忌災.3 鉄拳による制裁
副題:変身は誰もが持ちし憧憬
『さぁ、魔力を流せ!強化状態に入る!!』
「え?私、魔力ないよ?」
『え?』
「え?」
『「え?」』
グロァァアア!!
龍のブレス!山の木々を焼き尽くさんとする炎のブレス。
『なんだよそれ!聞いてないぞ!!』
「言ってないもの!!」
ブレスはこの鎧に全く影響を及ぼさない。
それどころか私たちが喧嘩できるありさまだ。
『それじゃあ、あんまり意味ねぇじゃねぇか!!』
「魔力を流さなくてもできることってないの?」
『あるにはある。魔法効果減少、装着者に対する治癒効果、それと魔力がある人間と同等の肉体強化ができる』
「・・・・・・それ普通に有用じゃないかしら?私にとってはメリットのバーゲンセールなのだけど?」
聞いている限りで言えばめちゃくちゃ有用な気がする・・・・有用すぎる・・・・
いつの間にか私の怪我が完治しているところか見ても有用すぎる。
「じゃあ、行くわ!」
『応!』
一歩踏み込む。
なんだろう、今までに感じたことのない力を感じる。
地を蹴り、加速。
え?ちょちょちょちょちょ!!
黒い龍にぶつかることもなく私は吹き飛ぶ
「行き過ぎぃぃぃぃいいいい!!」
『着用者なんだからちゃんと制御しろよ!!』
「無茶言わないで!ああもういい!!このままいく!!」
空中で半回転、木に対して垂直な着地・・・そこから一気に踏み込んで!飛ぶ!!
腕を曲げ、腰近くで拳に力を入れる。
「『鉄拳制裁』!!」
拳骨炸裂!!龍は倒れる!!
『待って、今のが技名?』
「そうだけど?」
『単純すぎないか?』
「そう?わかりやすくていいと思うけど?」
『まあ、いいか』
「さぁ、次は街の龍を倒しに行く!」
『使いこなせよ?』
「勘はつかんだから大丈夫」
私はその場で踏み込み、ジャンプ!!
☆
もう終わりだ。
俺の騎士人生はこれで終わりなんだ。
俺の前には龍がいる。黒い龍がいる。
俺は領民が食われているのを見ていることしかできない。
体動かない。恐怖が、畏怖が、絶望が鎖のように俺を離さず縛る。
もう一匹来た。
もう恐怖はない。ただ、絶望がさらに深まる。死という未来が近づく。
龍がでかい口を開き、俺をむさぼろうとする。
「うりゃぁぁぁぁぁあああああああ!!」
女の子の叫び声が聞こえたと思ったら、俺に向かって口を開いていた龍が吹き飛ばされた。
「・・・・・・・は?」
意味が分からない。剣が折れ、半端な魔法をはじく鱗を持つ龍を吹き飛ばした?
気が付くと俺の目の前に神秘な鎧に身を包んだ女の子が立っていた。
「ひと~つ、この世にはびこる悪鬼羅刹・・・ふた~つ、嘆き苦しむ無辜の民・・・み~っつ、すべての悪を殴り去る!正義のヒロインここにあり!!正義の代理人、参上!!」
「・・・・・・・は?」
☆
「兵士さん!さっさとみんなを避難させて!」
「・・・・・・!!お前はどうするんだ?」
「こいつらを殴る!!」
兵士の男があっけにとられるが、すぐさま持ち直し、民たちの方へと走る。
『おい、こいつらどうすんだ?』
「もちろん、全員ぶん殴る!!」
「その前に、こういう時に必要な儀式があるよね?」
『何かあったか?』
「変身シーン」
『は?バカ言ってんじゃねぇぞ?そもそも必要ねぇだろ』
「絶対に必要。この甲冑フォームは私には合わないというか、動きづらいから負けちゃう」
『・・・・・しょうがねぇな』
私は両足を地面につけ、声高々に『あの言葉』を唱える
「変身!!」
鎧が金色に輝く。
龍たちは前をやられ、二歩三歩後退する。
光が収まる。
鎧は四肢と胸、腰回りを守っている。
「わぁ!完璧」
完成度SSSってところ。まさに完璧。これくらい簡単にフォームチェンジできるなら別のフォームも考えとこう!
「ギャァァアアアア!!」
龍が怒る。
その目に嘲笑はない。その目は獰猛な捕食者そのものだ。
目標五体。恐るるに足らず。
「さぁ、初陣よ!!」
こういう年頃の女の子が自身にとって有り余る力を持つと、大体力加減を間違えますよね。つまりそういうことです。
友達とくだらない会話の場の即興で作り上げたアホみたいな拙作だけど・・・・これ、よく見なくても異世界版プ〇キュアなのでは?
主人公が純粋無垢(当社比)な女子、戦闘がほぼ徒手空拳、変身シーンあり、敵組織がある(拙作はちょっと特殊)、主人公が正義感満載、怪人が出てくる・・・・・似すぎている。
友情云々が(多分)出てこないこと、割と強さの秘訣が理路整然としていること(鎧君以外)、神秘的な攻撃手段を持たないことが救い(?)
僕は大きなお友達ではありません。見たことがないわけではない。小学校の頃の話だけど・・・・
しゃべる鎧君を主人公が装着するとこの世界の騎士たちもしくは魔術師と同水準になれる。ただそれだけ
それに崖を抉ることができる拳骨・最高速度がバカげた脚力・木々に飛び移るだけの瞬発力・命綱なしのロッククライミングができる体の耐久力と握力を足すとどうなるか・・・・という話です。
ついでに言えば、主人公は世界転移するときに細胞にイレギュラーが起こりまくっています。
例えるならそう・・・・細胞(肌は白い)そのものが『黒腕化する某覇気』の劣化版ような感じの変化
桁違いの拳骨、黒腕化する某覇気(劣化版)、馬鹿げた身体能力・自分なりの正義を持つ善人よりの人物・・・・ガー・・・・いやよそう。