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記事

 私は、国立図書館に行き、過去の新聞記事を漁った。


 探していた記事は、今から約四十年前――昭和五十八年のものだった。


 記事の内容は、以下のとおり。




…………



 昭和五十八年十月八日、東京都墨田区の住宅で火災があり、消防隊の出動によって火は消し止められたものの、一軒家が全焼した。

 火の勢いが強かったことから、消防庁は、ガソリンなどの燃料が人為的にまかれた放火事件である可能性があるという。

 焼け跡からは、大人二人と、子ども一人の死体とみられるものが発見されたものの、焼損が激しく、身元特定には至っていないという。

 もっとも、この家に住んでいたのは、野茂戸のもと泰明やすあきさん(三十一歳)の一家であり、警視庁は、死体が、泰明さん、妻の雪音ゆきねさん(三十歳)、子の寧々花ねねかさん(ぜろ歳)である可能性があるとして、身元の特定を行なっている。



…………



 一昨日(昭和五十八年十月八日)、東京都墨田区の住宅で発生した火災で、鑑定の結果、焼け跡から見つかった遺体のうち、野茂戸泰明さん(享年三十一歳)、妻の雪音さん(享年三十歳)の遺体に、包丁で複数回刺された痕があることが判明した。火災に関しても放火の可能性が高く、警視庁は、何者かが野茂戸さん一家を殺害した後、野茂戸さん一家宅に放火をしたものとして捜査を進めている。

 野茂戸泰明さんは、東京都内で産科医として勤務しており、「若いながらも腕が良い」との評判だった。また、真面目で正義感の強い人格者とも知られていた。加えて、野茂戸さん夫妻は、子宝にも恵まれたばかりであり、野茂戸さん夫妻の共通の知人は「あまりにも無念である」と唇を噛んだ。

 なお、焼け跡からは、乳児と見られる死体も発見されており、未だ身元特定には至っていないものの、三ヶ月前に生まれたばかりの野茂戸夫妻の長女である寧々花さん(〇歳)のものと見られている。


…………



 新聞記事を読んで、私にもようやく分かった。

 この放火殺人事件こそ、史乃の事件の謎を解くための「ラストピース」なのだ。

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