表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

96/153

96 それって結構まずい事ですよね?

 

「無理……なんですか?」


 少なからずそう簡単にはいかないだろう、と心のどこかで覚悟しておいてよかった。

 エクレールに乗せられるまま俺までやる気満々になってたらもっと凹んでるとこだったぜ。


 と、自虐的に自分を慰めつつ平常心の維持に努める。


「あぁ、厳密に言えば『今は無理』なので、落ち込まなくて大丈夫ですよ~」


「詳しく聞かせてください」


「思ったより重篤な呪いみたいですねぇ。これを解くにはちょっとした儀式が必要になります~。儀式に必要な触媒は教皇様が管理しているので今の私では用意できませんが大会に優勝すればどうにかなるかと~」


 優勝すればどうにかなるって……。

 割とザックリだな。


 でもまぁ、確かにサクラにお願いした時も純粋なサクラの力だけではなく先祖代々伝わる家宝の八尺瓊勾玉を使う予定でもあったし、俺の呪いはやはりしぶとい部類に入るのだろう。


「それとですねぇ、この方法では呪い自体は解けるのですが……」


 言い淀むエリナさん。

 これ以上困り事でもあるのだろうか?


「呪いは解けるけどなんですか?」


 気になる事はさっさと解消するに限る。

 俺は急かす様にエリナさんへと疑問符を投げかけた。


「呪いを解くと言うよりレイドさんから引き剥がす、と言った方が正しいですねぇ。なので引き剥がした魔人の魂とも呼べる思念体が暴れ出す可能性もあるんですよぉ」


「……それって結構まずい事ですよね?」


「そうですねぇ。少なくとも解呪の儀は人里離れたところで、魔人が復活しても討伐できる人達で固めなければかなり危ない事にはなりますねぇ」


 思ってた話と違う!

 もっとさっとぱっと終わらせられないんですかねぇ……。


 とは思うがそれを言っても話は進まない。


「あぁ、ちなみにですが恐らく呪いを引き剥がしたらレイドさんは気を失って暫く動けなくなると思いますぅ。それくらい深いつながりを解く事になるので少しばかり体に負担がかかりますねぇ」


『中々予想外に難易度高いな』


 俺が気を失えば戦力低下どころかお荷物にしかならない。

 魔人相手に荷物を抱えて戦うなど、ミーア達にとっては負担が大きすぎる。


『大丈夫じゃない? 最悪は私が代わりにレイドの体を使って戦ってあげるわよ』


『すまん。そうしてくれると助かる』


 珍しくエクレールとまともな会話が成立したところで、


「色々と予想外な事で申し訳ないですぅ。でも仮に優勝出来なかったとしても責任を持って呪い解除の役目は果たしますので心配はしないでくださいねぇ」


 そう言ってしおらしく頭を下げるエリナさん。

 ほわほわ態度を崩さない彼女だったが、一応は気にしてくれていたらしい。


「儀式の時には自分もお供するっス! だから魔人と戦う時は自分がお手伝いさせてもらうっすね!」


「ユイさんありがとう、その時はよろしく頼みます。エリナさも顔を上げて下さい。解けないわけじゃないんだし気に病む事は無いですよ」


『残念。ひゃっほい祭りはお預けね』


『べ、別に楽しみなんかしてないしっ!』


 ひゃっほい云々は置いておくとしても、やはり一筋縄で解除とならなかったのは精神的にくるものがある。

 とは言えそれをグチグチと引きずっていても始まらない。


「それで、これからですけどどうします? パーティー組むなら大会まで連携強化の為にダンジョンにでも潜りますか?」


 即席と言えど時間があるのなら少しでも練度を上げておくに越した事はないだろう。

 そんな俺の提案に、


「そうですねぇ。私達としてもそれでお願いしたいですぅ」


 エリナさんとユイさんは揃って首肯した。


「それじゃ、早速行きましょうか!」


 少しだけ沈んだ空気を変える様に、俺は声高にダンジョンへと足を向けた。


【作者からのお願い】

お読みいただきありがとうございます!

もし少しでも面白い、続きが気になる、と思って頂けましたらブックマークと

↓の評価☆☆☆☆☆よりお好きな数の星をつけてもらえると励みになりますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ