発見
探していた資料はすぐに見つかった。
海原の机の上である。
書き途中のルーズリーフが目印となった。
海原が死んだ日、海原はルーズリーフを持参し忘れていた。このことはつまり、海原が死ぬ前日の夜から朝にかけて、海原が自宅でルーズリーフを使い、史乃の事件について整理をしていたということである。
散らばったルーズリーフの下敷きとなる格好で、年季の入っていそうな新聞や雑誌が、大きく分けて三つの山を作っていた。
私は、ひとまずルーズリーフをまとめてクリアファイルに入れ、それぞれの山の中身を確認する。
一つ目の山は、史乃が起こした夢遊病殺人にかかる資料の山であった。私が賀城から手渡されている新聞の切り抜きと共通するものがいくつもある。
二つ目の山は、谷之岸沙弥の連続殺人にかかる資料の山である。これも私が持っている資料と大体共通している。
三つ目の山は――
それは、私が今まで出会ったことのない情報にかかるものであった。
私が、今回の史乃の事件と全く結びつけていなかった「ある法律」について、その成立過程や適用事例がまとめられた資料なのである。
これこそが、海原が私に託した資料なのだと、私は直感する。
果たしてこの法律がどのように今回の史乃の事件と結びつくのかは、今の私には見当もつかないのだが、おそらく、海原がまとめた資料に目を通した後ならば、私にも分かるはずなのだ。
この法律こそが、全ての引き金なのだということが。