喋る鎧 来たる災
鎧は上下がくっついています。
『あ?おめぇが俺の封を解いたのか?』
「ギャァァアアアア!!」
思わず私は喋る鎧を投げ出した。
『おい、ちょ待っ!!』
鎧は数度跳ね、
ポチャン!!
河に入った
『おい!おい!!助けろ!!おい!!!』
「!!今助ける!!」
☆
『まったくひどい目に遭ったぜ』
「ごめんなさい」
『謝ったら騎士なんていらねえんだよ!』
「すいません!すいません!!」
なぜか私は鎧に謝っている。わけわかめ。
『それで、俺を呼び出すってことは世界のピンチってことだろ?お嬢さん?』
なんだろう、すごくおっさん臭くなった。
『任せとけ、この聖鎧イージス様がこの世界を救ってやるよ!』
すごい勝手に話が進んでいく。
「あのぉ~」
『なんだいお嬢さん?残念ながら俺は鎧。いくら俺がかっこよくたって・・・』
「いえ、まったくかっこよくありません。『!?(ガシャ!!)』そうじゃなくてですね・・・別にピンチじゃないんですよ」
『は?今なんて?』
「別に世界が終わるとかそんな話は今ないんですよ」
『じゃあなんで、俺の封が解放されているの?』
「封なら私が殴って破りました」
『えぇ・・・・俺って聖鎧だよ!?めちゃくちゃかっこよくて強いんだよ!?』
鎧にかっこいいとかあるのだろうか?私の親友に聞けばわかる気がするが今いないんだよねぇ。
「とりあえず、また封しますので戻ってもらっていいですか?」
『いやいやいや、俺に駆けられていた封印ってそんな簡単なもんじゃないよ!?』
「そうなんですか?一発でどうにかなりましたけど・・・・」
ワンパンだった気がするのだけど・・・・
『てことは何?超平和な時期に俺の封が解かれたってこと?』
「そういうことです」
『ええ・・・・何それ・・・・俺の出番皆無なのに俺の封解除するとかどういう神経しているのぉ?』
「・・・・・」
『でもさぁ、この世界って忌災があるじゃん。その時に活躍すればいいじゃん!!』
「忌災?」
『待って、さすがに忌災知らないのはおかしくない?』
「いえ、私の生まれこの世界じゃないので」
『は?』
☆
ここは雲より高き場所。
黒の鱗に纏われた数匹の龍がその巨躯を微動させながら優雅に空を駆ける。
「グルルルル!!」
「グロロロロロロ!!」
龍たちは咆哮で意思疎通を取っている。
彼らの侵攻先はヴィナス公爵領。
忌災が始まる。