罪を重ねた時の旅人
とあるところに三人の少年達がいました。
三人の少年はとても仲が良く、毎日毎日共に過ごし、遊びました。
そこで三人の中の一人の少年がひとつ提案をしました。
ともに世界を見に行こう、と。
それから幾年の年月が経ち、少年達は青年と呼べる程へと成長しました。
そして青年達は旅をはじめました。
最初はどれほど良いものだったでしょう、様々なものを見、触り、出会ってきた彼らには世界は美しいものだと認識させました。
しかし、少し離れた場所で戦争が起こってしまいました。
青年達はそれを見てしまいました。
何を思ったのでしょうか。しかし、彼らが見てきた美しいものとはかけ離れたものでした。
そこには裏切りがありました、そこには憎しみがありました、そこには逆恨みがあり、そこには怠慢があり、そこには欲望という名の混沌とした坩堝がありました。
救いはなく、苦しみの嘆きと怒りの咆哮がその小さな世界を覆っていたのです。
悲しんだでしょうか、怒ったでしょうか、絶望したのでしょうか。
三人の中の一人がその光景を目に焼き付けた瞬間、狂ってしまったのです。
そしてともにいた二人のうち、一人を■してしまいました。
正気に戻った青年は、己の罪を嘆き、命を絶ってしまいました。
残された青年は独りぼっちとなってしまいました。
さて、また幾年と時間が過ぎていきました。
独りぼっちとなってしまった青年は、三人の夢である世界を見に行く、ということを叶えようとしました。たとえ、一人であろうと。
その道中でいくつの罪を重ねたか、最早青年にすら数えられません。
数多の嘘をつきました。優しい嘘も、私利私欲にまみれた嘘も。
多くの人を■しました。生きるためにと、己を正当化しながら、しきれず嘆き。
しかし彼は止まれませんでした。止まることを許されず、また許そうとせず、ただ歩き続けたのです。
それは夢を叶えるためでは、もうありませんでした。己に許しを請わず、己に問いかけ続けながら、ただただ歩み続けたのです。
その先に何があろうと、その先に何もなくても―――――
無垢な旅人のように、深き業を背負った罪人のように、
永遠の時の旅人となりました。
一作目
気分で書いた物語ですので、至らない点はご容赦ください。