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落第中年 invisible game  作者: アボリジナル・ バタースコッチ
15/22

15話 サムハラ③

松野、目的地に到着ーー。

その場所の名は「食事処 サムハラ」


一流料理人たちむかい 立向居尚人なおと氏が営む小料理屋だ。


「いらっしゃい、松野さん。今日は仕事帰りで肩が疲れてらっしゃるのでは?特に

左側・・・」


立向居氏の第一声、ずばり図星である。

拳銃を肩から吊り下げているため、左肩が下がってしまっているのだ。


「ええ・・・まぁそうですね。流石、鋭いなぁ~」

松野はひとまず”とぼけて”見せた。


突出おとおしです。試しにつくってみたんですが、お口に合うかどうか・・・」


食前の肴”突出おとおし”現代においては廃れてしまった文化伝統の一つである。

頼んでもいないものが出るのであるが、此処サムハラのものは非常に美味で工夫を凝らしたものが多い。

そのため、松野は”偉丈夫”立向居の料理は何であれ食してみることにしていた。

彼にとって、この料理人は”料理の師匠”と仰いでさえいたのである。

本日の昼食に登場した鶏と根菜の煮物も師から学んだものを実践してみた”成果”であった。


コトリ、 皿がゆっくりと置かれる。

なんと目の前に出てきたのは青菜や根菜・魚介類・・・ではなく、拳大の滑らかな白い塊であった。

(なんだこれは・・・薄い汁の中に団子が浮いている・・・?)


「いただきます・・・」

松野は恐る恐るソレを口に含んだ。

もっちりとした皮、その中から溢れる肉汁ー。


「これは包子パオズでしょうか、なんとも・・・美味しゅうございます・・・!」

彼は思わず目前の料理人に賛辞を贈った。


「ありがとうございます・・・そう、それは包子パオズの一種です。羊朒と数種の香味野菜を、馬鈴薯ばれいしょ澱粉でんぷんを練ったもので包みました。あとは洋風出汁フォンで軽く煮込んで仕上げました。」


「なるほど・・・皮のとろみは馬鈴薯によるものでしたか・・・」


松野は感嘆し、残った包子パオズと汁を一匙ずつ噛みしめながら嚥下した。

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