「六本腕」対「二本腕」ー2
「メタトロンとやらと怪人はどこに行った?」
俺はフラフラの足で立っている。立っているのがやっとだ。
メタトロンがあの怪人を横からタックルして消えてから数分が経った。
あれから姿が見えない。
二人ともどっか行ったのだろうか?
その時、俺の目の前にナニカが超スピードで転がってきた。・・・先の怪人だ
「は?」
「まだまだぁぁあああ!!」
転がってきた方向から、メタトロンの声が聞こえる。
先程を越えるスピードで複腕怪人に肉薄する。
怪人は防御の構えをとる。
だが、彼女から放たれる拳はそんなガードを嘲笑うが如く超威力を持っていた
怪人は拳の威力を軽減できず、ズザザザと後ろに引き下がる。
「GURURURUAAAAAAAAAA」
怪人の右肩の水晶玉が黒く光る。
次の瞬間、怪人の腕が八本に増えた。
「ヒィ!!」
「フッ!!」
俺は小さな悲鳴を上げる
対して、メタトロンは鼻で笑う。
「腕を増やしたくらいで私に勝てると思うな!!」
「GYARARRARAAAAAAAAAAA!!!!!!!」
怪人が肉薄。
そして、複腕を振るう。
メタトロンは動じない。
ただ、拳を自身の腰近くに置き、力を溜める。
複数の腕が彼女に届きそうになった時、怪人が吹っ飛んだ。
メタトロンの一撃。
彼女の次手。
足元の石畳を割るほど踏み込み、蹴る!!
凄まじいスピードで怪人が吹き飛んだ方向めがけて駆けていく。
怪人の裏を取り、再び拳を腰もとに置く。
その拳は怪人の背中にめり込む。
・・・・ちょっと待て、俺の方に向かってきてないか?
「ちょ待っ!!」
瞬間、メタトロンが俺の前に現れる。
迫りくる怪人に向かって上段蹴り。
怪人が少し浮く。
彼女はそのまま、宙返りし、上向きの蹴りを放つ。
怪人が空へ飛ばされる。
「嘘だろ?」
「まだ!!」
彼女は駆ける。
屋根に向かって跳躍、屋根を駆け、再び跳躍。
怪人よりもよりも高所にたどり着き、腹部を殴る。
怪人は地面に叩きつけられる。
怪人が浮く。
瞬間、メタトロンが着地する。
「『鉄拳』」
メタトロンの拳は怪人の右肩の水晶玉にを粉砕。
怪人は爆発四散。
爆発による突風が襲い来る。
突風は割れた石畳や土くれを周囲にまき散らす。公害!!
突風が止む。
突風発生地点にはメタトロンしか残っていない。
彼女は拳を天に突き上げ叫ぶ。
「ビクトリィィイイイイ!!!」
彼女の叫びがこだまする。
そして彼女は拳を下げ、踏み込み、跳躍。
どこかへ飛んで行ってしまった。
学園の屋根に侍女服を着ている二人の女の姿が見える。
「実験体が倒されてしまいましたね」
「そんなこと言ってる場合じゃないって分かってるわよね?」
「わかってますよ。とりあえず、あの方に報告しましょう」
「なら、さっさと帰りましょう。騎士団に見つかったら面倒よ」
「は~い」
一瞬にしてその二人が屋根の上から消えた。