祠の鎧
追記:書き忘れたことがあるので・・・・
主人公の腕は包帯でぐるぐる巻きです。厨二病ではありません。読めばわかります。
一年が経ちました。
ここの領主さん、ヴィナス公爵はめちゃくちゃ優しい。
施設にいくらか時間を設けたうえでの『領内の行動の自由』を認めている。
つまり、私がいくら修行しても全く怒られない。なんてすばらしいのだろうか!!
そんなわけで、今日も今日とて、修行を開始する。
ウォーミングアップがてら、児童養護施設から山々の頂上を目指して走る。
その道中で仲良くなった八百屋のおばさんからいくらかのリンゴをもらう。これが昼食だ。
山々の一番下に到達した瞬間、短距離モードに変え、今出せる最高速度を出す。
起伏が激しくなったら、ジャンプし、超速度で木から木へと移る。
そうしていくと、崖が見えてきた。その崖をロッククライミングの要領で登る。
そうして、木々を移り、走り、登るを繰り返し、頂上に到達する。
「やっほぉぉぉぉぉぉおおおおおおーーーーーーーーーーーーー!!」
(やっほぉぉぉぉぉぉおおおおおおーーーーーーーーーーーーー!!)
やまびこが聞こえる。
私はやまびこを最後まで聞いた後、ある場所を目指して走る。
そこは滝の源流。
下には上から下へと流れる滝と悠久の時が生み出した滝つぼのような穴があり、向こうに視線をそらすとその穴を源流とした領地に流れる大河の上流が見える。
私は近くの木々の下に上着を全て起き、下着姿のまま落ちる。
ザッッッパァァァァアアアアン!!
大きな音、大きな水しぶきが飛び、私はその穴に落ちる。
流れに身を寄せつつ、源流の脇を目指して犬かきをする。
脇に到達した後、近くの大岩に座りながら頭を振り水を散らす。
私は岩に座り、上流の水を足でパシャパシャはねさせながら一休みをする。
ピチチチチという小鳥のさえずり、サワァァァという葉が風に揺られ葉同士がこすれる音がする。
十分乾いたと思った私は、来ていたものを取りに滝の源流近くの木々目指した。
☆
今日は趣向を変える。
それは前々から決まっていた。
この山を巡りまくろう!!
なんかこの山って・・・なんか由緒正しいらしい。
なんかが重複するほど知識がないのだ。私は。
何でも祠があるらしいのだけど・・・・それを探しに行こうと思う。施設のおばさん曰く、探すのが難しいとか、聖なるものがおられるから一般人が見つけることが至難だとか、結局のところ、見つけにくいらしい。
☆
三十分が経った。
結果から言うと見つけた。
え?簡単すぎない?もっとこう宝探しの気分でやってたんだけど・・・・そう、例えるなら今日の修行をすべてお休みになるぐらいの時間が経つとか・・・・そんな感じのことを想定していたいのだけど・・・
拍子抜け。私の感想はそれに尽きる。
それに祠って言ってたけど・・・・めちゃくちゃでかい岩というか・・・・言うなれば『岩の塊』で、洞窟が封されている状態。
でもわかる。この岩の先に何かがあると・・・・
とりあえず・・・・
「殴れば理解できる」
ボガァァアアン!!
思ってたよりも簡単に砕けた。
岩の塊の先の洞窟は狭かった。
木箱が置かれている。それよりもちょっと大きいくらいの横穴が開いている。それだけ。
私はその木箱を上から殴る。
バギャ・・・ゴチン!!
「痛っっ!!」
木箱は木っ端みじんになったが、その中に入っていた何かに拳が当たった。
今まで感じたことがないほどの痛み。殴ったからなんだけど・・・・・
「なにこれ・・・・鎧?」
それは神秘的な雰囲気を纏う――
『痛ってぇなぁ。何すんだよ!!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「鎧が喋ったぁぁぁああああ!?」
恐らく、上の下着はスポーツブラ(もしくはサラシ)、下はTバックじみた布
分かりやすい脳筋の標語「殴ればわかる」。これに尽きる。
喋る鎧とか、某素晴らしい世界の聖鎧かよ・・・・
そこのあなた、そうこの喋る鎧がヒロイン(男)だと思ったそこのあなた。大正解です!!!!