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72 勘違いしないでくださいよ

※レイド視点に戻ります

「おはようございます、レイドさん」


「おはよう、レイド」


「レイド君おはよー!」


「おはようございます……レイさん……」


 微睡みを感じつつ視界を開けば、そこ映るは俺の顔を覗き込む様に近づく四人の美少女達。


「…………」


 朝……なのかは分からないが、美女に囲まれる寝起きと言うのは嬉しいやら恥ずかしいやら。

 複雑な感情の起伏に俺の脳は眠気をすっ飛ばし、一気に覚醒へと至る。


「おはよう。皆無事そうで良かった」


 目線だけを動かし確認すれば、どうやらここはアイシャ達の部屋らしい。

 ここに居てアイシャ達も穏やかに微笑んでいるところを見れば、鬼神の悪夢は過ぎ去りヤマトに平和が戻って来たと思って良いのだろう。


「俺はどのくらい寝てたんだ?」


『二日半ってところかしら』


 俺の問いに答えたのはエクレール、そしてそれを補足するかのようにミーアが口を開く。


「そうですね、<嫉妬の魔人(ルクセリア)>の時よりは少しだけ短かった感じです」


 なるほど……予定よりは割と長めに眠ってしまっていたよ……


 ん?


 え? 


 ちょっと待って。


 なんでエクレールとの会話にミーアが入ってんの?


 そんな疑問が寝起きの頭を過るが、間を置かずエクレールが放った言葉によって俺の意識は完全に逸れる事となる。


『で、寝起きに言いにくいんだけどさー、ちょぉーっと生命力を吸い過ぎたみたいで<暴食の魔人(グラトニー)>が復活しそうなのよねぇ……』


『マジかよ……俺死ぬのか……?』


 そうは言いつつも、少しだけそんな予兆は感じていた。

 強がりでは無く寝起きでも分かる程に、心臓辺りから感じる違和感が明らかに大きくなっていたからだ。


「大丈夫です! 呪いを解く事は出来ませんが抑え込む事なら出来ます。だから……その、レ、レイさんは安心してください」


 言葉尻に伴い顔を赤く染めるサクラさん。

 そんなに恥ずかしなら無理にレイさんと呼ばなくてもいいんじゃないか? ってかそもそも何でわざわざ呼び方を変えたのかが謎だ。


 まぁ、それよりも今は「抑え込む事なら出来る」その意味を確認する方が先決だとは思うが。


「詳しく教えてくれ」


「日に一度封魔の印を……簡単に言えば一日一回魔法で呪いを抑え込みます。なので、これからは私が専属医としてレイさんに同行しますので、呪いで死ぬような事はありませんよ」


 微笑むサクラさんの言っている意味は分かった。

 分かったが、どうにも話がスムーズ過ぎる。


 これはエクレールの存在を既に全員が認知しており、俺の目が覚める前に何らかのやり取りがあったと考えても……いや、あったと考えた方が辻褄は合う。


『結局のところ俺が起きる前に色々あった、って事で良いんだよな?』


 今までであればエクレールだけに話しかけていた事になるが……、


『悪くない推察ね』


『レイド君すごいね~、もう分かっちゃったんだぁ?』


 頭の中に響く返事は二つ、エクレールとメイ。

 返事こそ返さなかったが、ミーア達の目は『流石です』とでも言いたげに薄く微笑みを浮かべている。


「一体何を話したのか聞くのも怖いけど、とりあえず俺の呪いはサクラさんが抑えてくれるって事で良いんだよな? 迷惑かけるけどよろしく頼むな」


「はい、ヤマトを救って頂いた恩人の為です。安心して私に任せてください。それよりも……あの時は呼び捨てだったのにどうしてまた他人行儀な呼び方なんですか? こっちは一生懸命馴染もうとしてるのに……」


 若干不服そうに頬を膨らますサクラさん。

 さっきから呼び方が覚束ないと思ったら、そんな事を考えていたのか。


 あの時とは鬼神と戦っている最中だと思うが、確かに精神的にも心に余裕が無かったし、呼び捨てにしていた記憶はある。


「呼び捨てでも良いって事なのか?」


「……っ。レ、レイさんの好きに呼んでいいですよ? でも私は呼び捨てにされたぐらいでレイさんの女になったりはしませんからね……! 勘違いしないでくださいよっ!」


 勘違いも何にもそんなに顔を真っ赤にして言う事ですかね?

 一体エクレールに何を吹き込まれたのやら……



 怖くて聞けねぇやっ!



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お読みいただきありがとうございます!

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