第9話 冒険者
高い城壁、重装備をした門番。中に入ればそこには噴水があり、その先には市場がある。そして、一段高い所に築かれた巨大な城がそびえていた。
ここは山間部にある世界有数の大都市の一つベルニエア。
「ふー、やっとついたー!」
「シェイド、宿取ってきてね」
「マジかよー。ミネア、今回だけだから代わりにお願い……」
「何か言った? そういえば、川原で私に対して何か失礼なこと言ってたような……」
「あ……」
「ということで、シェイドよろしく! 私は市場でも行ってるから、アレスはアレックスと一緒にどっか行ってて!」
ミネアは小走りで市場に向かっていく。
「ちょ、ミネア! 行ってしまった……」
「ミネアは勝手だよなー。まぁ、ずっと山道歩いて来たから、気分転換したいのもわかるけどな」
「はぁ、仕方ないから探すか」
◇
「アレスー、シェイドー、アレックスくーん、今帰ったよー! あれ? シェイド、二人は?」
「アレス達なら依頼見に行ったぜ。なぁ、それよりも何をそんなに買ってきたんだ?」
「あ、これ? 実はさ、安くなってたからついつい買いすぎちゃってー」
袋の中には大量のビンが入っていた。シェイドはそれを見て顔をひきつらせ、
「……それアレックスに持たせる気か? 化粧品とかはビンだからアレックスのこと考えて控えろって言ったじゃねぇかよ」
「テヘッ!」
「テヘじゃねぇ!」
◇
「アレス、どれにするの?」
アレス達は冒険者ギルドで依頼を見ていたが、アレスは全く依頼書を持とうともしない。これだけあれば一つ位やっていけばいいのに
「待てアレックス、今日は依頼受けに来たわけではない。まぁ、ギルド来ると依頼見たくなるのは冒険者の性ではあるんだが、始めに言ったように、今日は情報収集だ。ここも大国だから、おいしい依頼はすぐに持ってかれる。競争率の高い所で奪い合うよりも辺境の村とかに行ったほうが割に合う依頼も多い」
「ふーん」
「まぁ、ここに居たくないのはそれだけじゃあ無いんだけどな。なんせ、絡まれると面倒な輩がそこらじゅうにな」
「面倒な輩とは俺達のことか? その少年は親戚か? おいアレス、今までどこに行ってたんだ? 俺達の仲だろ、まさか隠し事なんてしてんじゃねだろうな?」
振り返った先には、男女あわせて4名の冒険者。シヴァと名乗るアレスの知り合いらしい青年は、アレスの肩に腕を掛けて絡んで話しかける。
「はぁー。面倒な奴が来ちまったか。帰るぞ、アレックス」
「ちょ待てよ! アレス、何で避けんだよ、ひさびさに一杯くらいやってこうぜ」
「んな暇ないんだよ、こっちは新入り入ってから忙しいんだよ。ほらほら、帰った帰った」
「つれねぇな、てかその少年誰なんだよ、まさかアレスそっちに……」
「いってないからな! こいつはアレックス! 新入りの見習いで、冒険中に会ったんだよ!」
「そうか、坊っちゃん、最近アレスとミネアはどうだ?」
「普段は普通だけど、二人きりのときは仲がよさそうです」
「アレックス! お前見てたのかよ!」
「あららー、ミネアちゃんもやるねー。相手が相手だけど」
「イリン、お前そういうの好きだよなー。聞いた俺が言うことじゃあないけどな」
「はは、アレス達がまさかもうデキてたと思ったぜ、シヴァ、イリン、さっさと依頼決めようぜ」
「わかったわかった。えっと、アレックス君だっけ、二人のことはそっとしておいてあげてね」
「はい、わかりました」
「アレックス、アレス達のこと頼むぞ、ついでにシェイドにもよろしく言っておいてくれよな!」
◇
「お帰りーってあれ? どうしたのそんなに疲れた顔して」
「シヴァ達に絡まれた」
「あぁ、そうだったのか、ここではアレスもあんまりイチャイチャできんな」
「アレックス、シェイド、お前ら気づいてたのかよ」
「あはは、アレス、アレックス君にもバレてたね。そんなことは置いといて、ご飯できてるから食べようか」




