第一話 自殺未遂
がんばります
今日俺は死ぬ。
理由は簡単だ。
落ちこぼれだったからだ。
そう今日俺、碇谷拓人は自分の能力の無さに嫌気がさして、死ぬことを決意した。
「ふぅ」
飛行スキルで飛んでいる俺の真下には湖がある。
俺は飛行スキルを解除した。
重力に従ってどんどん早くなっていくなか過去のできごとが走馬灯のように駆け巡る。
走馬灯って本当に見るんだな。 てか俺なんでこんなに冷静なんだ?
そんなことを考えてたら、湖がどんどん近くなってきていた。
近づくにつれて死ぬことへの恐怖が増していく。 でもその恐怖よりも生きていくことの方が何倍も辛いんだ
湖は目の前まで来ていた。
「やっと楽になれる」
そうして俺は水のなかへ入っていった......
はずだった
「あれ?」
俺は確かに湖に入ったはずだ。目の前まで湖が来ているのも確認した、何か魔法を唱えたわけでもない。
なのに……俺は今、湖のそばに立っている。
体はどこも濡れていない。 怪我してるところもない。
そしておれは、目の前の光景に目を奪われた。
女神がいるのである。 いや女神ではないのかもしれない、しかし俺のボキャブラリーのなかで最も最適な言葉が女神、であるほど美しいのである。
ん? 手が光ってる? いや光を持ってる? てかなんで俺生きてんの? 死んだはず、てかあそこからどうやって回避したんだよ俺。しかも誰?この人
必死に思考を巡らせていると
「あなたが落としたのは金のあなた? それとも銀のあなた?」
……………
ん?今なんて言われた? 金の俺? なんの話だ? てかまず誰だよ!
疑問が止まることなくどんどん溢れて来て言葉にすら出来ない。
一回冷静になろう…… 俺はさっき湖に飛び込んで死のうとして……
あ、俺死んだのか。
その結論至るとここまでの不可解な出来事に全て納得がいく。
まずここは死後の世界だろうな。こんなに死ぬ前と同じ感じなのか。てか同じ場所だな。じゃああれか、 魂だけになってこの世界を漂う感じか。
てことはこの人は案内人的な感じの人か。 じゃあこんな綺麗な人あたりじゃね?
自分のなかで色々と納得させていく。
そこからの俺は至極冷静に物事を考え、言葉を発した。
「あなたは死後の世界の説明的なことをしてくれる方ですか? ちょっと状況があんまりわかんないんで説明してもらってもいいですか?」
「あなたが落としたのは金のあなた? それとも銀のあなた?」
今の冷静な俺にはすぐに答えが出た。
これ答えないと進まないやつだ。
金の俺か銀の俺か? なんかどんな幽霊になるか的なやつか? どっちがいいんだろう……
「あのー、内容の説明とかって……」
「あなたが落としたのは金のあなた? それとも銀のあなた?」
うわーまじかー、説明とかないパターンか、それってどんくらい重要なのかな?
金か銀かー、もうイメージで良さそうな方にするしかないな
……てかだったら絶対こっちでしょ
「じゃあ金の方で」
「あなたは嘘つきです。金のあなたは授けますがあなたにはこれから数々の不幸が待っているでしょう」
それを聞いた途端、目の前が真っ白に光り、気がついたら家のベッドにいた。
ん、なんだ?夢か? さっきまで確か湖に……
「ん? なんで勝手に?」
目の前には勝手にステータスが開かれている。
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碇谷拓人 24歳 レベル16
HP1638/1638 MP863/863
筋力921
速力843
知力723
精神力698
幸運値−1000
スキル
飛行
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「なんだこのステータス!?」