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31 side勇者 ~リリアの憂鬱と崩壊計画 その8~

※リリア視点のお話になります

「すまない、少し時間を貰えるかな?」


 報告書も再調査となり、愚図二人も意気消沈。


 おおかたの結果に満足したわたしが帰路につこうと準備をしていたところで、領主とその娘に呼びとめられました。


「はい、なんでしょうか?」


 恐らく多少はニヤついていたであろう顔を素面に戻し、即座に真面目な顔を取り繕います。


「実は護衛の依頼をお願いしたくてね」


「護衛……ですか?」


 話が全く見えませんね。

 少なくともさっきの茶番のお叱りを受けるような事は無さそうで一安心ですが。


「報告内容に齟齬があるとは言え勇者パーティーとしての実績自体は本物だと思っている。そこでだ、私の娘の護衛を頼みたい」


 ここでまさかの領主直々に指名依頼。


 あんな茶番をやらかしてなお依頼してくると言う事は、元々このタイミングで直接依頼する予定だったのでしょう。


 本来であれば大変名誉な事ですが……。


 ここで断れば勇者パーティーの株は駄々下がりです。

 またとない直接依頼を断り心象を悪くするチャンス。


 そもそも領主が本物だと言った実績はレイドありきの評価です。

 今の面子(めんつ)でまともに依頼がこなせるとは到底思えません。


 と言うか無理ですね。


 ゴミ箱に娘を入れようとしているだけの愚行です。


 断る理由しかない。


 ですが何故でしょうか?

 上手く言葉では言い表せませんが、妙に娘の存在が気になります。


「詳しくお伺いしても?」


 断るだけなら後でも出来ます、まずは話だけでも聞いてみましょう。


「我が娘ソアラは少し前に魔法学院を卒業したばかりでな、本来はこれからわたしの秘書として色々と仕事を頼むつもりだったのだが……」


 珍しく歯切れの悪い領主の言葉。

 その顔は領主と言うより子の扱いに困る親、と言った方がしっくりきますね。


 それにしても、魔法学院ですか……。


 魔法学院は別名、道楽学園とも言われ主に金持ち貴族の子供が通う為に作られた学校とも言われています。


 ではなぜ道楽と揶揄されるのか、それはこの世界の成り立ちに関係してきます。


 そもそも十五歳の節目に発現するスキル、これでその人の人生は少なからず方向性が決まります。


 わたしが【魔術】、レイドが【採取】であるようにそれは人によって様々。


 そして十五歳からは成人として扱われ、親元を離れ冒険者になる者や家業を継ぐ者など多種多様な、しかし一人の大人として社会に貢献していくのが定説です。


 定説ですが、勿論例外もあります。

 その例外の一つが魔法学院。


 本来は成人する歳からあえて二年間学院に通わせることで、半庇護下の元、無職では無く学生として甘い汁を享受できる場所。


 しかも入学金は金持ち貴族でないと払えない程高額なうえに、授業内容は実戦無しの座学のみ。


 研究者タイプの人間には良い環境なのかもしれませんが、本気で研究に勤しみたいのであればそれ専用の専門機関の門を叩くのが普通です。


 端的に言えば学園としての形はとっていますが、その実小さな貴族社会として令息令嬢の社交場になっているとのこと。


 まぁ、中には優秀な成績を収めて宮廷魔導士や騎士団に入る逸材もいるとは聞くので一概に道楽とも言えないのですが。


「ソアラと申します」


 わたしがあらぬ方向に思考を割いていたところで初めて口を開いたソアラさん。


 その口調は意外な程に柔らかく、優雅な一礼はまさに貴族然としています。


 さっきまでは不機嫌そうに顔を歪めていましたが……。

 いつの間にかご機嫌は直ったようですね。


 形式的にわたしも一礼と名乗りを上げたところで、ソアラさんが話を切り出しました。


「単刀直入に言います。

 目的地は極東の島ヤマト、そこで私はある人に会いたいのです。

 長い旅になるかとは思います、ですが……私はどうしてもその人に会いたい!

 護衛の依頼、受けては頂けないでしょうか?」


 懇願するかのような彼女の真っ直ぐな視線。


 魔法学園卒業と聞いて我が儘道楽娘かと思えば、なかなかどうして悪い子ではなさそうです。


 今の話だけで詳細は分かりませんが、きっとこれは恋する乙女の悩み。


 卒業と同時に想い人と離れ離れになり、会えない時間が会いたい思いとなって我慢の限界に来たのでしょう。


 わたしもレイドを想えばその気持ちは十分すぎる程分かります。



 そしてわたしは直感的に理解しました。



 いや、女の勘が囁いてる、とでも言いましょうか。





 この依頼……






 受けるメリットが全くありませんね。


※お知らせさせてください

日頃のご愛読ありがとうございます!

ありがたい事に本作ブックマーク100に届きそうな勢いとなっております。

これも偏に読んでくださる皆様おかげで感謝しかございません!!


と、感謝とお礼の言葉は言い出せばきりが無いので(本当に頭が上がらない)

本題なのですが、本作のタイトルを変更させて頂こうと思います。

まだハッキリとは決まってませんがもっと多くの方に読んで頂けるような(ブクマと評価が欲しい)

タイトルにしたいと思っていますので、温かい目で見ていただければ嬉しいです。


拙い作品ではありますが今後とも読んで頂ければ幸いです。


ブックマーク/評価、作者のモチベーションとなりますので

ぜひともよろしくお願いいたします!m(_ _)m


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― 新着の感想 ―
[一言] リリアの女の勘役立たずすぎるwww 君にとってはむしろメリットしかないだろうにw
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