第7話 next
「"ネオ・クレイムスラッシュ"」
岩壁の上で小さな翼竜の断末魔が響きわたる。
「今日も仕事終了だな!」
「やっと終わったー。帰ってから寝るか」
「ちょ、晩御飯には起きてよ」
冒険者見習いとして、アレス達とともに依頼を受けるようになってから、早くも一週間。毎日の鍛練や筋トレ、アレスの脳筋発言にも流石に慣れてきた頃だった。
「アレックス君、今日も荷物よろしくね!」
ミネアは毎回欠かさず、日課のように俺に話しかけてくる。いつも通りそりに載せた荷物を引きずりながら、街へと帰る。
◇
「なぁ皆、そろそろこの街去らないか?」
「アレス、急にどうしたの?」
晩御飯を食べているときに、アレスが呟くように言った。
「そうだそうだ、アレス、ここ来てまだそんなに経っていないだろ? それに、アレックスの鍛練とかも大丈夫なのか?」
「アレックスのは大丈夫だ。そもそもここに長く留まるつもりは無いって言わなかったか?」
「確かに、最初はね。 元々ここに来たのはヴァンパイア討伐の為だったし」
「確かに、ここにいる理由ももうないか。とはいえ、離れるのは名残惜しいけどな」
「じゃあ、次はどこに行くか?」
「どうせなら、放浪するのもいいんじゃない?」
「アレックスもあまり世界を知らないからいいんじゃないか?」
「アレックス君はどう思うの?」
正直言って、ここでの生活は、過不足なく不自由もない。だが、せっかくならいろんな所を見て回りたい。3年間も城に引きこもっていたわけだからな。
「俺的には、ずっとここにいなくてもいいかな」
「そうなんだ、じゃあアレス、次はどの街に行く?」
「近場で情報が集まる所に行こう。面白そうな話が聞けるかもしれんし、その次に行く所を探すにもいい」
「そうだな、じゃあミネア、アレックス、支度するぞ」
「明日には出発する? シェイドは酒場のかわいいお姉さんに挨拶しなくていいの?」
「なんで知ってんだミネア!」
「はは、シェイド、ちゃんと挨拶しとけよ?」
「いや、まぁわかってるよ……」
◇
「それじゃあ、忘れ物はないな?」
「当然!」
「アレスこそ無いよね?」
「もちろんだ、じゃあ行こうか!」
入り口の門を出て、住み慣れた街を後にする。どこまでも広がる青い空と、風に流れる雲に導かれるがまま、歩みを進めた。
その先に待つ命運を彼らは知らずに……