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私は戦うヒロイン ~ Plus Ultra~  作者: 蒼華
喋る鎧 闘うヒロイン誕生
7/22

忌災.2 彼女の夢

ふぅ、危ないところだった。

見るからに高貴な服を着た幼い女の子が襲われそうになってたから横入りパンチしたんだけど正しかったかな?

女の子は助かった。つまり正しい。Q.E.D

頭使うの大っ嫌い!

って違う!!今すべきは状況確認!!


「大丈夫?けがはない?」

「あなたは?」

「私の名前は因果 律。通りすがりのヒーロー!!」

「ヒーロー?勇者様ということですか?」

「違うわ。ヒーローよ」


勇者とヒーローは全然違う。そう!全然違う!!

いやいや、今はそんなことより・・・・


「あなたは早く逃げなさい」

「ですが、私は贖罪を――」

「贖罪?それって罪を償うことって意味よね?」

「そうですが・・・」

「あなたみたいな高貴な人は一刻も早く逃げるのよ!」

「ですが――」

「うるさい!こんなところであなたが死んだところで犬死によ!!高貴な人には高貴な人でないとできないことがあるのよ!!ノバリス・オベ・リージェ、よ!!わかったらさっさと行きなさい!!」

「!!ハイ!!」


「さて、これが忌災。・・・・・ひどい」


家は燃え、人々は燃えるか食われるか狂う。

家の上には龍がはびこる。そんな世紀末。

騎士たちは怯え、話にならない。

果敢に龍に立ち向かう人もいる。その人たちは散るか功を奏するかの二択ね。


先ほどぶん殴った龍が再起した。

さてどう――!!


吹っ飛ばされた。なにこれ!?

私が走ってきた方向、山々の方へとぶっ飛ばされる。


速い、なんてもんじゃない!!速すぎる。

停止状態からのこの速度・・・・尋常じゃない!!


山の入り口付近の木々にまでぶっ飛ばされる。


「ガハッ!!」


血を吐き、頭が自然と下へと傾く。


「ゲホッゲホッ!!」


血反吐が出る。それもあり得ない量が・・・・・

いや、今はそれよりも・・・・


私は前を向く。

龍がそこまで迫ってきている。


私は走る。全速力で・・・・

速度が足りない上にこれではかっこの的。

私は木々を飛び移ることを選択した。さながら、くノ一アニメのように・・・・


龍は木々を棒菓子のようにバキバキと折りながら私に近づいてくる。

不味い・・・・予想以上に龍の鱗が堅い。


この時、私は失念していた。

龍のテンプレである、あの攻撃を・・・・


「ガアアァアアアア!!」

「!!何?」


咆哮を上げた龍に私の意識が駆られる。

口元が少しだけ膨らむ・・・・・不味い!!


龍がブレスを吐く一瞬、私は木の枝から出来得る限りの跳躍をした。


龍のブレスが辺り一帯の森を焼き尽くす。

足場をなくした私は地に着地するほかなかった。


そして、龍尾の一撃を喰らった。


吹き飛んだ。先程の比ではないほどの距離を・・・・

そして横に抉れた崖(・・・・・・)に激突した。



何分気絶したのだろうか?


「グロロロロロ!!」


嘲笑が聞こえる。龍の嘲笑が・・・・

ここはどこだろう?


目の前が赤い。いや、違う。

頭から血が流れているんだ。

体の節々がいたい。

骨が折れただけじゃない。きっと肉が切れている。


龍が私に背を向ける。

ダメだ・・・そっちには・・・・・・行かせない。


「だ・・・・・・・・め・・・・・・・・・・・」

『諦めろ。君には無理だ』


あの鎧の声が聞こえる。


「無理・・・・じゃない・・・・・・私が・・・・・・助ける・・・・・・・・絶対に・・・・・」

『なぜ?君はもうボロボロだ。もうすぐ死ぬだろう。それでも戦うのか』

「あたり・・・・・・前」

『なぜ?君はなぜそこまで戦おうとする?君に変えられるだけの力はない。なぜ戦うんだ?』


なぜだろう。

なにか・・・・忘れられないことがあった気がする。

・・・・・なんだっけ?忘れてはいけない・・・・忘れられない何かがあった。


『なぜ君は救おうとする?』


救う・・・・・・そうだ。私は・・・・ヒーローに救われたんだ!



日本での私は養子だ。

両親は事故死と聞く。見ていない。

私は孤独に、一人になった。

養子に取られた後も一人だった。


でも、今なら思い出せる。あの頃の恐怖を!絶望を!!誰からも愛されないあの日々を!!!

あの頃の自分を!鮮明に!!思い出せる!!!


私を救ったのは、ヒーローだ。

どんなヒーローだったかは覚えていない。

だけど、それでも!あの頃の私を救ったのは紛れもなくヒーローだ!!一筋の光が孤独に悩む私を救った。

だから私は・・・



だから私は!私は!!


「私と同じ目に!誰一人絶望させないように!!私がヒーローになるんだ!!!」


私は膝をたて、立ち上がる。

いくら骨が悲鳴を上げようと、いくら血がまき散らされようと、いくら肉が正常に動かなくても・・・

そして、私は立った。


龍がこちらを振り向く。

その目はまだ死んでいなかったのかという嘲笑に満ちている。


『それでも、力が足りない』

「いいえ、力ならある。私は毎日毎日、崖を殴り続けていたのだから!!」

『・・・・・・は?』

「この抉られた崖が努力の結晶!力の証明!!私の成果だ!!!」

『・・・・・・・嘘だろ?』


龍が笑う。

きっと意味を理解していない。私の努力を!文字通り血のにじむ成果を!!


「足りないのは防御能力。」

『・・・・・』

「だから、お願い。私の()になって!」

『・・・・俺の役目には程遠そうだが、いいぜ。力になってやる』


喋る鎧が目の前に現れる。

そして、鎧が光り輝く。私も龍も目がやられそうなくらいの光だ。

光が収まる。

いつの間にか、私はその鎧を着ていた。


黒い龍。思い知らせてあげる。そして正義の鉄槌を私が!下す!!

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