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ダサTを着る勇者、今日も泣く。  作者: 山田 ソラ


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第9話「ギルド登録拒否!?受付嬢の前で恋が爆発♡」

 王都・エルグランの中心、冒険者たちが集う大ギルド。

 装備を整え、依頼を受け、名を上げる冒険の拠点だ。


 そこに現れたのは……例のダサT勇者、レン。


「よし、今日は真面目に登録して、まともな依頼受けるぞ!」


リナ「服、今日は大丈夫ですか?」


「今日は“シンプルモード”にしたからな。これなら安全……」


『恋も人生もノーマルで♡』


「全然安全じゃねぇぇぇぇぇ!!!」


受付嬢(美人)「あの、勇者様……胸の……それは?」


「えっ!?ち、違う!これは神の装備でして!」


『恋の依頼、受付中♡』


「違うって言ってるだろぉぉぉぉぉ!!!」


 周囲の冒険者たちがざわつく。


「おい見ろよ、勇者のTシャツ……!」


「“恋の依頼受付中”って書いてあるぞ……!」


「マジで募集してるのか!?」


《スキル:誤解誘発Lv.MAX》

効果・相手は誤解する。


受付嬢「え、えっと……恋の……依頼、ですか?」


「違います!!!」


『恋も戦闘も本気出す♡』


「やかましいわ神ィィィィ!!!」


ギルドマスター(筋肉)「お前が新しい勇者か……見た目はアレだが、力は本物らしいな」


「はい、これでも勇者です」


『筋肉より愛を信じろ☆』


ギルドマスター「帰れ。」


レン「ま、待ってください!俺、真面目に登録しに来ただけなんです!」

受付嬢「じゃ、じゃあ登録書に記入を……」


『名前:レン 職業:羞恥系勇者 特技:場を凍らせる』


「勝手に入力すんなぁぁぁぁぁ!!!」


突然、Tシャツが光を放つ。


『NEW☆宣伝モード起動!』


『恋も依頼もお任せ!勇者レン、ただいま絶賛募集中♡』


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ギルド中に反響する甘い声。


受付嬢「……勇者様、あの、こういうのは……店内放送禁止なんです……」


「Tシャツが勝手にやってるんですぅぅぅぅ!!!」


 周囲の冒険者(爆笑)


「あれ絶対モテねぇやつだ!」


「でもある意味伝説になりそうだぞ!」


「新スキル:羞恥心耐性MAX持ちの勇者!」


 ギルドマスター(頭を抱えながら)


「……勇者レン、登録は一応許可しよう。ただし、服を黙らせてから来い。」


「そんな無理難題言うなああああ!!!」


 夜、酒場の隅。

 レンはテーブルに突っ伏して呟く。


「俺……いつになったら普通の冒険できるんだろうな……」


 Tシャツが静かに光る。


『普通って、恥ずかしいくらい素敵♡』


「お前が言うなあああああ!!!」

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