疑問と疑惑
俺、エドマンド・エルドラドはエルドラド分校の医務室のベットで寝っ転がっていた。
「メタトロンか・・・・」
俺の頭を占めているのはあの奇天烈な鎧を着た女だった。
数人とはいえ、騎士たちが逃げ惑うほどの力を持つあの怪人を、たった一人で打ち破った。
我が国の騎士団に召し抱えられないだろうか?そもそも彼女は何者なんだ?などと尽きぬ疑問に頭を抱える。
だが、あの女で一番気にかかっているのはあの顔だ。どこかで見たような気がするのだが・・・・どこで、そして誰だ?
「離してください!!私に傷なんてないでしょう?私に治療は必要ありません!!」
医務室の扉付近で騒いでいる生徒がいるようだ。声の高低から考えるにおそらく女子生徒。
俺の視線は寝具を囲う白いカーテンで遮られている。だから、誰だかわからない。
それにしても、妙に聞き覚えがあるような声だ。
最近追っていたような・・・・
その時、俺の視線の先のカーテンが崩れ、その生徒の姿が露わになる。
「!!テミス女史!!」
その女子生徒は何とテミスだった。
彼女は俺の声を聴き、不服そうな顔で俺の方を向く。
「ゲッ!!粘着王子」
すごい失礼な言葉を言われた気がするがノーコメントとしておこう。
隙ありとばかりに、保険医がテミスを捕縛しようと腕を伸ばすが、テミスはそれを難なくよけ、医務室の扉に向かって小走りで走る。
その時、テミスの横顔がメタトロンの横顔を想起させた。
「??」
俺はよくわからなかったが、妙な納得感が胸を占める。
もしかして、メタトロンって・・・・・まさかな。いやしかし・・・・
そんな俺をよそに、テミスと保険医は医務室で追いかけっこを始めるのだった。