プロローグ
初投稿です。
つたない文章で分かりにくい所も多々あると思いますが、楽しんで頂けたら幸いです。
―― 聖都から離れた小さな村 ――
魔族に襲撃され、辺り一面火の海となったこの村は正に地獄と化していた。
そんな悲鳴と嘆きが飛び交う地獄の中、一人の子供の声が微かに響き渡る。
「お父さん、お母さん、どこ?」
地獄と化したこの村で、この子供は傷だらけになりながら父と母を探して歩き回っている。
その子供はかれこれ三十分以上地獄の中、両親を探して歩き続けていた。
それでも両親の姿は見つからず疑獄の中、足がボロボロになっても彷徨い続ける。
そろそろ気力も体力も限界に達し意識が朦朧としてくる。
そんな中、遠くに何かがたなびいているのが見える。
「お父さん!」
父が身につけていたスカーフがたなびくのが見えた子供は、先程までの疲れを忘れて夢中になって走り出す。
(お父さん、お母さん、やっと見つけた!)
無我夢中になってスカーフに向かって走っていき、途中で転んでも泣きもせずに走り続ける。
そしてスカーフが揺れている所に辿り着き、期待の眼差しでスカーフの先を見る。
「えっ、お父…・・・さん?」
そこには瓦礫の下敷きになっている父の姿と、父の横で魔族に襲われて腹から血を流して倒れている母の姿があった。
「ねぇ、起きてよお父さん、お母さん!」
少年は現実を受け入れられず叫び続ける。
「……ねぇ、起き……てよ……」
周りが炎に包まれた状態で叫び続け、酸欠状態になっていき徐々に意識が薄らいでいき声も小さくなっていく。
そして少年が意識を失いそうになったその時、少年の目に黒い衣服に身を包んだ異様な威圧感を放つ存在が映り込む。
それは闇そのものと言っても過言ではない程どす黒いオーラを放っており、見ただけで体のそこから恐怖が込みあがり全身が震えだす。
(あいつは……魔王?あいつが父さんと母さんを……)
少年は魔王を見たことがなかったが、目に映るそれは絶対に魔王だと思わせる圧倒的な存在感があった。
(魔王! お前はいつか俺の手で……殺す!)
魔王への復讐を誓った所で子供の意識は途切れた。
この少年、カインの物語が動き出す。