっ……なぜだ……顔が熱い……!」

レン「俺が一番だよぉぉぉ!!!」


 ダンスの時間が始まる。


「勇者殿、ぜひお嬢様と一曲を」


「……俺の服が光ってるけど?」


「……勇者様の勇気を、見せてください」


 泣きながら手を取るレン。

 そして、Tシャツが追撃を放つ。


『恋のシンクロ☆ダンスモードON』

効果・二人が触れた瞬間、周囲にピンクの光粒子が舞う。


「なんでエフェクト出るんだよぉぉぉ!!!」


 ダンスが終わると、王が立ち上がった。


「勇者よ……」


「は、はい……?」


「その装備、国宝級の破壊力だ」


「誉め言葉なのかそれ!?」


 夜、宿に戻ったレンは机に突っ伏す。


「もう無理……この服、社会的に殺しに来てる……」


 Tシャツが光る。


『次のトレンド☆君から始まる!』


「お前が終わらせたんだよぉぉぉ!!!」

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