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第12話 凱旋

「よっしゃー、勝利だぜ!」


 ギルドでアレスが大声で叫び、シヴァを煽っている。


「何言ってんだ。 俺達がいなければお前らは負けていただろうが」


「残念ながらトドメは俺ですぅー」


 遠巻きにアレスを見ながら、ミネアは


「アレス、あんな方法で勝ったのは何か恥ずかしいんだけど」


「何言ってんだミネア、油断する方が悪いだろ?」


 こりゃダメだとため息をつき、


「ごめんねイリンさん、うちのリーダーがあんなんで」


「いやいや、こっちのシヴァこそ、突然こんな話進めてたから迷惑だったよね」


「とんでもないよ、こっちのアレスもノリノリだったし」


「あはは、お互い様かな」


 見合って笑う。


「それでアレス、次の目的地は何処なんだ? いい加減決めようぜ」


「そういえばそうだったな。シヴァ、良いとこねえか?」


「残念ながら美味しい仕事が転がってるとこなんて知らねえよ」


「そうか、ありがとなシヴァ」


 シェイドがそう言ってギルドを出た。


「仕方ないさ、また聞き込みだ。アレックス、明日も俺達は朝からここだな」


 結局まだまだここから離れられそうに無いだろうな。

 と、アレスが言いミネアに帰るぞと言おうとした時、シヴァが


「そういえばアレス、依頼の情報なんて無いがあそこはどうだ?」


「あそこ?」


「ほらほら、温泉で有名なとこ。どうせならアレックスにも行かせてみたらどうだ?」


「あぁ、バニアレス火山か」


「バニアレス火山?」


「お、アレックスも興味持ったみたいだし行ってみろよ。バニアレス地帯には独特な奴らが多いし、疲れたら温泉入ればいいだろ」


「そうか、その手があったか。アレックス、ミネア呼んで来い!」



「それじゃあな! 気をつけて行けよ!」


「あぁ! イリンもコステロもトリスも元気でな!」


「待て! 俺は?」


「またね!」


 バニアレス火山行き決定。即準備即出発。

 今日出る馬車の最終便には間に合い、バニアレス火山ふもとの街まで2日間かけて向かう。



「うわぁ、綺麗」


 緑の山々の上、空を真紅に染める夕焼けに思わず感嘆してしまった。


「夕焼けが好きなのか? アレックス」


「いや、それほどでも無いけど」


「ミネアも夕焼け好きなんだぜ。残念ながら今日は寝てるけどな」


 いびきを立てて眠るミネア。意外とだらしない格好で寝ている。今までみんなより早く寝ていたから知らなかった。

 シェイドは窓の反対側の夜闇に染まっていく方の窓を見つめている。


「見ろよアレックス、あれがナルシストだぞ」


「ちょ! おいアレス、誰がナルシストだ!」


 初めての馬車の旅も、案外いつもとさして変わらないかもしれない。

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